
あらすじ
今を生きるすべての女性たちへ。直木賞受賞の傑作登場
女社長の葵と専業主婦の小夜子。二人の出会いと友情は、些細なことから亀裂を生じていくが……。孤独から希望へ、感動の傑作長篇
(文藝春秋より)
感想・レビュー
第132回直木賞受賞作、本屋大賞6位ノミネート作品
角田光代さんは初読みです。
どういう風に言えば失礼のない言い方が出来るのか分からないけど、決して上からではなく、読んで素直に思ったのはよく書けているなあと思った、人が。
たまに理解できない感情もあるが、構成も緻密に練られおり、派手じゃない日常を最後まで読ませる力量に驚きました。
これが角田節か。普段の文章は割と平凡を装っているが、油断した辺りにやってくる鋭い一節がグサグサと刺さる。
結婚する者しない者。持つ者持たざる者。近年ではまた違った意識展開を見せているが、大元の根っこに労働や貧困がある限り普遍性を持つ問題でしょう。
最後は色々と細かい所を無視すれば前に進む終わり方。
あとナナコの行方だけが気になって仕方ないが。
この作品は男性が読むときっと大半がまどろっこしいし、嫌いな感情で満ち溢れていて、女性には作中内同様に持つ者には胸が痛く、持たない者には男性的嫌悪を抱くやもしれない。
だから、やはりよく書けているんだと思います。
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