あらすじ
限りない喪失と再生を描く究極の恋愛小説!
暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。僕は1969年、もうすぐ20歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱し、動揺していた。限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。
(講談社BOOK倶楽部より)
感想・レビュー
村上春樹さん初読みになるのですが、これが村上春樹か。いやはや面白いです。
感想が何とも難しい。極上とも呼べる比喩表現。人によってはくどいか。個人的には全然構わない。
性の生々しさや丁寧な情景描写と比喩表現が相まって世界観を堪能出来、心情に迫ってくる。
登場してくる人物がまた何とも言えない魅力を持ち、独特の感性と普遍的な感性の両方を見せながら物語がコロコロと進んでいくのが楽しい。
多くの方が言っているがやはりこの一文を残しておきたい。
「孤独が好きな人間なんていない。失望したくないだけ」
この何気ない一文には、心を奪われてしまう。
下巻も割と序盤から13歳と31歳のレズ行為から始まってどうなる事やらと思っていたのですが、面白すぎて率直に驚きました。
あらゆる音、色、匂い、言葉、季節、気候、人、生と死、性などに仕掛けや意味合いが含まれていて、未だ完全に理解が追いついていないようです。
終わってみればかなりの人が死ぬ作品でもありました。
そして何より最後の、僕は今どこにいるのだ?の解釈が皆さん色々あって、面白い。
自分も自分なりの答えを探して、また年を重ねた時に再読してみたい。
素晴らしいが正しいのか分かりませんが、凄い作品でありました。