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あらすじ
「やっぱり一之瀬さんはAクラスに上がること諦めた、ってことなのかな」
修学旅行も終了した12月、2学期最後の特別試験・協力型総合筆記テストが発表される。
(MF文庫Jより)
内容は1人ずつ交代で試験問題を解き、最終的にクラス全員で全100問のテストを解くというもの。堀北Bクラスは坂柳Aクラスとの対戦となる。
試験準備が始まる中、南雲が次期生徒会長を決めると宣言する。2年生の生徒会メンバーは堀北と一之瀬。立候補を問われるも一之瀬の意思は生徒会自体を辞めるというものだった。
新たな生徒会メンバーの確保という問題の他、鬼龍院を狙った万引き偽装事件も発生し、生徒会周辺も慌ただしくなっていく。
『無理してないから。……私も、綾小路くんに会いたい……』
学園黙示録は新たな混沌へ――。
感想・レビュー
よう実ファンの皆様こんにちは。こんばんは。
2023年に入り、一発目の最新刊ですね。
表紙は本編から察するに一之瀬クラスの渡辺と網倉ですかね。
さて去年のよう実は、このラノ覇権奪取にアニメ第二期など飛躍の年になりました。
物語も2年生編後半に差し掛かり、既に折返しを迎えていますが、今年もよう実がより多くの方に読んでもらえるような年になりそうな展開が待ち受けていそうで、私もワクワクしながら待っていました。
そんな最新刊ですが、いつもの所感としては、ぼちぼちと楽しめたという感じでしょうか。
一之瀬回でありながら面白いのは面白いですが、正直なところ物語全体の調整回のような側面でもあるなと感じました。
ですがきっちりと重要な部分は描かれているので、気が抜けませんし、先に学年末試験が見えているだけに緊張感はあります。
ここ最近は比較的大人しめの印象もありますが、それが3学期に迎える学年末試験への大きな嵐の前の静けさに感じてしまい、少し怖いくらいです。笑
その中でも今回は一之瀬がメインで他にも軽井沢について色々と描かれており、物語がより深く綾小路の闇に引き込まれていくような、展開となってきましたね。
ではいつも通り、今巻を大きく纏めるとだいたいこんな感じ。
・南雲の独白、鬼龍院、桐山、3年生たちまとめ
・学期末特別試験開始、結果発表
・堀北鈴音が新生徒会長就任!
・一之瀬クラスと綾小路〜デートまで〜
・Aクラス橋本の裏切りか!?(重要)
・一之瀬帆波、闇堕ちか、覚醒か!?
・綾小路と軽井沢、終焉の足音…
・まとめ〜不穏なあとがき〜
それではさっそく振り返っていきましょう!
いつも通りネタバレ全開ですので、ご注意ください!
南雲雅の独白、鬼龍院、桐山、3年生たちまとめ
まず恒例の独白。南雲らしさと、少し切なさもあるような感じでしたね。
そんな南雲は生徒会長も任期満了、お役御免という形で生徒会長の座をおります。
彼は最後まで満足することは出来なかったそうですが、彼なりに実力主義の学校を作りあげ、OAAの導入やクラス移動チケットなど、高度育成学校の歴史に新たなモノをもたらしました。
堀北学の伝統を守る学校とは違いますが、この学校にとって相応しい実力の生徒会長だったのではないかなと思います。
過去に無人島試験で綾小路に尻餅をつかされ、吠えるだけの負け犬が強めの南雲ですが、笑)それはまず綾小路が特別なだけであって、そもそも南雲はBクラス出身で、やり方はどうあれクラスをAクラスにしました。
さらにここまで一学年を一強状態に持ち込み、生徒会長にまで上り詰めた、というのは生半可な実力では到底不可能で、かなりの実力者であることは間違いないでしょう。
そんな不満を綾小路と最終決着をつけることで晴らそうとしますが、今回も残念ながら対決ならず…ということでトコトンついていません。笑
