あらすじ
スマートなユーモア、ユニークな着想、シャープな諷刺にあふれ、光り輝く小宇宙群!
日本SFのパイオニア星新一のショートショート集。
表題作品をはじめ「おーい でてこーい」「殺し屋ですのよ」「月の光」「暑さ」「不眠症」「ねらわれた星」「冬の蝶」「鏡」「親善キッス」「マネー・エイジ」「ゆきとどいた生活」「よごれている本」など、
とても楽しく、ちょっぴりスリリングな自選50編。
(新潮社より)
感想・レビュー
何年か前に読んだ戯曲風物語の「にぎやかな部屋」以来で、星新一作品も随分とお久しぶりです。
手に取った初めての星新一作品が、変わり種と知ったのは読んだあとだったのは良い思い出です。
星新一といえばショートショートの先駆者的存在でありますから、その代表的作品でもある『ボッコちゃん』を読む機会がいつかあればいいなぁと思ってはいたのですが、ようやく読めました。
ショートショート集として本文庫は、著者の中で一番読まれているのではないでしょうか。
さてそんな本文庫に収録されているショートショートの数は【50作品】
この一冊で、星新一のショートショートがしっかり堪能できるような内容になっておりました。
全作品の感想は流石に難しいのですが、全体的にSF系のような未来的な作品が多めでした。
その他にもミステリ、ホラー、ファンタジー、サスペンスなど、どれも短いので完全なジャンル分けは難しいのですが、その節が楽しめような内容でした。
『ボッコちゃん』のような読み終わってからゾッとして少し考えてしまうような作品から、着想がユニークな世界観や、会話にユーモアが溢れだしてつい笑ってしまうようなものまでありました。
個人的にどれもそれなりに楽しめたので、これが一番というのが難しいのですが、最後に収録されている『最後の地球人』はとても印象に残っています。
世界的な地球規模の風刺からはじまり、キリスト的創造話の『光あれ』という終わりの流れまで、星新一流に上手く作り込まれており、読みながら「凄いなぁ」と感心しました。
本当にもっとあれも良かったこれも良かったと言いたいのですが、さくっと読めるので是非ともまだ読んでいない方は気軽に手にとってみてください。
今思えば過去に短編集は読む機会がありましたけど、ショートショート集というのは意外に初めてだったかもしれません。
短編集の時にもさくっと読めて良いなぁと思ってはいたのですが、ショートショート集はすぐに読み直したり、読みやめたりすることが出来るのも良いですよね。
まぁ長編は長編で良いんですけどね。
あとは新潮文庫版ですと、本人のあとがきと、筒井康隆氏の解説なども収録されていて面白いので、最後まで楽しめました。
それでは今日はここまで。また。