
あらすじ
二つの戦争、そして戦後国際秩序の行方は
ロシアによるウクライナ侵攻とイスラエルによるパレスチナへの非人道的な攻撃。目まぐるしく国際情勢が変化するなか、この二つの戦争に向き合い、プーチンとネタニヤフに逮捕状を出した国際刑事裁判所(ICC)。日本人として初めてそのトップに就任した著者は、ほどなくしてプーチンから逆指名手配を受けることにもなった。さらにはトランプ大統領の大統領令による経済制裁の脅威にさらされるなど、世界規模の戦争犯罪に向き合ってきた国際刑事裁判所はいま、存続の危機にある。
第二次世界大戦後にホロコーストに向き合ったニュルンベルク裁判、日本の戦争責任を裁いた東京裁判。二つの軍事法廷裁判にルーツをもち、国際平和秩序を守ろうと奮闘してきた国際刑事裁判所とはいかなる機関か。二つの戦争という異例の事態にどう向き合ったのか。「世界の警察」アメリカが過去のものになりつつある戦後国際秩序の行方とは――。
「世界で起きていることが日本では起きないとは限らない」。「力による支配」がむき出しになりつつある今こそ「法の支配」による安全保障が必要だ。
(文藝春秋より)
「ウクライナ戦争の勃発で完全に覚醒した」と語る赤根さんが、その奮闘を通じて未来への責任を語りかける。
感想レビュー
2026年8月18日。アメリカ合衆国のトランプ政権が、国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長に制裁を与えたことが、とても大きなニュースになりました。
制裁内容は、赤根智子さんのアメリカ国内資産を凍結し、アメリカ企業との取引きサービス利用停止、入国禁止など。
そもそもICC(国際刑事裁判所)とIJC(国際司法裁判所)の違いもよくわからない私でしたが、この機会に著書を読ませて頂きました。
元々ICCは、1945年ナチスドイツのニュルンベルク裁判や極東軍事裁判、1993年旧ユーゴラスビア国際刑事法廷、94年ルワンダ国際刑事法廷などを経て、
2002年にローマ規定が発効され、正式にICCが発足したという流れがあるみたいです。
その後、独立後のアフリカ諸国をメインに、戦争犯罪やジェノサイドなどの解決を、法的に行っていた。
赤根さん曰くあまりにもアフリカばかり扱うので、世界的にアフリカ専門みたいな言葉で揶揄されたりもしていたが、それは偶然であって、のちにアジアやヨーロッパなどの事件も扱っていきます。
その過程で、ロシアのウラジミール・プーチン氏や、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ氏に逮捕状を発付した。
特にネタニヤフ氏に関しては、アメリカ合衆国大統領のドナルド・トランプ氏を激昂させ、本件に至ったという。
私が本書を読んで思ったことは、まず前提として、ICCは組織発足から歴史が20数年と短いということ。
まだまだこれからの組織で、国連や締約国との連携こそあれど、操作権限など含めて中々上手く機能が発揮しきっていないということ。
そうした中で所長である赤根智子さんは、法の支配は絶対で、政治的な圧力には屈しないとの姿勢が印象的で感心しました。
赤根さんの言うことは当然正しい。色々と書かれている通りの世界になれば、世界平和に近づくと私も思います。
ただ世界は、その正論通りには動いてくれない。
よく世界平和は欺瞞と言われることがありますが、国際連合の常任理事国の機能不全や、日本の核兵器禁止条約の不参加、今回の件を受けての高市総理の何とも言えない発言、他にも数え切れないほどの行動と発言の不一致が存在し、どうしても政治的圧力というものは、国際情勢や国際政治の中で存在します。
また今回の件は、単なる日米問題だけではないとの見方もあります。
アメリカ合衆国はそもそもICCの締約国ではありませんし、トランプ大統領に至っては国連そのものを避難していて、平和評議会を新たな国際機関にしようとしている動きさえあります。
色々と個人的に調べていくとICCには課題があるようです。犯罪捜査の管轄権をめぐる問題や、そもそも締約国か非締約国かで逮捕状の効力に問題があるなど。
しかし、そうした中でも赤根さんは、戦う姿勢を崩しません。
先ほど私が書いたような稚拙なことも当然理解しているでしょうし、もっとそれ以上の視点で物事を見て考えて、日々活動をされていることでしょう。
ロシアから逆指名手配もされ、計り知れない重圧と戦っている。こうした姿勢は、必ず誰かに継承されると私は思っています。
本書を読んでいくうちに、本当に素晴らしい人だな。いやこんなに素晴らしい人だからこそ、現在もこの位置にいるのだなと思いました。
任期があと数年で終わるみたいなので、ご年齢的にも、いつかゆっくりなされる日が来ることを祈っています。
本書の後半では、赤根智子さんの半生が書かれていて、そちらも面白いのでぜひ興味ある方は読んでみるのもありでしょう。
確かに経歴だけを見たらただのエリートなんですけど、時代背景を考えると、書かれている以上の、今の時代ではありえない程の苦労があったのだろうなと思います。
これからもICC関連は、国際情勢を追っていくうえで理解必須だと思うのと、あとは単純に組織構造の勉強にもなりますので、この機会に気になった方は手にとってみるのもありだと思います。
それでは今日はここまで。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。








































