
あらすじ
18世紀英国。愛弟子エドらを失った解剖医ダニエルが失意の日々を送る一方、暇になった弟子のアルたちは盲目の判事の要請で犯罪防止のための新聞を作っていた。
ある日、身許不明の屍体の情報を求める広告依頼が舞い込む。
屍体の胸には〈ベツレヘムの子よ、よみがえれ! アルモニカ・ディアボリカ〉と謎の暗号が。
それは、彼らを過去へと繋ぐ恐るべき事件の幕開けだった。
『開かせていただき光栄です』続篇。解説/北原尚彦。
(早川書房より)
感想レビュー
『エドワード・ターナー』三部作の第二作目。
「開かせていただき光栄です」の続編です。
前作が衝撃的に面白かったので、読んでみました。
エドとナイジェルがみんなの前からいなくなって数年。それぞれが新たな生き方を見つけていた。
そんな折に、新たな特殊事件が治安判事ジョン・フィールディングのもとに舞い込んできて……という感じで、物語は幕を開けます。
という感じでまず読了後の所感としては、今回特に事件も複雑で、登場人物も多く、最後までどうなるかわからないんですけど、気づけば最後は面白くなっていた、という感じでしょうか。
というのも先に少し書きましたが、とにかく事件が複数絡みあい、さらに登場人物が多く、頁数もあるので、ついていくだけでも結構大変なんですよ。
続編なので、主要人物たちが先に理解出来ていたことが救いだったかもしれません。
ただ細かい因縁とか関係性が、事件と複雑に絡み合うので、とにかく記憶力勝負みたいなところもありましたね。笑
逆によくもこれだけのお話を纏められるなぁと、皆川さんの力量に感心するばかりです。
ただそこまでがっちりしなくても、推理小説として最低限の引きがあるので、展開だけで最後まで読み切れるようにはなっていました。
まぁもしかしたら、それだけだと長すぎるって思ってしまうかもしれませんが。
今回は長いのと複雑なので、人を選ぶところは多少あるかなとは思います。
私は歴史が好きなので、実在していた登場人物の動きなどが、展開と噛み合ってくるのがすごく面白かったですね。
何より前作もそうですけど、18世紀英国の時代の雰囲気や、考え方、組織体制など、細かい部分がとても勉強になって、歴史小説としてもちゃんとしています。
今回、ナイジェルの衝撃の過去が明らかになりました。内容はかなりのものでしたが、読み応えがありました。
気になって調べたら、当時の英国の精神病院の内情は、本当にこんな感じだったみたいですね。これまた勉強になりました。
終盤に、エドとクラレンスが志願兵として、植民地(のちのアメリカ)に向かいましたし、これも何か次の展開になるのか、ならないのか。
ナイジェルから見たエドは「普通」側ということでしたが、明らかにエドがしていることは、幾ら正義の上にあるとはいえ「普通」側で済まされるものなのか。
とても続編が気になります。少しメタ的な考え方になりますが、一応エドワード・ターナー三部作ですしね。笑
あと今回、ダニエル・バートン先生の手番は少なかったですが、次はあるのか。
個人的には、今巻でネイサン・カレンが少し大人になってきているのもすごく好きなんですよね。
彼の不憫さと弱さの中にある懸命さが、何かとても人間味を感じますね。良いキャラクターです。
前回もありましたが、当時の英国の腐敗した法と、正義の狭間で揺れるキャラクターたちは、とても魅力的でした。
あと作中でも重要な「アルモニカ」という楽器や、作中で度々引用されていた「How Can I Leave Thee」という歌もネット検索して聞いてみたりもしました。
文庫版だと、北原尚彦さんの解説も掲載されており、それもとても勉強になる知識が書かれていて、面白いです。
それでは今日はここまで。最後までお読み頂きありがとうございました。
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