あらすじ
これは、「虫」によってもたらされた、臆病者たちの恋の物語。
何から何までまともではなくて、
(メディアワークス文庫より)
しかし、紛れもなくそれは恋だった。
「ねえ、高坂さんは、こんな風に考えたことはない? 自分はこのまま、誰と愛し合うこともなく死んでいくんじゃないか。自分が死んだとき、涙を流してくれる人間は一人もいないんじゃないか」
失業中の青年・高坂賢吾と不登校の少女・佐薙ひじり。一見何もかもが噛み合わない二人は、社会復帰に向けてリハビリを共に行う中で惹かれ合い、やがて恋に落ちる。
しかし、幸福な日々はそう長くは続かなかった。彼らは知らずにいた。二人の恋が、<虫>によってもたらされた「操り人形の恋」に過ぎないことを――。
感想・レビュー
三秋縋さん二冊目になります。
まず全体的に良かったです。
序盤は割とよくあるエンタメ展開で物語が淡々と進んでいきますが、三秋さんだったので、絶対何か仕掛けてくるなと思っていました。
案の定、寄生虫の発覚とメールの描写辺りからタイトルの真意が変わっていくのが面白い。
まさに三秋さんらしい人物と恋の描き方だったと思います。
今回もSFチックにメッセージ性を落とし込める物語は、本当に上手いと感じました。
逆にピースが綺麗にハマりすぎてこなれてる感を覚える時もあります。
ですが今回も純粋に小説として楽しませて頂きました。信頼できる作家さんの一人になりそうだ。