あらすじ
この女を絶対に勝たせはしない。
Aクラスで卒業などさせるわけにはいかない。
大きな衝撃と共に『学年末特別試験』は終了。
だが――
「私も含めて、何よりも気になっていることを解消したいと思う」
「綾小路が、わざと退学者を出してるってことか?」
「俺はあの勝負に納得なんてしてねえ」
「私の責任です。私はこれから、このクラスでリーダーを続けていく自信が――」
「私は絶対にAクラスにしてみせる。どんな方法を使ってもね」
「私たちが残された時間で逆転できる可能性は――」
各クラスは新たな火種を抱えたまま2年生最後の春休みを迎えることになり――!(MF文庫Jより)
「久しぶりだな清隆。元気そうで何よりだ、学校生活は順調か?」
「春休みが終わるまでには必ず。それじゃあ、今日はこれで失礼します」
感想レビュー
よう実ファンの皆さまごきげんよう。
さぁ、待ちに待った短編集最新刊ではありましたが、もう皆さまは読まれたでしょうか。
いやぁ……もう本当に面白い!それに尽きますね。
短編集とはいえ、もう本編レベルですから、実質的なナンバリングの続刊と言っても過言ではないでしょう。
これだからよう実読むのやめられないんだよなぁと、しみじみ感じられた最新刊ではありました。
これにて2年生編が閉幕しましたが、ますます3年生編が待ち切れない。
さて、今日も簡単に振り返っていこうかなと思います。
舞台の裏側
前回、結局何もできなかった星乃宮知恵の独白のようなものから。まだ諦めていない模様。
あとはまさかの総理大臣が登場し、学年末特別試験を観察していた模様。
文部科学大臣の名も登場。
それぞれの答え合わせ
まずは堀北クラスの前回の試験の擦り合わせから。
そもそもそ学年末特別試験は、代表者と参加者たちでは与えられた情報量が違うので、そこを話し合います。
そして前園がどうして退学したのか、綾小路から説明。色々伏せている情報はあるものの、クラスが綾小路を訝る様子などは、やはりたまらなく面白い。
あとは櫛田との会話が少し。櫛田は、綾小路の行動を何となく見抜いている様子。何より綾小路はこの時ももうクラスにはいられないというような独白が書かれている。
そして場面は一之瀬クラスへ。いつものように傷の舐め合いをしていた生徒たちだったが、担任の星乃宮がついにブチぎれる。
しかし状況はそこまで変わることもなく、一之瀬はその後春休みまで学校に登校することはなかったと。どうなる事やら。
- 堀北クラス(1233ポイント)Aクラス
- 龍園クラス(1040〜1090ポイント)Bクラス
- 坂柳クラス(793ポイント)Cクラス
- 一之瀬クラス(714ポイント)Dクラス
また今度
ここでは龍園と坂柳の会話。
龍園はどうして坂柳が綾小路の伝言で負けたのかを知りたがって、それを知る。龍園は腑に落ちない様子だったが、坂柳との対話で徐々に前を向いていく。
珍しく龍園は落ち込んでいた、というよりこれから一人で綾小路に立ち向かっていかなくてはいけない恐怖もあったのかもしれない。
そして、坂柳は最後に「また今度」というタイトルにもある言葉を残して去っていった。
ということは、読者にとってもまた坂柳が見れるという予告なのかもしれませんね。
二人の挿絵があってそれも良かった。
空席の玉座
時系列も春休みとなり、ここからは綾小路が坂柳クラスの情報収集を兼ねて、森下と山村に接触。
今までは本編みたいな補完の内容でしたから、ここからは恒例の短編集らしい内容で、半分くらいは楽しい内容で、少しだけ坂柳が抜けたことについての所感みたいなものが描かれてました。
確かに今思えば、坂柳が絶対的なリーダーとはいえ、勝手に自主退学して300クラスポイント失うのは痛すぎるなと。
でも同時にそういった坂柳の行動も、このクラスの今までを表しているなと。
先回り
ここでは綾小路が「みーちゃん、松下、小野寺」との会話に混ざるような珍しいシーン。
まぁ特にこれといった事もないのだが、3人は思ったより綾小路を嫌っている感じもない。それこれも他クラスでは坂柳が退学することがクッションになっているのかもしれない。
続いてはかなり重要な箇所です。
大まかな説明は省きますが、綾小路は「星之宮、茶柱、真嶋、坂上」という2年生の担任をカフェに呼び出しすという異例の展開に。
主に、学年末特別試験の星之宮先生の行動を抑制させようと綾小路が試みたもので、ついに先生たちもコントロールしはじめたのか?と思いましたが、本質はまた別のところにありました。
過去にも明かされましたが、星之宮と茶柱の学生時代の関係性が今一度掘り返され、その行動原理は「茶柱を許さない」という完全に私怨なのもの。
そもそも今回の話し合いで、綾小路の狙いは「星之宮をつまらない理由で担任の席から降ろさせない」というものでした。
結果的に星之宮の話し合いは、無難な場所に落ち着きましたが、問題は綾小路が茶柱との別れ際に「春休み明けまでに自分が星之宮の考えを変えてみせる」と断言したのです。
え、ということはまさか綾小路は一之瀬クラスに移るのでしょうか?
