あらすじ
読書界の話題をさらった芥川賞候補作「あひる」を含む、著者の第二作品集。
我が家にあひるがやってきた。知人から頼まれて飼うことになったあひるの名前は「のりたま」。娘のわたしは、2階の部屋にこもって資格試験の勉強をしている。あひるが来てから、近所の子どもたちが頻繁に遊びにくるようになった。喜んだ両親は子どもたちをのりたまと遊ばせるだけでなく、客間で宿題をさせたり、お菓子をふるまったりするようになる。しかし、のりたまが体調を崩し、動物病院へ運ばれていくと子どもたちはぱったりとこなくなってしまった。2週間後、帰ってきたのりたまは、なぜか以前よりも小さくなっていて……。
なにげない日常に潜む違和感と不安をユーモラスに切り取った、河合隼雄物語賞受賞作。
(KADOKAWAより)
解説「今村夏子は何について書いているのか」(西崎憲)収録。
感想・レビュー
今村夏子さん初読みになります。
まず言いたいです。この作家は間違いなく天才というか、原石です。
久しぶりに震えました。
芥川候補の「あひる」これは凄いと思ってしまった。
だけど何が凄いかまだいまいち分かっていない。
太宰の「饗応夫人」と感覚が似ているかなと思ったけど、全然、飛び越えていってしまった。
他二編の短編も、童話のような語り口に徹底していて、不気味さもあってとても良かったです。
あひるは著者にとって二作目だったらしく、太宰治賞のデビュー作や、芥川賞の方も凄く気になってしまう技量を感じました。
追いかけて行きたい作家です。
今振り返って見れば、やはりこの「あひる」と「こちらあみ子」は今村夏子作品の中でも強烈な作品だったと思う。