あらすじ
試験史上最も容易で、最も残酷な『満場一致特別試験』開始!
2学期が開始と共に2つのイベント、体育祭と初の文化祭の開催が発表された。文化祭に胸躍らせる高度育成高校の生徒達だが、茶柱が唐突な特別試験の開催を発表する。
(MF文庫Jより)
試験名は『満場一致特別試験』。クラス全員の意見が一致するまで投票を繰り返すという一見容易な試験内容。だがその本質は茶柱の10年来のトラウマになるほどのもので……。
全員が投票で意思表明する必要がある『満場一致特別試験』によって否応なくその混沌に巻き込まれていく生徒達。
「では、最後の課題を表示する。投票の用意を」
試験史上最も容易で、最も残酷な試験! 悔いなき選択を生徒達は果たして選ぶことができるのか!
感想・レビュー
※ネタバレご注意下さい!
二年生編はなんかずっと激しいですねぇ、エグいですわ。笑
まるで海外でやってそうな社会心理学の実験、その論文を物語に嵌め込んだらこうなりましたみたいな……なんだこの高校、今更ですけど、これを高校生に選択させるのはあまりにも残酷すぎるし、けど面白すぎるのだけは間違いなかったです。
前巻の短編集の終盤で、茶柱先生が不穏な雰囲気を嫌というくらい匂わせていた。
そして夏休みあけの二学期が開幕し、去年の綾小路と堀北先輩のリレーが印象的だった体育祭と、去年にはなかった新たな文化祭の試みが茶柱先生から告げられ、クラスも穏やかな日常。
でも読者は茶柱先生の悲壮な顔を読まされているので、最初から緊張感満載で読み続ける。
そしてやはり来た、すぐさま「満場一致特別試験」なるものが急遽開幕……残酷すぎる!笑
ということで、恐らくよう実史上一番安易で、そして最も残酷な特別試験が開幕されました。
今からだらだらと感想を書いていきますが、読後感としてはまず間違いなく面白かったし、ただその面白いだけでは済ませてはいけないような酷な内容だったと思いますし、これはもう普通のラノベでやるようなシナリオの次元では無くなってきたなぁと思いましたね。
で整理していきますと、まず無人島サバイバル試験後の二学期が開幕し、綾小路と軽井沢の関係性も徐々に解禁していくというのは、前巻から言われていましたが、予定通り解禁。
その辺りのシーンはニヤニヤとしつつ、伊吹から屋上事件の経緯を知っていた堀北との会話も面白く読めました。
そして文化祭も体育祭同様、対抗試験形式となるらしく、さらに来賓を受け入れるという高度育成高校としては異例の展開。
坂柳理事長も戻ってきて綾小路とコンタクトをとってはいましたが、やはり父親の影がちらついてきますね。
まぁこの辺は次巻以降になるでしょう。
で問題の方です。現在綾小路たちはCクラスだったかな?と思うのですが、この満場一致試験は二年生だけに行われるみたいで、坂柳、龍園、一ノ瀬クラスの試験描写もあって、ここもまたクラスの特色が出てめちゃくちゃ面白かったです。
もう各クラスの主要人物、そしてその関係性の展開を考えるだけでも楽しいのは、このシリーズの強みですし、さらに三年と一年のこともありますから、今回は二年生だけにスポットが当てられましたけど、今思えば意外と久しぶりですよね、特に二年生編が始まってからは二年生だけにスポットあたるのって。
まぁ一部分だけ、ホワイトルーム生の八神が出てきましたが、彼も今後、若しくは体育祭辺りで何か動き出すのか注目ですね。
さて満場一致試験の内容は言葉の通りで、クラスの意見を五回ほど一つにすれば良いというただそれだけのシンプルな試験。
まぁですが、これが非常に奥深く、そして非常に難しいものとなっていきました。
でその究極のラスト一問が「クラスメイトが1人退学になる代わりに、クラスポイント100を得る」というもの。
これが中々本作の人間関係を上手くミックスさせたものとなっていまして、かなり前から、もっというと第一、二巻辺りから想定しいたものだったのではないでしょうか。
ついに櫛田桔梗と綾小路が激突!という感じで、色々と櫛田は影で動いていましたが、今度こそ直接対決になりました。
結果的に櫛田は被っていた仮面をクラスのみんなの前で脱ぎ捨て、本性を現し、最後は得意技の学級崩壊に持ち込もうとします。
前々から言ってはいましたが、綾小路も覚悟を決めてついにクラスで前に立つ、発言を開始するという熱い展開には捲る頁がとまりませんでした。
はい、で結果だけを書きますがまさかの佐倉愛里が退学に!