その理由が鬼龍院万引き事件です。この事件に邪魔されてしまいます。内容は省きますが、第2巻以来のミステリー調+裁判モノという感じで、結果は桐山副会長が真犯人だったと。
南雲本人も最後に言っていましたが、トコトン縁がなかったということで落ち着いています。
個人的には、この事件を本編の横で動かすことに何の意味があるのかと少し懐疑的ではありました。
ですが終わってみれば確かに、3年生たちはもうAクラス一強状態で、3学期に入ったとしても特に大きく何かが変わることはありません。
生徒会も引退なので、ここで彼らを描く最後のチャンスだったのかもしれません。
ですが、3学期がある以上、最後の終わり方も含め、まだ綾小路に対して何かありそうな気もしますよね。
あとは久しぶりに朝比奈の萌え萌えなハイクオリティ挿絵もあり、良かったですね。
学期末特別試験開始、結果発表
さて次は「2学期末特別試験・協力型総合筆記テスト」ということで、試験期間は冬休みを迎えるまでの二週間しかありません。
クラス全員で問題を100問解くというもので、ほぼ筆記試験と変わらず、ポイントゲーム性が強めで、特に試験が描かれることもなかったです。
一応忘れないように書いておきますが【坂柳クラスvs堀北クラス】と【龍園クラスvs一之瀬クラス】という感じで、劣勢クラスほど有利に働く試験でした。
結果は『堀北クラス』と『一之瀬のクラス』の勝利。
もう皆様もお気づきだと思いますが、3学期末の試験に向けてのクラスポイント調整回とも言えましたよね。笑
堀北クラスは、Aクラス目前に迫り、絶望の一之瀬クラスは、何とか首の皮一枚繋がり、龍園クラスはDクラスに降格しました。
堀北鈴音が新生徒会長就任!
これについても結構意外な展開になりましたが、まず一之瀬が生徒会を辞めます。
理由はクラスの立て直しや自分を見直したいというもので、それが一之瀬クラスの特別試験勝利と復活に繋がりました。
その結果、堀北は自動的に生徒会長になり、兄の学と同じ立ち位置につくことに。
これには感慨深いものがあり、ますます堀北クラスがAクラスになる匂いがする一方で、綾小路がラスボスとなって別クラスに行く予感がより強くなりましたね。
更に副会長に櫛田がなるという、1年生編では考えられない展開にもなりました。
そして1年生では八神が退学し抜けたので、その穴埋めとして七瀬が就任。適任なんじゃないでしょうか。
個人的にも新生徒会として、いい感じだなぁと思います。
あともう一人1年生Aクラスから「石上京」を誘うも断られ、阿賀という生徒がいました。えっ誰?笑)
石上のビジュアルも挿絵で解禁され、ハーフアップ男子という、カッコ良い。
そんな石上を見ていて、1年生の頃の綾小路のような雰囲気を感じてしまうのは私だけでしょうか。
どことなく「事なかれ主義」が強めだった頃の。
たしか綾小路も当時生徒会長だった堀北学の誘いを蹴っていますし、何か変だなぁと。
このスタイルで暗躍しだすと、1年生の中でも一番厄介な人物になる予感もしますよね。
それに石上は、ホワイトルーム関係の可能性もありますから、最後の敵になるかもしれません。
ですが彼のことについてはまだまだ隠されたままなので、ベールが明かされるのを待ちましょう。
一之瀬クラスと綾小路〜デートまで〜
さてここからは一之瀬クラスですが、前々から神崎と姫野が動きを見せていたその続きです。
というよりここに向けての準備だったのでしょう。
彼らは新たに浜田、渡辺、網倉という3人を味方につけることに成功します。
読み始めた時は「いや誰?」といういつものよう実だったのですが、3人共綾小路と少しだけ関係があります。無人島試験や修学旅行など。
