隻眼の少女【あらすじネタバレ感想】最悪最凶の探偵現る

あらすじ

自殺する場所を求め寒村の温泉宿を訪れた大学生の種田静馬は、村の伝説の地で起こった少女の首切り事件に遭遇する。

被害者は古から村を支配するスガル様の後継者で、九年後に起こると予言される大難事に備えるべく修行をしていた。

犯人の罠により殺人犯と疑われた静馬を見事な推理で救った水干姿の十八歳の隻眼の少女の名は御陵みかげ。名探偵であった亡き母、御陵みかげの遺児で、母の名を継ぐべく、元刑事の父の手ほどきで各地で探偵としての修養を積んでいた最中だった。

静馬は助手見習いとして、みかげと共に被害者の琴折屋敷へ向かうが、そこでは第二第三の殺人が待ち受けていた。

三つ児の三姉妹、そして父を失いながらも難事件を解決したみかげ。だが、18年後に同じ現場で18年前を再現するような悪夢が……。

絶品の超絶本格ミステリー。

(文藝春秋より)

感想レビュー

第64回日本推理作家協会賞受賞、第11回本格ミステリ大賞受賞

麻耶雄嵩さんの小説は、はじめて読みますが、本作はずっと昔から認知しておりました。

まず読了後の所感としては、いやぁ面白い。もうそれは間違いないです。

読み終えてから、第一部の気になる部分を何度も確認しました。この作品、めっちゃくちゃ悪いです。凶悪です。笑

確かに本格ミステリ大賞になるぐらいだから当たり前といえばそうなんですが、なんというか作品の密度、練度、執念といいますか、凄まじいです。

こういう本格ミステリに出会ったときにいつも思うのは、推理オタク(良い意味の)が書いたんだろうなぁと感心してしまいます。

強いていうならば、この作品の帯がすごく惹かれるんですけど、めっちゃネタバレなんですよ。笑

絶対これ知らないで読むだけで、もっと楽しめるだろうなとは思いました。

とはいえ、ミステリーをたくさん読んでいる人は、最初から主人公やヒロインなどを真っ先に疑う癖がついてはいると思うので、

あとはどれだけ欺けるか見破れるかの戦いなので、大したことではないのかもしれませんが。

ただ難しいですよね、この帯に惹かれるのも間違いないですし。笑

物語は、村で起きた殺人事件を、探偵が解決しようとするという、フォーマットは珍しいわけではないです。

しかし表紙にもなっている探偵の「御陵みかげ」という特異な少女が、素晴らしい個性を持っていました。

自殺を試みている主人公の謎めいた感じも、作品を形作るうえで絶妙なバランスを保っていました。

そのお陰で、作中の犯人探しのミスリードが二転三転と転んでいくのがとても楽しい。

読み進めながら、何度もこいつが犯人、いやあいつかもしれないとシミュレーションしました。

そして本作は、二部構成になっており、第一部では1985年、第二部では18年後の2003年という舞台で、同じ村で似たような殺人事件が起きるという展開です。

何より本作のすごいところは、絶対主人公やみかげとかなんかあるだろって読者は思いつつも、肝心の動機が中々見えないんですよね。

これは素晴らしいミステリーに共通するものとも言えますが、まさに本作もそこが輝いていたかなと思います。

最後の最後に動機が明かされたときに、しっかりと形として納得出来るものがそれなり用意されている。

ある意味これが本格の一番難しいところだと思いますが、その辺りも個人的には納得出来るものでした。

トリックに関しては、流石に神が味方しすぎかなと思うところもありますが、面白さが上回れば私は良いと思う派なので、大変楽しめました。

まぁでも、一応気になったところも書いておきます。

まず人を殺すこともそうですが、首を切るのって、死後とはいえそんなスムーズにいくのかなとは思いました。

特に血液の付着に関しても、第一部での年齢や、主人公との距離感を考慮しても、どうやって配慮したのか、そこまで完璧に遂行することは、殺人数を考えても非常に難しいのかなと。

とはいえお話的には、それらを完璧に遂行したうえでのお話だったので、納得する以外の道はありませんが、楽しめたので良しとします。

種田静馬、略して「種馬」という最後の回収も、最悪なほど天晴れすぎて、めっちゃ笑いました。

それでは今日はここまで。

最後までお読み頂きありがとうございました。

また麻耶雄嵩さんの作品は、どこかで読んでみたいですね。

それでは。

紹介した本