木曜殺人クラブ【あらすじネタバレ感想】英国で大ヒット!現代版アガサ・クリスティ風謎解きミステリ!

あらすじ

ミス・マープルばりの活躍を見せる老人たちを描く、
現代版アガサ・クリスティー風謎解きミステリ。
英国で異例のスピードで100万部突破! 

イギリスの引退者用施設、クーパーズ・チェイス。かつての修道院を中心に現代的な建築物が立ち並ぶこの施設では、敷地内の墓地と庭園を開発して新たな棟を建てようとする経営者陣に、住人たちが反発していた。そんな中、元警官の入居者が持ち込んだ捜査ファイルをもとに、未解決事件の調査を趣味とする老人グループがあった。その名は〈木曜殺人クラブ〉。一癖も二癖もあるメンバーばかりの彼らは、施設の経営者の一人が何者かに殺されたのをきっかけに、事件の真相究明に乗り出すことになるが――新人離れした圧倒的完成度でイギリスで激賞を浴び、大ヒットとなった傑作謎解きミステリ。

(早川書房より)

感想・レビュー

イギリスで幾つもの賞を受賞し、大ヒットしている本作の翻訳版が出たということで、読んでみました。

翻訳の羽田詩津子さんは、昔読んだアガサ・クリスティの「アクロイド殺し」の時にも出会っている翻訳家さんでした。

そしてまずいつもの本作を読み終えた所感としては「確かに面白いけれど、手放しでは褒められないなぁ」という感じでしょうか。

さて、ざっくりと振り返っていきます。

主に舞台がイギリスの引退者用高級施設・クーパーズ・チェイス。

そこで未解決事件を娯楽として、謎解きごっこをする『木曜殺人クラブ』には、4人のメンバーで成り立っている。

エリザベス、元看護師のジョイス、元精神科医のイブラヒム、元労働運動家のロン。エリザベスは中でもピカイチに頭が切れる勇敢な女性だが、過去の素性が全く明かされていない。

そんな木曜殺人クラブの面々は、ひょんなことから現在進行中の殺人事件と関わることになる……。

という感じで第一、第二の殺人が起き、さらには、四十年、五十年?少し忘れましたが昔の事件も絡んでいき最終的に犯人が分かっていく流れになります。

個人的には褒めたいところは、まず翻訳小説特有に味わえる海外、本作ならイギリスの雰囲気、掛け合いなんかはとても良かったと思います。

羽田さんの技量もあるのでしょうけど、かなり現代版のイギリスなので、アマゾンプライムや最新デバイスの単語なんかも飛んできますし、少し身近にも感じられました。

他にも人間やその関係の描き方なども良いなと思えました。年老いた人たちの「再び」と「終わり」を両隣に置いて書かれているのもとても興味深く読めました。

クスりと笑えるユーモアな部分や、老人サイド、警察サイドなどでも垣間見えたり、その辺も純粋に小説として面白かったです。

さて、ここからは微妙だったところですね。まずは純粋にトリックでしょうか。

真相に近づいていくのが面白いと思えるところもあるのですがその反面、徐々に複雑化していく事件に、そこまで何か飛躍した解決、手段があったかと言われればそうでもなかったかなという印象。

小さく纏まってしまったかなぁというとこでしょうか。

あとは判断が難しいところでしょうか。

何をいっても本作の魅力であり難点の一つにもなった【視点】。

やはり翻訳小説なので人数が多く、名前を覚えるのが大変。

それに加えて、本作は元看護師のジョイスの一人称手記と、多人数視点で物語が動いていく。さらに海外ドラマの話が所々で插入されたりすので、テンポ感がどうしても途切れ途切れになり、没入感が多かれ少なかれ薄れてしまうということ。

さらに事件は複雑化していくので、全然読めないこともないけど、確かに翻訳小説の壁みたいなものは感じましたね。

だからこそ、この翻訳小説を読んだ外国人としては、読後感、若しくはトリック解決手段にカタルシス、何か飛躍したものを求めてしまうのではないでしょうか。

魅力的な部分があるからこそ、あともう一つ何か欲しいかなぁというのは覚えました。

著書さんはアガサの「火曜クラブ」を捩って書かれている?のでしょうか。英国からしたら偉大なる女王みたいなものですもねんね。

日本でいう江戸川乱歩みたいなものでしょうか。まぁアガサ・クリスティの世界的スケールは違いますが。笑)

あとは本書は早川書房さんから出版されているのですが、本書の形が長方形なんです。なので洋書みたいで読んでいて新鮮で楽しかったです。

また機会があれば、別の作品もこの形の本で読んでみたいなと思いました。

さらに本書には著書さんのあとがき、解説なんかもあり、その辺も大変楽しく読ませて頂きました。

最後にそんな著者であるリチャード・オスマンさんの情報を添えて、本日はこの辺で終わりたいと思います。

リチャード・オスマン

1970年イギリス生まれ、BBCのバラエティ番組のプレゼンター、コメディアンとして活躍。
2020年に本書で小説家としてデビュー。

その後、全英図書賞の年間最優秀著者賞を受賞、エドガー賞最優秀長篇賞、国際スリラー作家協会賞最優秀長篇賞、バリー賞最優秀新人賞、アンソニー賞最優秀新人賞など、多くの賞を受賞している注目の新人作家。

紹介した本