
あらすじ
言葉への敬意、不完全な人間たちへの愛おしさを
謳いあげる三浦しをん最新長編小説。
【辞書】言葉という大海原を航海するための船。
【辞書編集部】言葉の海を照らす灯台の明かり。
【辞書編集者】普通の人間。食べて、泣いて、笑って、恋をして。
ただ少し人より言葉の海で遊ぶのがすきなだけ。玄武書房に勤める馬締光也。
営業部では変人として持て余されていたが、
人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、
辞書編集部に迎えられる。新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、
徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。
言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく――。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか――。
(光文社より)
感想・レビュー
第九回本屋大賞”大賞“受賞作品
三浦しをんさんは初読みですね。
過去に何度か本屋大賞にノミネートされている作家さんですが、大賞を受賞したのは本作が初めてだと思います。おめでとう御座います。
まずはじめに、読後の所感はとても良かったですね。
まるっと要約すると辞書を作る人たちのお話なのですが、タイトルにある「舟を編む」というのがすごくハマっていました。
馬締こと通称マジメは名の如く童貞で出版社の中でも真面目すぎて少し変わり者。
そんな馬締にある日、辞書編集部にスカウトされる。そこで辞書の魅力と本人の温厚で几帳面な性格が噛み合わさり……という王道な流れ。
辞書編集部も中々の個性は揃いで、キャラが立っています。少し女性的な感じが強めかなとも感じましたけど。
物語は始まりから15年以上経って終わりましたが、それが辞書を作る人たち熱意、そして人生の重みとなって最後は込み上げてくるものがあります。
気になる部分も確かにありましたが、特に恋愛面、それを辞書の熱量で上回ったかな、とも思います。
自分も岩波の国語辞典はよく使いましたが、そこまで色々な人の労力と計算や試行錯誤が織り込まれていることは考えもしませんでした。
冒頭でも書きましたが、やはり読後の「舟を編む」は良いタイトルですね。
読後感にしんみりと心が優しくなるような小説でした。
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