あらすじ
やさしそうに見えながら
強靭な詩学に支えられている葬式の名人 掌の小説より(有難う 夏の靴 心中 木の上 雨傘 化粧 貧者の恋人) 山の音
(筑摩書房より)
【解説: 須賀敦子 】
感想・レビュー
「葬式の名人」「掌の小説7作」「山の音」など9作品が収録されていました。
前半から川端康成の生涯を匂わせる魅力的な作品が多く、やはりその中でも「山の音」が別格に良かったです。
自分の中では「雪国」を超えてきたかもしれない。
主人公の老人をメインに二世帯家族を描く人間の味が素晴らしい。
よくこんな感情を捉えられるなと、感心してばかりでした。
当時の戦後背景も読んでいて心地よく思えるのは間違いなく描写力の高さ。
谷崎の細雪も当時はまだありませんし、似てはいませんが、この形状を引き継いでいるのかなと何故か頭に過りました。
やはり川端の文章は良いなぁと再認識しました。