あらすじ
世界初の脳移植手術を受けた平凡な男を待ちうけていた過酷な運命の悪戯!
脳移植を受けた男の自己崩壊の悲劇。平凡な青年・成瀬純一をある日突然、不慮の事故が襲った。そして彼の頭に世界初の脳移植手術が行われた。それまで画家を夢見て、優しい恋人を愛していた純一は、手術後徐々に性格が変わっていくのを、自分ではどうしょうもない。自己崩壊の恐怖に駆られた純一は自分に移植された悩の持主(ドナー)の正体を突き止める。
(講談社BOOK倶楽部より)
感想・レビュー
東野圭吾さんは三作目ですかね。
これも東野圭吾作品の中では、割と序盤の作品。94年くらいに書かれた作品らしい。
さて、内容は世界初の脳移植を受けた悲劇の男の作品とも言えます。
主人公の男は引っ込み思案な気弱などこか万年冴えないも優しい青年ですが、脳移植を受けたことにより徐々に変貌=変身していく過程がスリリングな緊張感を孕んでいて面白いです。
その移植を受けたドナー相手が自分を撃った犯人の奴だと知ってからも、中々読ませてくれます。
自分の趣味嗜好が年齢と共に変化していくことは誰にでもあるので、若干の共感性もありつつ、けれど主人公は人間自体がかなり変身してしまうので怖さもあってそれがまた面白い。
最終的に主人公は人を殺ししてしまうが、殺したのは乗っ取られた脳がさせたことなので、そこに突っ込むのかなとも思ったが、そこには触れず物語は別の終わりを迎えました。
そのせいか殺された助手の直子が何とも言えないが、うーん、難しい問題でもあるので、またこれが多少モヤッともするが、東野作品らしい所を突いているとも言えます。
内容はミステリという感じではなく、SFチック医療ものとも言えるし、人間とは、愛とはを含めた東野劇場という感じでもあります。
この頃から「献身」的な彼女が出てきたりするので、後の容疑者Xの献身とかに繋がっていたりとかするのでしょうか。
全体的に泥臭くキャラクターで引っ張っていく感じの作品だったので、驚きという驚きはなかったので好みはあるかもしれませんが。
生意気な言い方をすれば及第点以上はあったかと。流石プロといった感じでしょうか。
そろそろ本格的にガリレオシリーズいってみたいと思っています。おわり。