あらすじ
この主人公は自分だ、と思う人とそうでない人に、日本人は二分される。
「恥の多い生涯を送って来ました」。そんな身もふたもない告白から男の手記は始まる。男は自分を偽り、ひとを欺き、取り返しようのない過ちを犯し、「失格」の判定を自らにくだす。でも、男が不在になると、彼を懐かしんで、ある女性は語るのだ。「とても素直で、よく気がきいて(中略)神様みたいないい子でした」と。ひとがひととして、ひとと生きる意味を問う、太宰治、捨て身の問題作。
(新潮社より)
感想・レビュー
人間失格。これに尽きる。
幸福でも不幸でもなく、ただ一さいが過ぎて行きます。それが真理だと。
中々に重苦しいテーマでありました。
葉蔵は『道化の華』で一度読んでいましたが、特に接点はないのかな。
やはり文体は素晴らしいと思います。
読みはじめた辺りの高揚させられる空気感は、太宰特有のものがあります。個人的な好みかも知れませんが。
正直、個人的には斜陽ほどのものは受けませんでした。
なのでこの作品は「この主人公は自分だ、と思う人とそうでない人に、日本人は二分される」とのことで、私は後者になりますかね。笑
それでも人間の落ちていく弱さ、惨めさ、恐怖からくる真理は再読してみて辿りつけるかつけないか。
そういった面白さでありました。
太宰はもっと他の作品も積極的に読んでいきたい作家ですね。