東京都同情塔【あらすじネタバレ感想】生成AIを駆使して書かれた芥川賞受賞作

あらすじ

日本人の欺瞞をユーモラスに描いた現代版「バベルの塔」
ザハの国立競技場が完成し、寛容論が浸透したもう一つの日本で、新しい刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることに。

犯罪者に寛容になれない建築家・牧名は、仕事と信条の乖離に苦悩しながらパワフルに未来を追求する。

ゆるふわな言葉と、実のない正義の関係を豊かなフロウで暴く、生成AI時代の預言の書。

(新潮社より)

感想レビュー

第170回(2023年・下半期)芥川賞受賞作

東京都同情都・トーキョート・ドージョート

表題がラップみたいに韻を踏んでいるのでつい口ずさんでしまいますね、笑

個人的に芥川賞の作品を読むのは随分と久しぶりな気がするのですが、本作はずっと読みたかった作品の一つでした。

何より本作は、芥川賞受賞時に、ChatGPT(AI)を混じえて執筆されたとして、話題になりました。

当時は内容を知らないので、日本でも最高権威の芥川賞が受賞を認めたってどんな小説なんだろうと、すごく興味がありました。

まず読了後の所感としては、思ったより楽しめて読めたかなぁと。

ただ芥川賞のときは、感想を言語化させるのが毎回難しいのでご了承ください。笑

なんとなく言いたいことは理解できたような、理解できなかったような、、というのが正直なところですね。

しかし本作は、SF要素もあったりするので、そこだけ理解する必要はありますが、個人的には読むうえでの親しみやすさもあるのかなと思えました。

簡単に本作は、建築家の中年女性を視点に、2020年東京オリンピック辺りから10年経過した、2030年を舞台に描かれていました。

世間が犯罪者を収容する豪華な施設を建てようとする中で、

人権であったり、ベーシックインカム、そもそもの「ホモ・サピエンス」として、文化人類学のような問いかけが、多岐にわたり繰り広げられていました。

私はもともとそういうジャンルや本が好きな人なので、人類についての目新しさはなかったと思うのですが、犯罪者を豪華な高層マンションで、豊かな暮らしを保証しながら収容するという設定はとても斬新でした。

そこから浮かび上がってくる人権への言及についても、すごく興味深かったです。

あとは芥川賞らしく、自己の内面から「言葉」というものの概念についても書かれていたかなと。その辺りは正直よくわかりませんでしたが、笑)

タイトルからも窺えるように、時々出てくるユーモアな部分もよかったかなと。

そして作中でもやはり特異な部分といえば、太文字で書かれている箇所ですよね。

おそらくこの部分がAIで書かれた文章、ということで勝手に理解して読み進めていたのですが(間違ってたらすいません)、その文章が特に違和感なく読めたということですよね。

まぁ著者の手で修正したりしてる可能性はあると思いますが。

本作はAIについても言及されているので、雰囲気的にも違和感はそこまで覚えませんでしたが、改めてこれ芥川賞なんだよなぁと思うと、少し時代を感じましたね。

現代は様々なことがAIで出来てしまいますが、将来的には小説はどうなるんですかね。

まぁどうしても人のチェックが最終的に必要なので、完全に一から十までおまかせで書かせるのは結局のところ難しいと思うのですが、精度がもっとあがればどうなるかわかりませんよね。

でも面白いのは、結局そのAIに知恵を与えているのが人間だということですよね。

本当かどうかわかりませんが、ハリウッド映画の脚本などにも使われていると聞いたことがありますし、今はブログだってAIに書かせられますからね。

ご覧の通り、私の文章は稚拙なので、全部手書きで書いているのがこの瞬間にバレてしまいますが。笑

それでは今日はここで終わりたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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