ダ・ヴィンチ・コード(上・中・下)【あらすじネタバレ感想】芸術と宗教が謎を生む、逃避行ミステリー!

(上巻)あらすじ

ルーヴル美術館のソニエール館長が異様な死体で発見された。

死体はグランド・ギャラリーに、ダ・ヴィンチの最も有名な素描〈ウィトルウィウス的人体図〉を模した形で横たわっていた。

殺害当夜、館長と会う約束をしていたハーヴァード大学教授ラングドンは、警察より捜査協力を求められる。

現場に駆けつけた館長の孫娘で暗号解読官であるソフィーは、一目で祖父が自分にしか分からない暗号を残していることに気付く……。

(KADOKAWAより)

(上巻)感想・レビュー

このミステリーがすごい!海外《2005年》第4位ノミネート

タイトルは耳にしていたので、いつか読めればと思っていました。

ダン・ブラウンさんは初読みですね。

まず〈上〉巻にあたり、現段階で本作を評価をするのは難しいのですが、軽く振り返っていければと思います。

まず現段階の所感としては、予想以上の面白さ、でした。

序章でルーブル美術館の館長であるジャック・ソニエ−ルが何者かに襲撃されるシーンから始まります。

後にこのソニエールは、レオナルド・ダ・ヴィンチの〈ウィトルウィウス的人体図〉を模倣した死体を自ら作って死亡したことがわかりました。

これも後からわかりますが、他にもソニエールは様々な暗号〈ダイイング・メッセージ〉を残しており、主人公とフランスの司法警察暗号解読官であり、ソニエールの孫娘でもあるソフィー・ヌヴーが謎解きを始めます。

そして主人公、ロバート・ラングドンは、ハーヴァード大学で宗教象徴学専門の教授を勤めている。

詳細は伏せられていますが、ラングドンは過去にバチカンで(ヒーロー?)有名になり、その経緯もあってか、フランスの大学で講演があるので、パリに訪れており、物語が動き出します。

ラングドンは、講演後の晩にジャック・ソニエールとはじめて会う約束をしていましたが、連絡が取れず、後にベズ・ファーシュ(フランス司法警察中央局警部)から疑われ、手柄を焦っていたファーシュから無実の罪だが、逮捕されかけます。

それをソフィーが救ってくれるところで二人は出会い、何とかファーシュから逃げ出します。

そしてもう一つの視点で、通称シラスと呼ばれる修道僧とその司教であるアリンガローサの視点でも物語が動き出します。

こうして複数の視点がリズム良く動き出していき、疾走感溢れる逃避行劇と謎が、リーダビリティを加速させます。

そしてその謎も芸術を扱ったもので興味深い。

我々日本人からすると、海外の風を感じつつ、知的さも感じられるので、読んでいてとても楽しかったです。

途中で宗教なども絡んできますが、歴史も深い所を掘り下げはじめており、全て事実に基づいているという。

絵画について遊び程度の知識しかないので、ダ・ヴィンチの〈岩窟の聖母〉には、あの様な宗教象徴的読み方もできるとは思いもしませんでした。

ダ・ヴィンチが今世紀まで根強く名が残っているのは、多彩さや後に残した功績などもあると思いますが、何より彼の奇抜な性格というか生き方などにも要因があるのだなぁ、と興味深く読めました。

最後には〈聖杯〉などの単語も出てきて、とても気になる終わり方でした。

まだまだ謎が多く残っている状態ではありますが、続きを早く読みたいと思います。

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(中巻)あらすじ

館長が死の直前に残したメッセージには、ラングドンの名前が含まれていた。

彼は真っ先に疑われるが、彼が犯人ではないと確信するソフィーの機知により苦境を脱し、二人は館長の残した暗号の解読に取りかかる。

フィボナッチ数列、黄金比、アナグラム……数々の象徴の群れに紛れたメッセージを、追っ手を振り払いながら解き進む二人は、新たな協力者を得る。

宗教史学者にして爵位を持つ、イギリス人のティービングだった。

(KADOKAWAより)

