
あらすじ
ユダヤ人初、収容所からの逃亡に成功。アウシュヴィッツ・レポート作成者の数奇な人生
ナチスによる殺戮を今すぐ伝える、それがユダヤ人を救う唯一の方法だ――19歳のヴァルター・ローゼンベルクは危険を冒して強制収容所から脱出し、瀕死の状態のなか「死の工場」の実態を暴いた。
驚異的な記憶力を持つローゼンベルクの証言によって、詳細な報告書が作成された。まもなく報告書は世界中に配信されてユダヤ人解放へとつながり、多くの命を救った。
歴史を動かし、自身も歴史に翻弄された男の功績と生涯を明らかにする。
(NHK出版より)
感想レビュー
ここ最近になって、またナチス関連の映画や資料などをネットで見漁っているのですが、
映画「アウシュビッツレポート(Wikipedia)」で、ヴァルター・ローゼンベルグ、アルフレート・ヴェツラーの存在を知り、こちらの本に辿り着きました。
本書は、2022年(翻訳は2025年)に出版された、比較的新しいもので、とても読みやすく整理されているように思えました。
内容は主に、アウシュビッツ強制収容所に収容されたヴァルターが、どう脱出していくのかが書かれていました。
ご存知の通り、収容所での生活はこの世のものとは思えないようなもので、映像だけでは中々見えてこなかった詳細な部分が、しっかりと文字によりこと細かく書かれていて、その辺りも非常に勉強になりました。
またアウシュビッツとビルケナウの地図や写真、脱出ルートなども掲載されており、その中でも特に興味深かったのは、脱走後のヴァルター・ローゼンベルグが、どう生きて死んでいったのかが描かれていたことです。
十代という大切な時間を、アウシュビッツという過酷な環境で生きた人間が、その後どのような人生を送ったのか。
この辺りは、映画では描かれていない部分で、なぜ相方のアルフレートがあまり出てこないのかなど、その理由なども知れました。
私は強制収容所関連の物事に触れる時にいつも考えるは、この現象は争いが起こしたのか、それとももっと根源的なナラティブがそうさせたのかということです。
ヒトラーの資料は、無数にありますが、彼がユダヤ人を直接的に憎むきっかけが記されている資料はどこを探しても見つからず、あらゆる推測だけが書かれています。
当時のユダヤ人に対する環境を作り上げたのは、長年のキリスト教社会に付随する影響が大きいとも言われていますが、ヒトラーはキリスト的考えには否定的な一面もあったと。
まぁただヒトラーは、イデオロギーや科学に対して、常に矛盾を抱えている人間ではありましたから、これといった理由はあるようでなかったのかもしれません。
冷めた見方になるかもしれませんが、ただ手っ取り早く選挙で勝てる方法の一つだったとも言えます。
昔読んだユダヤ人3000年の歴史を知れる「ユダヤ人の歴史」や、現代まで続いているイスラエル問題も含めて、ユダヤ人問題というのは常に世界の課題なのかもしれません。
彼らの不遇な歴史、言い分を知ってしまうとどうしても肩入れしてしまう反面、現代の問題は出来る限る中立で見ないといけないような展開にもなってきました。
常に世界の歴史に巻き込まれるような形になってきたユダヤ人。いや、〇〇人というような見方そのものが、よくないのかもしれない。
もっとただの人間、ただのホモ・サピエンスという視点で、歴史や国際情勢をみないと、いけないのかもしれません。でないとナラティブに飲み込まれてしまう。当時のドイツのように。
思い返せば昔に読んだ「ストーリーが世界を滅ぼす――物語があなたの脳を操作する」という本も、ユダヤ人問題に限らず、とても大切な本だったなと思います。
話が逸れてしまったの、今日はここまで。
著者のジョナサン・フリードランドさんは、もともとサム・ボーン名義で、9冊のミステリーも書かれており、英国のベストセラー作家だったようで、機会があれば読んでみたいですね。
翻訳は羽田詩津子さんです。とても読みやすく、またどこかで見覚えがあるお名前だなと思って自分の記事を調べてみたら、やっぱり過去に読んでいたようで「木曜殺人クラブ」や「アクロイド殺し」などで翻訳してくださった方でした。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。














































