あらすじ
平凡な家庭で育った小学生の圭輔は、ある不幸な事故をきっかけに、遠縁で同学年の達也と暮らすことに。運命は一転、過酷な思春期を送った圭輔は、長じて弁護士となるが、逮捕された達也から依頼が舞い込む。
「私は無実の罪で逮捕されました。どうか、お願いです。私の弁護をしていただけないでしょうか」。
裁判を弄ぶ達也、巧妙に仕組まれた罠。追いつめられた圭輔は、この悪に対峙できるのか?
衝撃と断罪のサスペンスミステリ。
(KADOKAWAより)
感想・レビュー
伊岡瞬さんは初読みです。
まず読了後の所感としては、素直に面白かった、まずこの言葉が浮かび上がりましたね。
まさにサスペンスミステリーそのものといいますか、ヒリヒリするような小学生時代の「悪」は、読んでいてめくる頁が止まりませんでした。
文体は三人称一視点なのですが、殆ど一人称みたいな感じで、東野圭吾作品なみに読みやすかったです。
文章が長すぎず、難しい文字を使わず、句読点を打つ位置が、絶妙に良いタイプの文章。私はどんな文体も好きですが、このタイプの文体を持つ方は、万人に好まれる印象です。
さて物語は、1999年の「ノストラダムスの予言」辺りで、主人公・圭輔の至って平和な小学生時代から幕が上がります。
ですが、遠縁の親戚である達也、その継母である道子が出てきた辺りから、少しずつ歯車がおかしくなっていく…と。
内容は省きますが、のちに圭輔の家が焼け、両親が焼け死に、道子の家に身を預けるも奴隷のような生活を送ることに。
ここまでが第一部なのですが、その内容があまりにも悲惨といいますか、過酷すぎて。
またのちに判明しますが、圭輔の母親を陵辱し、更に家を燃やしたこの達也という人間がクソすぎて、逆にすごい。笑
小学生でセックス三昧って何やねん、笑)と思いましたが、その達也を作ったのもまた道子という元凶があっての事もありますしね。
ですが圭輔は、親友の寿人、その義理家族に命(生活)を救ってもらい、将来的に弁護士になります。
そして第二部が幕を開けるのですが、弁護士になった圭輔の元に、強盗殺人の容疑で逮捕された達也から依頼が舞い込んできます。
そしてそれは、達也が巧妙に仕組んだ罠であり、圭輔は圭輔で彼に虐げられた過去と向き合い、救うという立場からどう裁くのか、という。
第一部で組み立てた人間関係の構造が、第二部になってから更に面白くなっていて良いなと思えました。
もちろん事件の内容から明かされる過去の真実、そして裁判の内容まで全てがちゃんとした線となっていて、とにかく夢中になって読めました。
終わり方含め、代償の結果も、なるほどなぁという感じで、ただ一つだけ気になったといいますか、つい突っ込みたくなるような部分がありまして。
この作品の肉体関係の話が、全部AVとか官能小説みたいなのは何なんですかね。笑
母親が睡眠薬で眠らされ小学生に陵辱されたり、圭輔は圭輔で、大学生時代にマンションの警備の仕事で住人の酔っ払った32?歳くらいの女とセフレになったりと。笑
解説で著者コメントが引用されてましたけど「自分がみた作品などには少なからず影響を受けている」と書かれていて、余計にめっちゃ笑いましたけど。笑
まぁ男はみんな好きですけどね、笑
そこだけ、なんかあれでしたけど、まぁその辺りも含めて、面白かったです。
伊岡瞬さんの他作品少し調べましたが、人間のクズが出てくる作品も他に書いているみたいなので、笑)是非とも機会があればまた読んでみたいですね。
今日はこの辺で終わりたいと思います。
お読み頂きありがとうございました。お疲れ様でした。