(中巻)感想・レビュー

前回の終盤で、『聖杯』という単語を残し終わりましたが、そこからスタート。

まずは聖杯伝説に纏わる話があり、そこからレオナルド・ダ・ヴィンチの〈最後の晩餐〉の仕掛けが、キリスト教という点から象徴学的に、宗教的にどういう意味を成しているかなど、今回も知的心をくすぐる謎が色々と判明していきます。

マグダラのマリアやイエス・キリストについて、どこかで聞いたことがあるようなないような感じでしたが、薔薇や男女を表す記号だったり、ウォルト・ディズニーの逸話など、とても興味深く読めて楽しかったです。

その辺りは、個人的に別の本を読んで知りたいと思いました。

さて話を戻しまして、その前にラングドンとソフィは、現在進行形で逃走中。

その逃走劇もそれなりに面白い。

そして二人は、もう一人の仲間〈リー・ティービング〉に会いに行く。

リーは、聖杯について人生をかけて研究しているイギリス人の宗教史学者で、一旦彼の家にかくまってもらい、今までの状況などを整理します。

だがそこに〈オプス・デイ〉の修道僧・シラスが襲撃してくるなど、ここで初めて二つの視点が合流します。

一悶着あったものの、シラスを拘束したラングドンたちは、追いかけてくるファーシュたちから逃げるべく、リーの自家用飛行機でフランスを抜け出し、イギリスへと向かう。

その道中、ソフィの祖父ジャック・ソニエールが残した暗号解読に成功し、失われかけたキー・ストーンの道筋が残りました。

そして上巻でソフィが祖父となぜ10年間も口をきかないことになったのか、その原因やその他の伏線などが少しずつ回収されたりしました。

まぁ確かに、流石に自分がソフィのように大学生で、自分のおじいちゃんや年老いた婆さんたちがあの様な儀式をしていたら誰だって腰を抜かし、常軌を逸した集団乱交にしか見えません、笑

それでも二千年という歴史の中での儀式という点を知れば、如何にも人間的な思考だなと関心のような気持ちが沸き起こりました。

そして最後にラングドンたちはどうなるのか。個人的にこの先どうなるか正直全然わかりません。笑

鍵はシラス、オプス・デイの司教アリンガローサたちにあるかもしれません。

次巻で完結するので早くその結末を読みたいと思います。


(下巻)あらすじ

ティービング邸で暗号解読の末、彼らが辿り着いたのは、ダ・ヴィンチが英知の限りを尽くしてメッセージを描き込んだ〈最後の晩餐〉だった。

そしてついに、幾世紀も絵の中に秘され続けてきた驚愕の事実が、全貌を現した!

祖父の秘密とその真実をようやく理解したソフィーは、二人と共に、最後の鍵を解くため、イギリスへ飛ぶ――。

キリスト教の根幹を揺るがし、ヨーロッパの歴史を塗り替えた世紀の大問題作!

(KADOKAWAより)

