あらすじ
太宰治の出世作『斜陽』の下敷きとなった、回想録的な日記。太宰の“愛人”として娘・治子を生んだ太田静子が、1945年の春から12月までの日々を太宰に勧められるままに綴って渡したもの。 『斜陽』の「人間は恋と革命のために生まれて来たのだ」の一節など、文面がまったく同じ箇所も多く見受けられ、太宰がどのように“文学”に昇華させたかがわかる貴重な資料でもある。
(小学館より)
感想・レビュー
私の大好きな作品である太宰治の「斜陽」の原点、それは一人の女、太田静子の日記からはじまったのでした。
解説とD山荘の資料が収録されていて、とにかく貴重な本でした。
太宰と静子の娘、治子さんの太宰への思いは複雑でしたけど、読めてよかったと自分は思いました。
和子ではなく静子。お母さまはお母さま。最後まで美しいお母さま。
太宰オリジナルの部分やままの部分。
少なくともこの斜陽日記を読んで太宰の死は、斜陽が原因の一つとして考えても良さそうな気もしました。
斜陽は書けてしまわなかった方が良かったのかもしれません。
落日。それ程までに滅びの美しさがありました。
今振り返って思うことは、この斜陽日記があってほっとしたというところか。じゃないと……。