あらすじ
夏休み、魔法界の人気スポーツ、クィディッチのワールドカップが開催される。
ハリーはロンの家族と一緒にスタジアムで決勝戦を観る。
しかし、興奮冷めやらぬ夜、空に闇の印が!?
そして、ホグワーツ魔法魔術学校では、三大魔法学校対抗試合が100年ぶりに開催される。
各校の最もすぐれた代表選手を選ぶ「炎のゴブレット」は、なぜか選ばれるはずのない選手の名を告げる。
開始前から何やら不穏な空気が・・。
三大魔法学校対抗試合の第一の課題は、ドラゴンから金の卵を奪うこと。
第二の課題は、湖の深い底から大切なものを取り戻すこと。
ハリーは、代表選手の一人として、つぎつぎと命がけの難題に挑戦していく。
しかし、その舞台裏では何やらあやしい影がうごめいている。
なぜ、ハリーが代表に選ばれたのか?
ついに第三の課題である迷路をクリアしようとするとき、正体を現すものとともに、その真実が明かされる。
(静山社より)
感想・レビュー
ハリー・ポッターシリーズも第4弾!ということで、さっそく読んで見ました。
まずは長い、本当に長いです。笑)
翻訳本ということもあって仕方ないのですが、日本語版だと1000頁くらいあったかと思います。
ですが、終盤にかけてからの怒涛の展開は、流石に面白すぎましたね。
ヴォルデモート卿の完全復活!!!
さて、まずいつもの所感としては、クオリティーの高さは過去一番を更新したのではないでしょうか。
「炎のゴブレット」からは、本当にシリアスな展開が強くなりますし、ハリー・ポッターという壮大な物語の中でも転換期とも言えます。
少年期編としては、最後の区切りとも感じますし、次巻からは、青年期編としても読めそうですね。
それ程までに今回ハリーを襲った最大の苦難は、肉体的にというのもありますが、精神的にハリーを追い詰める展開ともなりました。
では今回の出来事をざっくりと振り返っていきます。
序盤はトム・リドルのお話からはじまり、夏休み中にクィディッチ・ワールドカップが開催されるなど、いつもと少し違う幕開けとなりました。
この時点で、結構不穏な事件が起きたりするのですが、ホグワーツも新学期が始まります。
更に今年はいつもと違い「三大魔法学校対抗試合(トライウィザード・トーナメント)」も開幕し、他校の代表生徒がホグワーツで過ごすことに。
ハリーたちも4年生となり、今回はロンとの初めての喧嘩がありました。
前回はハリーとロンに対してハーマイオニーと喧嘩する流れでしたね。
ここでも互いの時の流れ,成長を感じましたね。大人になってきているんだなぁと。
そしてこのタイミングでロンとの友情、絆の繋がりをより一層強固にするのも、今後のことを考えて描かれたのかなと最後は思えました。
続いて毎年恒例の「闇の魔術」の新担任に「マッド・アイ・ムーディ」が登場。今作から闇の魔術が信じられないくらい飛び交う結果となりました。
「三大魔法学校対抗試合」での第1、2、3の課題があり、それらの過程や、他校生との交流もありました。
クリスマスには、舞踏会もあり、ハリーたちも14歳ということで、恋愛パートも少し強くなってきた模様。
特にロンとハーマイオニーは、露骨に恋愛を匂わせる描写が増えてきましたね。笑
そして最後のクライマックスは、第3の課題から怒涛の展開で、伏線回収も盛り沢山。
マッド・アイ・ムーディの正体(クラウチ息子だった)、セドリック・ディゴリーの死、
ヴォルデモート卿の復活、企みが明かされる、死喰い人(デス・イーター)集結、
ハリーの勇姿と最大のピンチ、ダンブルドアとホグワーツの緊張感、ネビル・ロングボトムの過去など、もう本当に面白かったです。
物語全体半分を超えて「賢者の石」の時のような魔法世界でのワクワクというよりかは、シリアスでドキドキと悲しみが強い物語になってきました。
ホグワーツの生徒も殺され、最後のダンブルドアや他の先生たち、シリウスやルーピン先生の名前も出てきて、シリーズとしての緊張感もすごく高まりました。
しかしこれだけ長い物語を読ませるには、児童小説という殻を脱ぎ捨て、物語のレベルを上げるしかないのは仕方ないのかなとも思いました。
それだけにハリー・ポッターという主人公は、引き立ち、物語が動いていきますから。
まとめ
今回改めて、子どもの頃に読んだ時には理解出来なかった、このシリーズの本当にすごいところが個人的に理解出来たかなと思います。
お話をミステリー仕立てに運ぶのは、この長いシリーズを読ませる工夫ではありますが、やはり世界観がずば抜けてすごいです。
この世界観がすごいというのは、少し抽象的なので、もう少し詳しく書かせていただくと、このハリー・ポッターシリーズは、現代的な思考と魔法世界の融合に成功しています。
そして何よりも「魔法アイテム」の創造性、それをギミックとして最大限にまで活かす著者の能力が、少し他の作品と次元が違うところにあるのではないかなと、この第4弾で思いはじめました。
魔法もわかりやすく、かつ自由度があって良いんですけど、他のファンタジー作品でも魔法や魔術を使うと、どうしても結果的にオリジナリティを出すのは少し難しいと思います。
何故ならどんな魔法も、事象や結果はどの作品も同じなので(火の魔法は、どの作品でも火を出す結果となるように)
それでも「アクシオ」や「クルーシオ」「エクスペリアムス」などなど、他のファンタジー作品ではあまり見かけないような細かい生活・技術魔法が90年代に描かれていたのも改めてすごいです。
魔物や動物のユニークさや、生活に仕掛けられた細かい魔法も魅力的ですよね。
でもやっぱりこのシリーズを陰で支えているのは、「魔法アイテム」なのかなと思います。
著者は、今回の「移動キー」やお馴染みの「忍びの地図」などなど、過去に出てきた魔法アイテムをどんどん駆使して、物語へと組み込んでいくんですよね。
それが読めば読むほどこの世界観を立体的に見せることに成功しているのだなと感じました。
簡単に言ってますが、魔法物語(なんでもあり)とミステリー物語(整合性)って、互いが矛盾しあう存在なので、すごく相性が悪いんですよ。
今巻でいえば、「忍びの地図」の仕掛けが明かされるシーンがあるのですが、クラウチと息子の名前が同じだった…だから成立したという展開があります。
最初少し無理やりな感じだな…と思いました。
しかしよくよく考えると、ヴォルデモートの設定も父のトム・リドルと同じ名前を付けられ、なのでクラウチの息子と同じでかつ、二人が信頼し合っているというのだから、これは本当によく出来た設定なんだなと気付きました。
子どもの頃に読んだ記憶が薄れているのもあってか、次巻も楽しみで仕方ないです。
近々すぐにまた読むと思います、
それでは今日はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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