(下巻)感想・レビュー

いよいよ最終巻になります。

まず読み終えた読後感としては、なるほど、そういう感じで終わるのかと。

宗教と人というのは、一体何なんだろうな、と改めて考えさせられました。

前回、私は「鍵はシラス、オプス・デイの司教アリンガローサたちにあるかもしれません」みたいな言葉を残して終わったのですが、別にそうでもなかったです。すいません、笑

終盤に色々とひっくり返してくるミステリ展開にめくる頁が止まりませんでした。

少し物語をまとめていきます。

ロバート・ラングドンとソフィー・ヌヴー、リー・ティービングたち一行は、いよいよ聖杯は目前、その前にジャック・ソニエールの残した詩という暗号を解き明かす。

ということで動いていたのですが、まさかのリーの執事、レミーが裏切り者で、主を裏切る展開に。

もう先に書きますが、このリーの裏切りには、実は全部リーが仕掛けたシナリオで、ラングドンとソフィーを裏切る『真犯人』という展開にまで発展します。

もう一つの視点である〈オプス・デイ〉のシラスとアリンガローサ司教たち。こちらの行動も全部結局リーに上手い事利用された上での行動だったとのちに明かされます。

となると、物語の序盤でジャック・ソニエールが死ぬところから始まりますが、全部これもリーが蜘蛛のように人を利用して糸を引いていた結果だと判明しました

まさに聖杯に取り憑かれた天才とでもいいますか、とにかくリーは頭が切れる奴でしたが、最後は自分の欲望の深さに飲み込まれてしまって逮捕、という形になります。

というのも、更にもう一つの視点である、警察側のファーシュとコレたちの動きで、色々な謎が出てきてはそれを仕掛けたリーの影を掴みはじめます。

何よりファーシュたちが、やっと冷静になってくれたというのが一番なのですが、逆に考えると彼らのお陰で構成的な面が引き締まり、疾走感溢れる逃走劇に繋がったかな、と思えました。

そしてもう一つの驚きの展開が、ジャックソニエールがソフィーに残した秘密があまりにも悲しすぎるということ。

ソフィーは幼少期に両親と弟を交通事故で亡くし、ジャックに引き取られた、という経緯がありましたが、両親が亡くなったのは本当らしいのですが、終盤に祖母と弟と再会する展開に!

実はそこにシオン修道会、イエス・キリストとマグダラのマリアが起因していた、と。

流石に目玉が飛び出そうになりましたが、笑)ここは是非とも読んで欲しいので、詳細は伏せますが、ここの展開、仕組みを作ったのは凄いなぁと何度も感心しました。

そしてラスト。ラングドンたちが待ちわびた聖杯の正体が判明します。

聖杯とは、というより、その聖杯を探求することの真の目的であり、それが歴史から葬られ、娼婦とまで汚されたマグダラのマリアという聖なる女性に心から祈りを捧げる為に旅を続けるのだ、というものだった。

なるほどなぁ、と。

イエス・キリストの血を引く子を産んだと言われているマグダラのマリア。

聖杯伝説を追い求めて、旅を続けた者は数しれず。だが聖杯という物体を見つけたものはおらず。

その真相は、テンプル騎士団が奪われないように随時聖杯の隠し場所を変えていて、神聖どころではなかったとか。

現実世界の聖杯には、万物の力はなく、それを秘匿し、神秘性を保つことによって探求させる。

だが人は見えないものに自分の理想を詰め込む生き物。

まさに聖杯とは、人々が作り出した幻想に過ぎないと。目を覚ませ。その先に聖杯が見つかると

なんとも宗教的ですが、私はこの真相がとても気に入りましたし、美しい心みたいなものを感じました。

まぁそう考える方が現実的ではありますよね。笑

そしてラングドンもその真相に辿りつき、彼は一人、とある場所にてマグダラのマリアの声を聴いたが気がした……と。

そのきっかけがルーヴル美術館に残る世界一の芸術品たち。ダ・ヴィンチやボッティチェルリなどなど、そこにヒントがあったと。

全てがそこから紐のように繋がっていた、まさにそれがダ・ヴィンチ・コードという意味合いでしょうか。

それともハーモニー?笑)わかりません。

おわり

まぁ何にせよ、知的心くすぐる、良質なミステリでもありました。

私の母親がカトリックなのと私自身もキリスト教の高校に通っていたので、聖書の授業やクリスマスやイースター礼拝など遠い存在ではないのですが、基本的には無宗教という典型的な日本人なのでこれを機に聖書をもう一度通読してみたくなりました。

あと他の宗教と歴史を知りたくなったので、また別の本をちょこちょこ読んでみようと思います。

本書を読んでイギリス、フランスの景観、テンプル騎士団や教会など、とても興味が唆られましたので、これを機に聖書含め知っていきたいと思います。

だいぶ長くなってしまったので、今日はこの辺で終わります。

お読み頂きまして、ありがとうございました。

翻訳は越前敏弥さんです。

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