超・殺人事件―推理作家の苦悩【あらすじネタバレ感想】ブラックユーモアが冴える殺人事件短編集

あらすじ

日本推理作家協会、除名覚悟! 

作家、書評家、編集者みんなまとめてメッタ斬り。超問題作、ついに文庫化。

新刊小説の書評に悩む書評家のもとに届けられた、奇妙な機械「ショヒョックス」。どんな小説に対してもたちどころに書評を作成するこの機械が、推理小説界を一変させる――。発表時、現実の出版界を震撼させた「超読書機械殺人事件」をはじめ、推理小説誕生の舞台裏をブラックに描いた危ない小説8連発。意表を衝くトリック、冴え渡るギャグ、そして怖すぎる結末。激辛クール作品集。

(新潮社より)

感想・レビュー

このミステリーがすごい!《2002》第五位ノミネート

東野圭吾さんのブラックユーモア短編集。

主に作家や出版業界の人たちを扱ったお話が8作品収録されていて、どれも笑えて面白かったですね。

読んだ感想としては、楽しくて気づけば終わってしまった。

相変わらずスラスラ読めるのは良い意味で本当にすごいことだと思いましたし、普段とは違った毛色の路線で書くとこうも笑いもとれるその才能が素晴らしい。

そりゃ人気出るわなぁと。

じゃあお話ごとに振り返っていきましょう。

「超税金対策殺人事件」

税金対策に苦しむ推理作家が、税理士にアドバイスを求める。

そうなると普段買った嫁さんの服とか、旅行費とかを全部取材費に変化させようと自分が書いている作品にどんどん取り込んでいく。

その結果とんでもない笑ってしまう物語になって、その推理作家は以後どこからも声がかからなくなって物語はおわる。

ここまで大袈裟なのは分かりませんが、実際、作品で使う予定がなかった小道具として取り入れたりする作家がいるのは、リアルなんだろなぁと想像を巡らせていたり。

「超理系殺人事件」

※この小説が肌に合わない方は飛ばし読みして下さい。との注意書きがありますが、私は気にせず頁を捲りました。特に苦手なジャンルはないのが取り柄なので。笑

物語は理系小説を手にとった自称理系が、物語を必死になって読み、似非理系だと判定される。

少し書き方が難しいのだが、作中内の出来事が現実でも同じように動いていたというのがシンプルでわかりやすいか。

最後はその物語を読んでいた似非理系が物語同様、特別捜査官に同行を願われておわる。

まぁまぁ楽しめたか。理系内容はてんで分からなかったが。

「超犯人当て小説殺人事件」

突如として大物作家の別荘に呼ばれた四人の編集者たち。編集者たちは各々違った編集部の人間だった。

四人に共通することは、大物作家に次回作を書いてもらう約束をしていて中々原稿あがってこないことだった。

大物作家登場。突如として一つの未発表の長編小説の原稿を持ってくる。

これを読んで犯人を当ててみろ。当てることが出来た人にこの原稿をやると挑戦状が叩きつけられる。

とにかく四人は必死になって読むが全然犯人がわからない。その中でも一人、わかった編集が大物作家に犯人を答えると「なるほど、そういうことか」とその答えを作品にとりいれようとする。

実は大物作家はゴーストライターだった。亡くなった妻が死んでからは、何も書けておらず、というよりも編集者たちが日々頭を下げてきたこいつはただのおじさんで。

最後は怒りを覚えた編集者が……物語はおわる。

うん、面白い。人生甘い汁を吸い続け、偉そうなおじさんには制裁が必要なのかもしれない。

だが同時に嘘つき続けるのも大変よなぁ。でもこういう性格の人だからずっと作家のフリできるのかしらと思ってもみたり。

「超高齢化社会殺人事件」

これも面白かった。超老人作家が書いた作品がついにボケ始めて、同じ台詞や、チグハグなキャラクターが突如として出てくる。

さらには密室なのに森の話をしていたりとめちゃくちゃな小説しか書けない。

それを編集者が毎度書き直し、今度こそこの作家は終わった、以後声をかけることもなくなるだろうと決心し、最後の連載小説を編集長に提出する。

こんな大ボケ作家に頼る理由は、若者小説家がおらず、その時代背景には、若者たちの小説離れが原因だった。

だがこの物語のオチは、実はその編集も大ボケ編集で、かなりの年寄りだった。つまり毎度二人で大ボケを繰り返していたことが編集長の言葉から明かされる。

ホラーとは言わないがなるほどなぁと楽しめましたね。

「超予告小説殺人事件」

これも良かった。売れない作家が書いた連載作品通りに、本当に現実でも殺人が起きる。

やがてその売れない作家は、有名作家の仲間入りを果たしたが、そこで本当の犯人から電話が掛かってくる。

その内容は、俺の言う通りに作中で殺せというものだった。小説家は迷ったが、何度か連載がとまならない限りは書き、そして犯人が殺す。

ついに痺れを切らした小説家は犯人を殺そうとするが、最後には自分が殺される。

それが作中内作品とリンクして最後は小説家が犯人だという風になる。だが実は犯人はおそらく編集のあいつ…?みたいな終わり方でした。

これも楽しんでよめましたね。発想が素直に面白い。

「超長編小説殺人事件」

これもたまげた。笑

時代は分厚い小説しか売れないという背景。そこに売れない小説家が編集からそそのかされ、分厚い小説を書くように水増し作業をする。

これがどんどんエスカレートしてゆき、最後は表紙に鉄板までいれる。笑

あの、あれ、なんだっけなぁ。芥川龍之介の思い出せないけど、芋粥だったかな。間違ってたら申し訳ないがその流れを感じて面白かったですね。

「魔風館殺人事件(超最終回・ラスト五枚)」

これはほんの数頁だけ。だけどそれでも面白さはあったかと。トリックを何も決めてない作家が、焦りに焦って「その犯人は――」で死に、地獄の連載終了。笑

「超読書機械殺人事件」

日々読みたくない作品も読まなくてはいけない書評家のもとに、訪問販売員が現れる。

何やらショヒョックスという機械があって勝手に書評をしてくれ、さらに辛口とか甘口とかモード選択ができるすぐれもの。

書評家は、すぐさまショヒョックスに取り憑かれる。だがそれは別の書評家たちも同じで、別のモードを試しては何とかやり過ごす。

自分専用(言葉遣いや感覚など)のショヒョックスにするためオプションを買ったりするざま。

少し時代が進んでショヒョックスを使って書評をするのが当たり前の時代になる。

最後は小説家もショヒョックスキラーを使い、ショヒョックスの為に小説を書かせる。

うーむ、これも秀逸だったなぁ。皮肉も全て入っていて。

おわり

あまり長々と書くつもりはなかったのですが、すいません。

東野圭吾さんやっぱり良い作家さんですね。

最後に「超読書機械殺人事件」のショヒョックスを売っていた販売員の言葉を一部引用させていただき、今日は終わりたいと思います。

今ではありふれた言葉かもしれませんが、良いなぁと再度思いましたので。

奇妙な時代だ、と思う。本をあまり読まないくせに、作家になりたがる者が増えている。さほど売れていないのにベストテンが発表されたりする。一般読者が知らないような文学賞が増えている。本という実体は消えつつあるのに、それを取り巻く幻影だけがやけに賑やかだ。

読書って一体何だろうな、と黄泉は思った。

(「超読書機械殺人事件」より一部抜粋)

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