あらすじ
深夜の交差点で衝突事故が発生。信号を無視したのはどちらの車か!?
死んだドライバーの妹が同乗していたが、少女は目が不自由だった。しかし、彼女は交通警察官も経験したことがないような驚くべく方法で兄の正当性を証明した。
日常起こりうる交通事故がもたらす人々の運命の急転を活写した連作ミステリー。
(講談社より)
感想・レビュー
新年あけましておめでとうございます。
西暦2023年になりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。
私の方は、久しぶりに実家に顔を出して母親の本棚から数冊小説を頂いたりしましたが、流石に26歳にお年玉を貰えるような優しいイベントは起きませんでした。笑
さて、新年一発目は東野圭吾さんからですね。去年もよく読んだ作家さんの一人ですが、今年もまたお世話になりそうです。
そんな本作は95年頃発行の文庫本で、ジャンルが【交通系ミステリー】の短編集です。
表題作の『天使の耳』そして『分離帯』『危険な若葉』『通りゃんせ』『捨てないで』『鏡の中で』の6編が収録されていました。
所感としては、相変わらず無難に楽しめる短編集で、物語的にではなく、技量的に安心しながら読み終えました。
正直どれも同じくらいの面白さなのですが、強いていうならば『天使の耳』と『捨てないで』辺りが印象に残っているという感じですかね。
二作品とも終盤に何かしらの「黒い」仕掛けが施されていて、皮肉なもんだなぁとサクッと読める短編集ならではの楽しさがありました。
全体的に東野圭吾短編集にある、ブラックユーモア感とガリレオの短編集感が混ざったような感じでした。
毎回主人公は違いますが、全編「交通関連」が原因でのミステリーとサスペンスな感じで、ほんと日常的に起きているような事件が描かれていました。
それを東野圭吾流により事件を発展させていくとこうなる…みたいな感じで、私は免許を持っていないのですが、それでも何となく分かる内容でした。
普段運転している方は、また違った捉え方になったりするんですかね。
あとこれは仕方ないのですが、物語の時代背景がおそらく90年代初め若しくは80年代後半?くらいなので、事件の捜査方法だったり交通法などが、現在とは結構変わってしまっている部分がありました。
特に現在の都内などは、交差点はもちろん住宅街なんかにもわりと監視カメラがあるくらいなので、流石に事故を起こして逃げるのは安易ではないでしょう。
当時での本作は、交通法などのマナーやルールに警鐘を鳴らすような作品の立ち位置だったんだろうなと思います。
ふと思ったのですが、もしいま東野さんが交通系書いたら確実に煽り運転の犯人とか出てきそうですよね、めっちゃ憎たらしい感じで最後は必ず負ける奴とかね。笑
あ、忘れてましたが『危険な若葉』で出てきてました。笑
煽り運転って普遍的なんですかね。運転したことないのであまりよくわからないのですが。
あとは山崎洋子さんの解説で、東野さんが今後看板作品(科学系ミステリー)を書き出して、とんでもない所に行ってしまうのではないか、という当時の予測も予言のように当たっていて面白かったです。笑
それでは今日はここまで。ありがとうございました。
皆様良いお年を…くれぐれも交通事故には気をつけてください…