
あらすじ
孫への腎臓移植を望むも適さないと診断された村上和久は、兄の竜彦を頼る。
しかし、移植どころか検査さえ拒絶する竜彦に疑念を抱く。目の前の男は実の兄なのか。
27年前、中国残留孤児の兄が永住帰国した際、失明していた和久はその姿を視認できなかったのだ。
驚愕の真相が待ち受ける江戸川乱歩賞受賞作。
(講談社より)
感想レビュー
第60回江戸川乱歩賞受賞、このミステリーがすごい!《2015年》第3位ノミネート
久しぶりの乱歩賞作品とうことで、楽しみに読みました。
まず読了後の所感としましては、面白い。良かった。流石だなぁと。
個人的に多くの乱歩賞作品を読んでいるわけではありませんが、乱歩賞作品の中では、かなりレベルが高かったように思えましたね。
巻末にある「有栖川有栖」さんの解説にも書かれていましたが、選考も満場一致だったと書かれていて、納得しました。
全盲の老人を主人公に置き、実は兄は偽物なのでは?というわかりやすい謎の提起から、満州の残留孤児と移民背景などを絡ませつつ、最後まで読ませる力がありました。
全盲ならではの要素を、巧みに小説に落とし込み、二転三転とひっくり返していく終盤はお見事としか言えませんでした。
何より絶妙なミスリードが、新人離れしているように思えました。
細部に対する粗さは少し感じたものの、作中に提示された伏線はフェアを保っていて、本格としての面白さも十分にあったように思います。
盲目ならではの点字を使った仕掛けや、内面描写、人間関係においても物語に深みを与えており、読み応えもありました。
盲目としての生活、残留孤児や中国と満州のお話などの部分も興味深く、参考文献を見るに、よく調べられているなと思いましたね。
強いていうなら、真実が判明してからの主人公の反省が浅いな(笑)とか、終盤の孫が攫われた部分や、助かるまでのリアリティが薄かったくらいですかね。
ですがそれらを差し置いても、全体的にクオリティの高い作品にまとまっていました。
またこれからも、乱歩賞作品は漁っていこうと思います。
それでは今日はここまで。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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