
あらすじ
朝、小川のほとりで蛇に咬まれた隣家の娘をすくう場面からはじまるこの物語、舞台は藤沢読者になじみ深い東北の海坂(うなさか)藩である。
清流と木立に囲まれた城下組屋敷。淡い恋、友情、そして悲運と忍苦。
ひとりの少年藩士が成長してゆく姿をゆたかな光のなかで描いたこの作品は、名状しがたい愛惜をさそわずにおかない。
(文藝春秋より)
感想レビュー
良作だということは常々耳にしていましたので、いつか読んでみたい小説の一つでした。
この機会に読むことが出来ましたので、さっそく感想から。
まず読了後の所感としては、すごく良かった。面白かった。この言葉が染み染みと思い浮かびました。
私自身、時代小説を読むのがすごく久しぶりでしたが、本作はとにかく読みやすいので、すっと物語に入っていけました。
詳しい年号などは書かれていませんでしたが、おそらく江戸時代を舞台に、少年・牧文四郎の成長が一冊を通して描かれていきます。
物語の筋は、とても王道的なもので、友情、恋、苦難、喪失、努力、勝利、青春など、現代でいうところの少年漫画のような流れで、確かに面白くなっているわけだと思いました。
文四郎の友人二人も個性的で、ヒロイン枠となるお福との関係も絶妙に良い塩梅で描かれる。
みな別々の道を歩み、お福に関しては立場も大きく変わっていきます。
年上の未亡人に惹かれる辺りも、少年心がくすぐられましたね。
かつてのライバルや父を葬った政敵との対決など、手に汗握る展開もありました。
何より秘剣村雨を修得したあとの戦いは、本当に少年漫画のような爽快感があり、つい笑ってしまいました。
終盤の、二十年の時が経った文四郎とお福のお話には、郷愁や儚さのようなものが織り混ざっていて、胸に込み上げてくるものがありました。
情景描写も簡潔で、全体の構成も綺麗でしたね。登場人物も最後まで無駄なく動かせていて、その辺りも個人的に良いなと思えるポイントでした。
余談ですが、Wikipedia(蝉しぐれ)によると、当時は新聞連載だったらしく、一冊になるまでは人気も反応もなく、著者自身も書いていて何も楽しさがなかったみたいです。笑
ということで、今日はここまで。
久しぶりに時代小説を読みましたが、本当に読めてよかった、出会えて良かった一冊でした。
また藤沢周平さんの小説をいつか読めればなと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。


































