あらすじ
ルールは越えられる。世界だって変えられる。読書界を圧倒した記念碑的名作。文庫化にあたり改稿。
兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは――。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。
(新潮社より)
感想・レビュー
第1回本屋大賞“第五位”ノミネート作品、このミステリーがすごい!《2004》第三位ノミネート
伊坂幸太郎さんはこれで四冊目くらいですね。結構ハマってきております。
さて、物語は「春が2階から落ちてきた」という書き出しからはじまる。まさにこういうところも伊坂さんらしい。
本作を大きく纏めると、放火、グラフィティアート、遺伝子、兄弟、家族などでしょうか。
また家族小説とも言えますし、兄弟小説とも言える。
私も年後の兄弟がいるので、何だかんだ良い小説だったなぁという印象が強く残りました。
漫画の宇宙兄弟とかもそうですけど、弟が優秀な作品って案外外れがないですね。笑
また安易的な方向に、よくある展開にならないのが伊坂さんの作家として面白いところです。
相変わらずユーモアと機知に富んだ台詞回し、引用の使い方も物語を読ませるのに欠かせない要素となっており、これがかなり強力な武器になっています。
そして非常に読みやすく、またテンポがかなり計算されているかやはり面白いです。
難しくなりそうな所はできるだけ分かりやすく描写するのも上手いなぁと。
難しいことをそのまま書くことは簡単なことだとは思うのですが、これは意外と結構難しいのではないかと思います。
だから読んでいて一見簡単そうに見えますが、これはかなりの技量だと思います。
伊坂さんの作品には、犯罪系にエンタメ感を強く絡めていくので、好き嫌いはあると思いますが、私は良いんじゃないのと思えるのでこの作品も推せます。
むしろ伊坂幸太郎という作家にしかこういう話は書けないのではないかと、数作読んでいくうちに気づきはじめました。
素敵な作家さんです。
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