神崎たちは一之瀬クラスの状況を整理し、綾小路に経過報告します。さらにこれから「一之瀬が本当にAクラスを目指すことを諦めたのか」を見極める段階に入り、綾小路が探りを入れる為に一之瀬を誘いデートに。
前回の修学旅行と、今回の綾小路とのデートで一之瀬は殻を破りました。あと読んでいて素直に面白かったですね。
初期から出ている一之瀬には、個人的にそこまで惹かれることもなかったのですが、ここに来てなんかとてもヒロイン感が出てきて、良かったと思います。
これにより一之瀬は立ち直り、妄信が進むだけだった一之瀬クラスに新たな変化が起き始めていきます。
立て直しに成功とまではまだ言い切れないかもしれませんが、最後の龍園との会話から察するに、一之瀬は強大な敵となるらしい?です。
この時の龍園はどこか、嘘くさい感じで、言わされている感じもなくはなかったですが。笑
Aクラス橋本の裏切りか!?(重要)
ここは個人的にかなり重要だったんじゃないでしょうか。
まさかの展開になりましたが、個人的に一番興奮しました。
簡単に説明すると、坂柳のやり方に不満を持ったAクラスの橋本を描きつつ、最後に龍園クラスの頭脳である金田と秘密裏に接触するんですよね。
話によると、前々から繋がりがあった様子。
そもそも橋本は、Aクラスの実力者として度々描かれてきましたし、綾小路の実力をかなり早い段階で警戒していた人物でもある切れ者です。
そんな彼が最後に面白い発言をしており、一部引用させて頂きます。
「坂柳につくか、龍園につくか。あるいは堀北のクラスか。そろそろ決断の時だな」
学年末を見据え、その先の3年生を見据え。
橋本は自分にできることを自分のために考え続ける。
(本文より)
わぉ、笑)ってなりましたね。まずこれには色々な未来が予想できるんですけど、まず一之瀬クラスはなさそうですよね。
そして橋本は、おそらくAクラスで絶対に卒業したいが、着実にその座が奪われそうな坂柳クラスのいつまでも冷静な坂柳にヤキモキしているという現状から考えていきます。
更に自分は「リアリストでもあり、ロマンチスト」でもあるという発言をしていました。
つまり要約すると「王者としての振る舞いも良いが、血湧き肉躍る闘いも嫌いじゃない。青春したいぜ!」という熱い心を奥底で持っているということ。笑
そして「坂柳か?龍園か?堀北か?」という選択肢の中で、まずは現状維持の「坂柳クラス」。これは言うまでもありません。
次に一番の理想は「堀北クラス」ですよね。もう今はノリにノッているクラスで、実力者が多数いますから、Aクラスが駄目だと判断し、鞍替えしたとしてもおかしくはないです。
最後に「龍園クラス」ですが、まずこのクラスは現状Dクラスに降格しました。知能は学年でワーストですが、龍園という圧倒的な悪のカリスマリーダーがおり、粒揃いのメンバーがいます。
何よりそこに元Aクラスの仲間であり、今や龍園クラスの参謀役でもある実力者・葛城がいるんですよ!
さらにDクラスに降格した龍園は、今巻の最後に、一之瀬に怯え、敗北を初めて感じるシーンがあるんですよね。
これって【2年生編6巻の感想】でも書きましたが、綾小路と橋本が龍園クラスに合流し、大ピンチのDクラスからの大躍進と考えると……めっちゃロマンチスト展開に繫がりませんか!?笑
かつて綾小路がボコボコにした石崎、アルベルト、伊吹、龍園。さらに金田、ひより、葛城、橋本、そしてそれらの悪たちを纏める綾小路清隆…まさにラスボス!
熱い、これは熱すぎる!(はぁ、妄想楽しい。笑)
まだ橋本以外にも合流する生徒もいるかもしれない…まぁこれはいつもの私の勝手な妄想なので、橋本がどうなるかは本当に分かりません。
ですがこのメンバーが揃い、対立する堀北クラスという構図が見たすぎる!笑
一之瀬帆波、闇堕ちか、覚醒か!?