ちょっと口絵でそれらしきものを先に見てしまいましたが、まだそれだけでは今のところは分かりません。
あと真嶋の秋山さんのくだりがまだ生きていて笑いました。
ついでに真嶋先生の部屋に行くというのも本作としては新しい展開でしたね。
幻想
ついにこの日がやってきました……
もう随分と前から言われていました綾小路と軽井沢について。
結論から先に書きますが、二人はついに別れました。
もう今までの綾小路の内面を見ていれば、自ずと見えてくるものなのですが、やはりこの瞬間を迎えると流石に胸にくるものも多少ありましたね。
挿絵もあって、それが【1年生編7巻】を思い出すような終わり方でしたね。
あと一つですね、これは読んでいる方も思ったことかもしれませんが、別れのシーンが、少し分かりづらいんですよね。
基本的に綾小路の一人称で進んでいたのですが、何の区切りもなく、いつの間にか軽井沢の視点になっていて「??」となることがありました。
最初、綾小路が別れを告げることを辞めて「やっぱり好きだ」みたいな感じから、軽井沢から「別れよう」と告げたのかと勘違いして一人で爆笑しましたけど、どうやらそうじゃないみたいですね。笑
まぁ綾小路はもちろん、軽井沢にとっても、次にステージに行くような、そんな見方もできました。
特に軽井沢については、綾小路を誰よりも近くで見続けた者ですから、何気ない会話も1年前とは見違える洞察力を身につけていました。
今後、堀北クラスが綾小路と敵対するときがあれば、何か他の人と違ったアプローチが出来るかもしれませんね。
卒業後も
ここでは坂柳の別れ。綾小路、山村、森下が見送り。これといって普通の別れにはなりましたが、気になったことは綾小路が坂柳をまだ利用しようとしていることくらいですかね。
でもそれは卒業後の布石とも言っていたので、ただ龍園にもまた会えるとのことなので、大学生編かなぁ。笑
それは置いといて、あと坂柳を見送った後の方が少し重要で、綾小路は坂柳から最後の伝言を預ったと嘘をつき、ある提案を山村と森下に持ちかけます。
それは今後の坂柳クラスの戦い方?について。ほとんど伏せられていたので、その詳細はわかりませんでしたが、今後分かっていくのでしょう。
一つ言えることは、綾小路の目的は、卒業まで全クラスを均衡させ最後まで競わせるということ。なんて便利な主人公なんだ、笑
PS:この時はまだ気づかずに感想を書いてましたが、どうやらここで二人には告げていたのかな?
