あらすじ
夏休みを伯母一家が経営する旅館で過ごすことになった少年・恭平。
仕事で訪れた湯川も、その宿に滞在することを決めた。
翌朝、もう一人の宿泊客が変死体で見つかった。その男は定年退職した元警視庁の刑事だという。
彼はなぜ、この美しい海を誇る町にやって来たのか…。
これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは―。
(文藝春秋より)
感想・レビュー
「真夏の方程式」は映画にもなりました。私は未視聴なので新鮮に読めました。
ガリレオシリーズも気づけば第6弾。
もうわたくしハマりまくっております。笑
というより東野圭吾さんの作品が何より素直に小説として面白いんです。
さて今回は長編です。
架空の島が舞台で、そこで起きた殺人事件?事故?に湯川は間接的に巻き込まれていく流れですね。
なので同じみの草薙や内海たちはお休みかと思いましたが、思わぬ方向性から東京と架空の島で連絡を取り合い事件の真相が徐々に明らかになっていきます。
ここにはトリックは書きませんが、相変わらず科学的なモノ。
今回は長編でかつかなり頁数が多めなので、当たり前ですが普段の短編集よりかなり焦らされる感じもあります。
舞台設定や登場人物、そしてシリーズとしての強みも巧みに扱って最後は何度も真相がひっくり返る展開にしていく。
トリック自体は科学者的には、特段すごい仕掛けではないかもしれません。
まぁ私からしたらすごいのですが。ですがここからが「東野圭吾ホワイダニット節」が炸裂します。
よくもまぁこんな複雑な人間関係というか事件を同時に絡ませることができるなぁと思います。
東野さんは腕がある作家さんなので、本当に上手いなぁと読みながら関心していました。
あとはなんですか、人間の愛憎とでもいうのですか、相変わらずこのシリーズの作品にはつくづく「もう誰も不倫すんな!」と言いたくなりますけど、今回は特にそう思いましたね。笑
ただ今回はいつもと違う要素というか、ガリレオこと湯川先生と、恭平という子供がかなり絡むので、今までの子供嫌いだったガリレオを知っている身からすれば、「おぉ」と成長のようなものも感じられました。
まぁ恭平という子供が単に偏屈なの子なので「子供嫌いを克服した」と言っていいのかはわかりませんが、最後の別れで湯川が恭平にかけた言葉だけは科学では言い表せない真意だったかと。
意外とガリレオシリーズは本格トリックと科学だけではなく、人間の心がかなり重要になってくるのがすごく本格ミステリとしては珍しいのではないでしょうか。
この人間味といいますか、それが一つ、この人気シリーズの秘訣かもしれません。
だけど真相を知って本当はどうすれば良かったのだろうか、というのがまたいい感じに読後の余韻となって染みてきます。
まさに「容疑者Xの献身」を少し思い出しました。作中でも「献身」事件に触れる文章もありましね。
では今日はこの辺で終わりたいと思います。
それにしても「真夏の方程式」だなんて本当に、どうしてこうもセンスの塊みたいなタイトルなんでしょう。笑
いずれ第七弾も読みます。ではまた。
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