あらすじ
小説は、好きですか――?
いつか誰かが泣かないですむように、今は君のために物語を綴ろう。
僕は小説の主人公になり得ない人間だ。学生で作家デビューしたものの、発表した作品は酷評され売り上げも振るわない……。
(講談社BOOK倶楽部より)
物語を紡ぐ意味を見失った僕の前に現れた、同い年の人気作家・小余綾詩凪。二人で小説を合作するうち、僕は彼女の秘密に気がつく。彼女の言う“小説の神様”とは? そして合作の行方は? 書くことでしか進めない、不器用な僕たちの先の見えない青春!
感想・レビュー
相沢沙呼さん初読みになります。
面白いなんて表現は、この作品には相応しくないのかもしれない。
作中でもあるようにただ楽しくて、笑えて泣ける物語こそ疲れきった現代社会の求めるニーズであり、でもこの作品は違う。
主人公は卑屈でネガティブで自己嫌悪して陰鬱で読手を疲弊させ心臓を抉るような作品であって真逆の物語だ。
娯楽なんて山程あって、活字の羅列を読む事に、書く事になんの意味がある。
書きたいモノを書く。それは勝者の論理。売れなければ屑。星一つ。出版するのをやめてくれ。
そんな残酷な世界で見えてくる小説の神様とは?
数ある答えの中の一つがここにある。