親と子、子と親
続いては結構大事なシーンですね。シリーズを読み続けているファンとっては、とてもワクワクする章になったのではないでしょうか。
綾小路の三者面談です。かなり久しぶりに父親が登場しました。
綾小路の進路も普通にいけば、やはり堀北兄や南雲のいる大学へ進学し、大学生編という形にもなりそうですが、やはり死んでもホワイトルーム生であり、父の最高傑作でありますから、それは難しいのか、どうなのかというところ。
ファン目線的にも、また衣笠先生が創る大学ならどんな大学なるのかなと気になります。
他にも親子二人の会話も過去史上一番あったように思えますし、何よりも高円寺と清隆の会話もありました。
ここは本当にアツいシーンでした。とにかく互いに実力を図りつつも、互いに負ける気などないというバチバチな感じ。
やはりクラス移籍後の綾小路と、堀北クラスの高円寺との対決はかなり期待したいですね。
あとは冒頭にもあった綾小路の父親が議員関係で、高円寺父親との接触や、坂柳理事長、鬼島理事長を交えた異例の会談がありました。
結果的に綾小路父親と高円寺父親との息子を使った代理戦争的な展開に。
何よりこのシーンが綾小路の卒業後にどう繋がっていくのかですね。楽しみにしたいです。
それに少しだけ綾小路父親の送迎として月城も登場しました。笑
あと綾小路父親は、当然のように学年末特別試験の内容を知っており、これはもう今までの清隆の行動が完全に監視されてそうですね、笑
なお綾小路父親は、清隆の最後の1年には干渉しないとのことですが、2年生編でのホワイトルームの刺客たちや、まだ石黒という謎の1年生も残しています。
更に新1年生の入学もありますから、まだ何かあるかもしれませんね。
お祝い
さぁお次は堀北と綾小路です。
春休み中に綾小路が軽井沢と別れたことを知った堀北は、綾小路を呼び出します。
学年末特別試験の内容や、いつもの冗談を交わし合う。
しかし、今日はそれだけじゃなかった。
鈴音は今日、恋を知った。笑
ついに最終学年目前にして、真のヒロインが目覚めたといきたいところですが、もう皆さんご存知の通り綾小路がこのクラスからいなくなります。
だからこそ、この作品らしくなるし、キャラクターに合っている距離感といいますか。
やっぱりこのシリーズは、今後のことを見据え、キャラクターの構図の作り方が絶妙でとても上手いなぁと思いました。
あと「堀北鈴音.恋を知ったVer」の挿絵があるのですが、春という感じも相まって、これが最高にGoodだ!!
約束の夜
続いて、綾小路は石崎に呼ばれケヤキモールへ。そこにはひよりも呼ばれており、詳細は知らず。
そんな石崎からの提案とは簡単に「一緒のクラスになろうぜ」という勧誘でした。しかし綾小路は龍園クラスに行くことはないと。
でも内心では、龍園クラスが自身にとって一番居心地が良いだろうとのこと。
ひよりの綾小路に対する心も見れたりと、今までの関係性が色々な場所で花開いていきます。
ここからもすごく重要です!
そして次に一之瀬ですよ。例の約束の日のことです。
私も少しうろ覚えなのですが、学年末特別試験後に会うというものだったかな?間違ってたらすいません。
【2年生編8巻】の頃に、このような不穏な発言がありました。
おまえが倒れるのはもう少し後。学年末試験、2年生の命運を分かつであろうその時まで、歩みを止めさせるわけにはいかない。壊れることは許さない。
学生としての生か死か、その時と場所を決めるのはおまえであっておまえじゃない。
(ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編8より)
という感じで、その日をようやく迎えました。
まさかの期間に綾小路と一之瀬が、学年末特別試験であのような戦いにまでいきつくとは思いもしませんでしたが、関係性としても気まずいものに。
綾小路は何も感じていないでしょうが。
それに先にも書きましたが、一之瀬は試験終了後、高熱を出したとかで、終業式までクラスにも顔を出していない状態。
そんな一之瀬は、迎えた約束の日にも関わらず、連絡は一切とれない状態。
タイムリミット2時間前。来ず。綾小路はそれでも裁定をくだす予定だったが、彼なりにこの1年、一之瀬に影響を与え続けてきた身として、その経過を知り、経験値とする為に一之瀬に直接会いにいくことに。
色々あったものの、一之瀬の部屋で会うことに。
口絵から察するにこのまま一之瀬が退学し、綾小路がリーダーとなるのか、それとも一之瀬がここから息を吹き返し、またリーダーとして立ち上がるのか。
そして綾小路が期待していた1%の新たな筋道を立てるのか。
そんな展開の中で、一之瀬はおそらく新たな筋道を告げた模様(その内容は伏せられたまま)
しかし!そんな場合ではありません!
そもそもこの日に綾小路が一之瀬に会いにくるように仕向けたのは、どうやら一之瀬の策略だった模様!
