晩年【あらすじネタバレ感想】太宰が自殺を前提に遺書として書いた作品集

あらすじ

妻の裏切りを知らされ、共産主義運動から脱落し、心中から生き残った著者が、自殺を前提に遺書のつもりで書き綴った処女作品集。“撰ばれてあることの 慌惚と不安 と二つわれにあり”というヴェルレーヌのエピグラフで始まる『葉』以下、自己の幼・少年時代を感受性豊かに描いた処女作『思い出』、心中事件前後の内面を前衛的手法で告白した『道化の華』など15編より成る。

(新潮文庫より)

感想・レビュー

自殺を前提に遺書として書かれた太宰の処女作集である『晩年』。

私にとって太宰治は、この文庫本からはじまりました。

まだこの頃は、後にこんなに多くの作品を読む作家になるとは思いもしませんでしたが。

「葉」「思い出」「魚服記」「列車」「地球図」「猿ヶ島」「雀こ」「道化の華」「猿面冠者」「逆行」「彼は昔の彼ならず」「ロマネスク」「玩具」「陰火」「めくら草紙」

計15作品の短編が収録されています。

短編全ての手法が独特で、常に新鮮に読めました。

太宰は常に人とは違うレモンの切り口を探していた、ということをどこかで聞いたような気がするが、何となくそれがわかりました。

そして当たり前のように文中に著者本人が出てきたり、結構笑える場面あったかと思えば、突き放したような終わり方もします。

不器用なんだけど器用というか、太宰が苦しみから解放されたい告白のような感じもしました。

また年を重ねてから読んでみたいと思います。

紹介した本

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