今回で結構な人間が一之瀬が綾小路が好きだと露呈してしまいますが、逆に積極性が出てきて、殻を破ったように思えます。
今までは誰にでも善人を演じていましたが、それが内だけとなり、軽井沢の件も完全に闇堕ちしたような演出でした。笑
これは非常に難しい問題なのですが、それだったら一之瀬の個性がなくなるのでは?とも感じてしまうのも正直なところ。
確かに高度育成学校のような実力社会では、一之瀬の立ち回りではどうしても厳しいものがあり、その結果が今です。確かにそれは現実社会でも同じです。
でも個人的には、一之瀬クラスにしか出せない「善」でのしあがって欲しいなぁという、作中でもAクラス橋本が使っていた「ロマンチスト」願望も正直あったんです。笑
ずる賢さという戦法は、龍園、堀北、坂柳クラスがもう既に兼ねそなえていましすし、ある意味一之瀬クラスってこの学校としては異端だったんですよね。
確かにそのずる賢さを使い、今回の特別試験では龍園クラスに圧勝しました。これは一之瀬のリーダーとしての覚醒かもしれません。実際堀北も過去に似たような成長を遂げました。
でもその一之瀬らしさを貫いた先に、何か綾小路や坂柳、龍園には絶対に見いだせない「光」があるんじゃないか?と思ってしまいます。笑
まだどうなるか分かりませんが、クラスのメンバーが一之瀬の妄信状態を抜け出し、一人一人が強くなることが一之瀬クラスの大きな課題にもなりそうです。
その先に一之瀬クラスらしい「善」の勝ち方を見てみたいものです。
綾小路と軽井沢、終焉の足音…
はい、もうね…流石に寂しくなってきた、笑
ここ最近はこの気配が、綾小路の独白からも度々描かれていましたが、今回は目に見える形で起きてしまいました。
クリスマス前のこの時期に起きた喧嘩。綾小路が一之瀬と二人きりで会うことを許さなかった軽井沢が怒ったのがきっかけ。
普通の学生カップルだったらただの喧嘩でおわりますが、綾小路にとっては自分への経験値獲得でしかないと。
さらに寄生虫(軽井沢)が宿主(綾小路)から独立させる為の力をつけさせるのも、綾小路の当初の計画目的であり、そのタイミングがまさに訪れようとしています。
二人は結局仲直りすることなく終わってしまいましたが、次は短編集です。クリスマスです。
そう、本編時系列的にも二人の関係が結びついたのは、ちょうど1年前です。
まさか、と読みながら感じてしまいましたが、さてはキヌピー、この為に一回短編集を遅らせたのか?と勘ぐってしまいます。
個人的には今まで軽井沢に対してそこまで感情移入しなかったんですけど、終わりのときが近づくに連れて、予めわかっているせいか、今回の軽井沢は少し可愛そうに見えてしまった。
本当にどんな終わりになるのか…終わらないのか、いや終わるか…ちょっと泣きそうな予感…笑
まとめ〜不穏なあとがき〜
はい、長くなりましたが、以上ですね。
細かいところで他にも書いておきたこともあったような気がしますが、ひとまずこの辺で。
先にイラストについて。今回は当然一之瀬が多かったですが、ハイクオリティで、トモセ氏は相変わらずです良いですね。本当に、毎度尊敬します。
これからも大変でしょうけど、かっこ可愛いイラスト待ってます。
そして話題は、あの不穏なあとがきですよ。
新年の挨拶から衣笠ルーティンなど、いつも通りの面白いあとがきかなぁと思ったら、予告で「3年生編を見据えて、3学期は少々過酷になるから予めご理解くださいませ」…っていや怖すぎる。笑
本当に少々ですむのかわかりませんが、でもその分楽しみでもありますから、気長に待ちたいと思います。
先生も体調にお気をつけてください。
そして次回はいよいよ「冬休み編」ということで恒例の短編集?ですかね。
先生曰く「当面の間癒やしの時間が減ってしまうことを思うと、緩い(多分)冬休み巻は貴重な巻になるのかも知れませんね」と、またここでも不穏な発言がありました。笑
次回は夏前と言っていますので、普段どおりならば四ヶ月後の6月ごろとかでしょうか。
それでは皆様、また次回お会いしましょう。
お読み頂きありがとうございました。
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