あらすじ
ゲレンデの下に爆弾が埋まっている――
「我々は、いつ、どこからでも爆破できる」。
(実業之日本社より)
年の瀬のスキー場に脅迫状が届いた。警察に通報できない状況を
嘲笑うかのように繰り返される、山中でのトリッキーな身代金奪取。
雪上を乗っ取った犯人の動機は金目当てか、それとも復讐か。
すべての鍵は、一年前に血に染まった禁断のゲレンデにあり。
今、犯人との命を賭けたレースが始まる。
圧倒的な疾走感で読者を翻弄する、痛快サスペンス!
感想・レビュー
東野圭吾さんはこれで十一作品目くらいですかね。
ガリレオ続編とどっちを先に読むか迷いましたが、季節的に雪山感を味わいなぁということでセレクト。
ミステリというより、サスペンスということで、後半の疾走感はたまらない面白さでしたね。
やはり東野さんは、動機と謎の組み合わせが非常に面白く、そして解決する流れもわかり易く、そして読みやすい。
本当にどうしてこんなに読みやすいのかなぁこの人の作品は、といつも関心させられますね。
物語はあらすじにあるように、とあるスキー場に脅迫状が届き、それを会社側がどうすのかという流れで物語は動き出します。
その背景には、スキー場の闇が蔓延っているのですが、出てくる登場人物もまた物語を動かす上では魅力的にかつ、役割的にしっかりと機能しており、もう何も言うことはございません。笑
もう今までの実績というか、東野圭吾作品を読んできた安心感があるので、本当にただ、純粋に読書を楽しめました。
犯人をスキー、スノボーでチェイスするシーンも臨場感があって、ここも楽しい。
あとは脅迫状とは別件の事件で、一年前に妻を殺してしまった町長の息子の良心の呵責というか、少しありきたりなシーンでさえ目頭を押さえてしまいそうな、良いシーンもありました。
最後の独身男性、仕事一筋の倉田が自分よりも十は離れた彼女をゲットしているのも、東野圭吾作品だなぁと笑ってしまいました。
私が最後にスキーをしたのは、多分小学校五年生くらいの時が最後。
もう何十年も前ですがどこか懐かしいスキー場の雰囲気を感じつつも、物語を楽しめる魅力的な一冊でしたね。