Ank: a mirroring ape【あらすじネタバレ感想】チンパンジー。鏡。人類。そして起源

あらすじ

2026年、京都で大暴動が起きる。京都暴動(キョート・ライオット)──人種国籍を超えて目の前の他人を襲う悪夢。

原因はウイルス、化学物質、テロでもなく、一頭のチンパンジーだった。

未知の災厄に立ち向かう霊長類研究者・鈴木望が見た真実とは……。

吉川英治文学新人賞・大藪春彦賞、ダブル受賞の超弩級エンタメ小説!

(講談社より)

感想レビュー

第39回吉川英治文学新人賞受賞、第20回大藪春彦賞受賞

ここ最近着実に佐藤究という作家に取り込まれつつある私が、次に手にしたのが「Ank: a mirroring ape(アンク:ア ミラリング エイプ)」でした。

まず読了後の所感としては、いや、参ったなぁ、本当に、この作家は、本当に。言葉に言い表せない力があります。

本当に、どうやってこんな話思いつくんだと、読了後何度も思いました。

タイトルも読み終えると憎らしいぐらいかっこいいですよね。笑

解説の今野敏さんも、本作を読んで引退を考えたと仰っていましたが、(流石に総ツッコミ間違いないなしですが、笑)まぁそれでも、言いたいことはわかりました。

本作はそれだけのスケールで物が書けるということを証明しましたから、近いところでいうと「ジェノサイド(高野和明)」や「虐殺器官(伊藤計劃)」「星を継ぐもの(ジェイムズ・P・ホーガン)」など、表現の違いはあれど、人類の根源を探求するという試みですよね。

私なんかは、この手の作品が大好きですから、もう面白くて仕方なかったです。

本作は「2001年宇宙の旅」「猿の惑星」などの影響も受けているらしく、作中でもチンパンジーが主題となっていきます。

他にもゾンビ映画というかパニック映画の要素を取り入れながら、京都暴動というのが起きて、そこに霊長類学者や他の学者、投資家、ライターなどが交錯していきます。

やっぱりこういう作品の醍醐味は、科学的に、ロマン的に、どう人類の根源を描けるか、語れるか。

そのバランス感覚だと思っていて、本作は最終盤辺りまで、科学的な部分の弱さがあったのですが、撒いていた種が一気に花を咲かすシーンがあって、それがもう見事で、言葉を失いましたね。

私は別に霊長類学者や人類学者でも何でもないので、stsat反復という言葉も初めて知ったぐらいの人間なので、もしかしたら学術的に考えると、とんでも理論なのかもしれませんが。特に警戒音とかはそうですよね。

まぁそれでも私的には、事前にアンクの喉を傷つけている芸の細かさとか、警戒音に反応するまでの道筋が、理論上は通っていると思えたので、なるほど、そういう考え方もあるのだなと、純粋に楽しめました。

それに科学的に証明のしようがないということもありますしね。

まぁ強いていうならば、「テスカトリポカ」の時もそうでしたが、長い。とにかく長いんですよ。

でも著者は毎回かなり参考資料を読み込みますから、これでもかなり削ってこれなのかもしれませんし、私はこれこそが佐藤究の味だと個性だと思っています。

まぁただ、もっとエンタメ展開が何発も欲しい人は、少し我慢が必要かもしれません。

佐藤究の作品は、基本的にいい終わり方をしないのですが、それでもしっかり嫌な感じが残らないのも流石だなと思いました。

一応佐藤究としては二作目になる本作ですが、デビュー作「QJKJQ」読んだ時に思ったのと同じく、やはりこの作品も、テスカトリポカに繋がっているのだなと感じ取れました。

それでは今日はここまで。

最後までお読み頂きありがとうございました。

紹介した本