22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる【感想レビュー】新時代の社会は本当に実現可能なのか

あらすじ

断言する。若者が選挙に行って「政治参加」したくらいでは日本は何も変わらない。

これは冷笑ではない。もっと大事なことに目を向けようという呼びかけだ。何がもっと大事なのか? 選挙や政治、そして民主主義というゲームのルール自体をどう作り変えるか考えることだ。ゲームのルールを変えること、つまり革命であるーー。

22世紀に向けて、読むと社会の見え方が変わる唯一無二の一冊。

(SBクリエイティブ)

感想・レビュー

経済学者・成田悠輔氏の実用書。

数年前からABEMAでひろゆき氏や若新さんと出演しているのを見て、ずっと気になっていました。

最近ではバラエティ番組やラジオにも出ており、引っ張りだこの印象です。

真面目な発言や印象から、急に人類愛に欠けた発言をするところがすごい面白い人です。

本書でも他人事のように繰り出されるその節が時々垣間見え、ついニヤニヤしながら読んでいました。笑

相変わらずの知的さはいうまでもありませんが、本書を読んでいて本当に思考の領域がとても深い人だなぁと思いました。

本が出版されてから読むまで、かなり時間が空いてしまいましたが、とりあえず読了。

主に「現代の民主主義は古い、異常だ」という内容ですが「ではどうすれば良いのか」といった視点で模索し、提案し、構想までを4章にわけて書かれていました。

多少、数学的なことも書かれていましたが、ある程度読みやすい内容で書かれていたかなと思います。

・まずは現代の民主主義が如何にして「故障」しているのかについて。

多くの者がとっくに気づいている選挙制度の無理ゲー詰み具合や、資本主義と民主主義について、政治、社会制度の故障、劣化についてなどが書かれていました。

個人的に意外だったのが、数少ない若者の選挙票の多くの行き先が、自民党を占めているという事実です。これが後退をしめす教育洗脳の効果なのか…と改めてこの国の罪深さを感じました。

身内は頑張って野党に入れてましたが、それはそれでいいんじゃないのかなぁと思いつつも、ただそれが実を結ぶことは本書でも書かれている通り難しい気もします。

やはり現制度で、支配者たちと闘っても相手の手のひらの上でしかない、という現実はあるのかもしれません。というよりそれが、長年続いている実質的な一党独裁体制に繋がっているんじゃないでしょうか。

・次に現代の民主主義と闘ってみる。

これは現代の民主主義をどう内側から改革していくのか、という模索具合が書かれていました。

内容は現代の技術やアルゴリズムを利用した、今できる力を出すとこういう改革でやってみるしかないよねという内容。ただ成田氏自身も、やはりどこか限界を感じているような雰囲気もありました。

・次に現代の民主主義から「逃走」して、独立国家建設を模索してみる。

まるで小説のような案でもあるのですが、世界と歴史を見渡せば、決っしてないとは言い切れない。

むしろ末期の日本ではこういうことが起きてもおかしくはないとも思える内容でもありました。

・最後に新時代の民主主義「無意識民主主義」について構想、デザインしてみるとこうなる。

無意識民主主義は、本書でも多く語られている案で、現代人である我々、古い人からすれば「まるでSF小説だ」とも感じてしまいますが、どうすればそれが可能になるのか、そして可能である、といった内容が示されていました。

あとはやはり「犠牲者」ですよね。

誰がこの沈みゆく船を治すのか。誰がこの日本の為に死ねるのか。

読んでいて、やはりここが一番の問題だなぁと思いつつ、本書にもしっかりとそのことが書かれてもいました。

このままではいけないというのは、日本人の多くが薄々感じていることです。でもそれを先導する人たちは独裁的高齢者たちともいえる。

機械に任せるには、その機械を導入させる人の力が必要不可欠でもあります。

例え優秀で野心のある政治家や官僚になっても、大会社の一部下として吸収されてきた日本。

やはりルールを変えるのは外側からしかないのか。

民主の形にも色々あるとは思いますが、日本はみせかけの民主かもしれず、一党政治状態が長く続いている。

GDPをやたらと強調するわりに、国民は訳の分からない税に苦しみ、今を生きるのに必死で、未来への構想や次世代の人々に投資する暇と余裕がない。

まるで「庶民風情が未来など考えるな」と言われている気もする。本当に先進国と言っていいのか分からない状態が続いている。いや、言ってはいけないかもしれないが、もう違うのかもしれない。

長い歴史、先史時代からみても国が自滅的に崩壊する時は、必ず民が支配者に苦しめられているときだ。日本だけは違うと思いこむのは危険すぎるかもしれない。

年中、北からロケットがやまず、米の許可なしに、物事が進めず、本音で動けない。

戦うかわりに、安寧を手に入れた代償はいつかくるかもしれないし、もう始まっているのかもしれない。

そろそろ、いや、もう遅いかもしれないが、現状の、本当の、立場を受け入れて、話す時間が必要なのではないだろうか。

それとも、戦後から支配されたこの国は、最初から詰んでいたのか…?

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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