線は、僕を描く【あらすじネタバレ感想】水墨画家が執筆した、異端のメフィスト賞受賞作!

あらすじ

両親を交通事故で失い、喪失感の中にあった大学生の青山霜介は、アルバイト先の展覧会場で水墨画の巨匠・篠田湖山と出会う。なぜか湖山に気に入られ、その場で内弟子にされてしまう霜介。それに反発した湖山の孫・千瑛は、翌年の「湖山賞」をかけて霜介と勝負すると宣言する。
水墨画とは、筆先から生みだされる「線」の芸術。
描くのは「命」。
はじめての水墨画に戸惑いながらも魅了されていく霜介は、線を描くことで次第に恢復していく。

(講談社BOOK倶楽部より)

感想・レビュー

第59回メフィスト賞受賞作、第十七回本屋大賞3位ノミネート

旧題:「黒白の花蕾」

両親を事故で亡くして塞ぎ込んだ大学生が水墨画の師匠と孫の美少女娘と出会い、変わっていく。

という流れは王道というかベタなのですが、そもそもの題材が「水墨画」なので、それだけで珍しいし興味深く、かなり惹き込まれていきます。

水墨画という現代の立ち位置や、歴史をさらっとわかり易く教えてくれるのも興味深く読めました。

小説以上に若者が少ない業界もまだまだあるものなのですね。やはり芸術色の深い世界にはつきものなのでしょうか。

何より著者自身が水墨画家という経験からか、創作描写が上手い。いや間違っていても分からないのだが。

まあ他にも評価したい所があって、時たま出てくる一節が美しい箇所が幾つもあった。新人離れした綺麗な文章、感性を持って書く人だなと読んでいて感心しました。

ただ物語全体が静かな小説で、王道を踏んでいるものの少々大人しい印象にも感じるが、そもそもそういう業界が題材なのだから仕方ないか。やはり小説と少し似ている。

そこの判断が難しいが、生粋の物書きなら必ず途中で何かしら暴れようしたりするので、そこも著者が小説家の前にまず水墨画家なんだなと。

個人的にもし著者がこれからも小説を書き続けるなら、幾つも別の作品を書いて腕を上げた状態でまた水墨画小説と向き合ってみて欲しいし、是非それを読んでみたいと思いました。

あとこの本の見返しと奥付裏に著者が描かれた水墨画が載っているので、また一冊の本として面白いですね。

メフィスト賞受賞時の砥上裕將さんのインタビューなんかも面白いので、ぜひ興味のある方は下のリンクからどうぞ。

砥上裕將さん一問一答 講談社ノベルス

まとめ・どんな人にオススメ?

今思えば、初めて水墨画を題材にした作品を読みました。

なんていうのか良い意味でメフィスト賞らしくなく、むしろこんなジャンルもメフィスト賞になるんだなぁと意外に思いました。面白かったのは間違いありませんが。

普段、漫画を読む人とかにもオススメできるし、普段あまり小説を読まない、若しくはしばらく読んでいない人たちとかにも読んで欲しいですね。

それでは今日はこの辺でおわります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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