更に一之瀬がついに本気の闇落ち的な「あぁぁあああ」な展開に!爆笑
今思えば、軽井沢と別れたその日にって思ったらもうめちゃくちゃで草って感じなんですが、まぁ良いでしょう。笑
いやなんかもう衣笠先生の持てる力全部使ってきるなぁって感じがして、本当に面白い。
あとは復活した一之瀬が、クラスの神崎や姫野、網倉、柴田などを集め、これからの方針を話し合いをする。
そのざっくりとした内容は春休みが明ければわかるとのこと。更に一之瀬反対派だった神崎は、今までにない一之瀬の姿を感じ取った様子もありました。
綾小路が一之瀬に何をしたのか気になるところです。
目標
堀北クラスの祝勝会。おそらく堀北と綾小路の同じクラスとしての最後の会話。
綾小路移籍を知らない堀北鈴音の一人称と、挿絵の使い方も相まって、くるものがあります。
いい作品だ。
新たなる幕開け
ここも短い章ですが、答え合わせです。
茶柱の一人称で星之宮との会話。どうやら綾小路は約束通り、星之宮を説得した模様。
そして不気味な言葉を言い残し。
新学年、3年生編開幕。
綾小路がかつての元坂柳クラス(Cクラス)に移籍し、自己紹介したシーンで物語が終わる。
まとめ〜やっぱり面白すぎる〜
はい、いかがでしたでしょうか。
色々と整理したいことだらけですが、ひとまず綾小路の移籍先は元坂柳クラスとなりました。
坂柳クラスって他クラスの中でも主要メンバーが薄い方かとは思いますが、それは敢えてだったのかもしれませんね。
私もぱっといま思いつくのは「山村、森下、鬼頭、真田、橋本」ぐらいでしょうか。あと誰かいたかな。
もう坂柳も神室、葛城もいませんが、最後の綾小路の自己紹介シーンとか映像で見たらめっちゃ良いんだろうなぁとか妄想してみたり。
それに綾小路は、全クラスの中で最も平均的な優秀さを持つ駒を手に入れたということですから、ここからの巻き返しなども考えるだけでも楽しいですよね。
なのでこれからは【堀北クラス・龍園クラス・綾小路?クラス・一之瀬クラス】という感じになるんですかね。もうワクワク止まらんて。笑
それはさておきまして、私は過去の巻で綾小路は龍園クラスに移籍するだとか色々と書きましたが、全然そんなこともなかったですね。すいません、笑
ただ綾小路の目的が、本格的に明かされ「全クラスを終盤まで拮抗させ、争い続けさせること」だったらしいので、仕方ないかと思いますが、でもやっぱり予想を超えてくれるのが純粋に嬉しかったです。
少し作り手的な都合、思考ではありますが、私が気になったのは、その先に綾小路が何を見たい、したいのかですよね。
拮抗させるのは楽しみが増えて嬉しい反面、新1年生や龍園、堀北や高円寺などの元クラスとの対決、他にも石上京の存在や新2年生たちなど、他にも新要素も増えるかもしれませんし、目が離せないこと間違いないでしょう。
先生曰く、3年生編は《原点回帰》とのことで、同学年対決に重きをおく模様。
綾小路の活躍が過去史上最も出ることでしょうし、どういう結末になるのか、本当に読めませんが、楽しみです。
それに一之瀬や星之宮が、綾小路の何を知ったり聞かされたりして復活したのか、単に坂柳クラスに移籍したから希望が出たのか、その辺りももっと知りたいところですね。
あとは堀北クラスたちの新学年初日のリアクションなんかも見たいところです。
先生いわく、泣く泣くカットした部分などもあるみたいなので、いつか読める日を楽しみにしたいですね。
次巻はおそらく3月頃になりそうみたいなので、先生の首が大丈夫なことを祈るばかりです。
挿絵も最高でしたね。特に鈴音!何を言っても鈴音の挿絵が全部良すぎました!笑
それでは今日はここまでにします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
いやぁ、やっぱりよう実は、最後まで面白いなぁ……
鈴音……大丈夫かな……
PS:巻末にあった予告がかっこよすぎたので、言葉だけ残しておきます。
さあ決戦の舞台は整った。
最後にAクラスに卒業するのは誰なのか――!
本当の、実力至上主義が始まる――!
(ようこそ実力至上主義の教室へ2年生編12.5巻より)
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