確かにいつかそうなってもおかしくはない能力の生徒だとは思ってましたが、チーム綾小路として、少しずつ成長を見せていましたし、短編集でも二学期からもっと頑張るぞーという死亡フラグな感じでしたので、いやぁきつっいなぁ。笑)
けど久しぶりにこの学校の目的を思い出したといいますか、高度育成高校はそもそもエリートを養成する為の学校なんですよね。
確かに、今回明らかに退学になるべきなのは、誰がどう見たって櫛田なんですよ。綾小路も櫛田を完全に葬り去る気でしたし、絶対にそうするべきなんですよ。
でも堀北だけは、その綾小路の実力に尊敬しつつも、櫛田を残すという選択をする。
ここがよう実の面白いところなんですけど、この作品のテーマって「本当の実力、とは何なのか?」なんですよね。
確かに組織を動かす人間としては、人を切るのも重要な役目ですし、切る方もそれなりの精神力をようします。それが仲の良い同期だったりすると余計に。
ここから佐倉退学の流れになっていくんですけど、ここがターニングポイントだと私は思っていまして、この堀北の選択って、綾小路すら予測できなかった堀北鈴音の意外な成長だったと思うんですよね。
綾小路はクラスの前で発言を開始する前に心の中で、堀北学のことを思い浮かべるシーンがありました。
これは私の勝手な憶測なんですけど、堀北がこのレベルに到達するのは、綾小路の中ではもっと後だったと思うんですよね。
だから急遽、櫛田を排除する予定だった綾小路も予定の駒を先に進めて、いずれ三年生辺りでくるかもしれない未来を先に作ったのかと。
堀北は現在クラスのリーダーですし、Aクラスを目指していくということは最低でも坂柳級のリーダーにならなくてはいけません。
でここで一つ疑問に思ったのが、櫛田を残したのは良いけど、これから言うこと聞くの?問題です。
能力は最強ですが、高円寺みたいなのもいますし、さらにクラスに歪みをいれた櫛田が今更残って他クラスを倒すことに協力するのでしょうか。
わからないですけど、櫛田にとってはこうなった以上退学するのが彼女を楽にさせる方法であって、そうさせないのは堀北なりの制裁、教育、更生なのかもしれませんし、そして堀北には彼女をコントロールする実力というか、指導者としての自覚が芽生え始めたのかもしれません。
そしてゆくゆくは兄貴のような、若しくはそれを超えていくような人材になるのかもしれません。
こういった曲者ほど能力があるのは現実でもありますし、遅かれ早かれこの曲者たちをコントロールすることこそが真の実力であり、組織を動かす人材を育てるという意味合いもあるのでしょうか。
まぁそれを踏まえても佐倉とハルカのシーンはあまりにも酷ですし、私は泣きましたよ。笑
だってまだこれ高校生ですからね。まだまだ精神だって発展途上とも言えますし、果たしてこの教育が正しい方向に進むのかは誰にもわかりませんが。
確かに組織として能力の低い者を切るのは当たり前ですし、これから上昇していく為には足手まといはいらないんです。
わかってます、わかってますけどねぇ、まぁそれが出来る坂柳や龍園クラスは確かに強敵ですし、一ノ瀬クラスは逆に心配ですけどね。
うーん、でも色々と考えてもこれは難しすぎる問題で、茶柱先生も言ってましたがこの選択に答えはないのだと思います。もしくは卒業するときがくればわかるのかもしれません。
まぁ衣笠先生のことですからかなり計算してそうなんでねぇ、次巻以降でなぜ櫛田を残したのかの真の意味がわかることでしょう。
この満場一致特別試験は、かなり秘匿性のある試験でしたから、櫛田の本性を知っているのは現在綾小路たちだけですし、他クラスの生徒は知りませんから今後試験次第ではかなり有効に使える存在でもあります。
あと個人的に、綾小路が堀北の選択に便乗したもう一つの理由として、櫛田の裏に潜んでいるホワイトルームの影を見ていたのかもしれません。無人島サバイバル試験のこともありましたしね。
綾小路はもう気づいているのではないでしょうか。
一つだけ引っかかるというか、思ったより弱かった部分もありまして、それが茶柱先生のくだりですかね。
引っ張った割に、そこまで上手く話に絡められた感じがあまりなく、確かに10年以上の呪いが解けたような終わり方でしたが、彼女と生徒たちの答えは、時も意味も重みもまた違います。
その辺は綾小路を通して、ゴリ押し気味に終わってしまったような気もしました。
そして私は未だにヒロインだと思っている堀北ちゃんが相変わらず良い立ち位置にいて、イラストも最高で、少しずつ成長しているのは微笑ましいですね。笑
先生には是非ともこのまま最後まで突き進んでいって欲しいです!
何やら後書きにも、ここ二年くらいの思いが次に、みたいなとても気になる匂わせが書かれていましたが、6巻で書かれる?とのこと。楽しみですね。
そういえば余談ですが、試験問題で出てきました修学旅行なんかも今年は挟みそうなんですよね?ますますどうなるのか気になります。
それでは疲れたので、この辺で終わります。
あぁ佐倉退学か……寂しいなぁ。
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