高慢と偏見【あらすじネタバレ感想】英国古典、ジェイン・オースティンの代表作!

あらすじ

経済的理由で好きでもない人と結婚していいものだろうか。いつの時代も幸福な結婚を考える女性の悩みは変わらない。エリザベスとダーシーの誤解からはじまるラブロマンスは、いつ読んでも瑞々しく、オースティンの細やかな心理描写は、ときおり毒もはらむがユーモラスで、読後は幸せな気持ちにさせてくれる。愛らしい十九世紀の挿絵五十余点収載。

(中央公論新社より)

感想・レビュー

ジェイン・オースティンは初めて読みます。

もう何年も前から読もうとチェックしていたので、ようやく読めた感じです。

まず読み終えた所感としては、普通に楽しめたかなと。そしてなるほど、これが200年以上も前に書かれていたのかと思うとより一層、読後の印象も趣深いものがあるような、そんな幸福的な終わり方でした。

イギリスではもう古典的な扱いなのかもしれませんが、内容はわりとラフに読める感じで、本作は三部作を三人称視点で描かれていました。

文庫本で660頁ほどあるので、かなりボリュームはありますが、第二部辺りから物語が少しずつ動き出していくので、個人的には最後まで楽しみながら読めました。

あとは読み手として状況整理が追いつきはじめたのが、第二部辺りから、とかもあるかもしれませんが。

舞台は18、19世紀辺りの英国で、主に田舎に住む娘たちがどのようにして、結婚し幸せを掴んでいくのか、それまでの細やかな心理描写や、当時の生活背景などが平凡に描かれていました。

作中小さな事件、揉め事のようなものは起きますが、あくまで平凡で家庭的な話で物語が動くので、大きな起伏などはありません。

ですが上流階級との交流しかり、恋のもどかしさ、タイトルにもある【高慢と偏見】の部分がちゃんと楽しめるように書かれているので、登場人物にも徐々に愛着のようなものが湧いてきました。

ベネット氏と夫人の夫婦の関係性とか、夫人のあのオカンのような手のひらクルクルな感じは、読んでいてなんか普遍的だなぁとクスッと笑えました。

エリザベスとダーシーや奥ゆかしい美しい姉のジェインなど、微笑ましい若者たち、といいますか、駆け落ちしたお馬鹿なリディアも含めてなんか平和だなぁと思いながら読んでいました。

今回は物語が長いのと起伏が少ないので、物語の詳細は書きませんが、興味のある方は是非とも一度、雰囲気を味わってみるのは全然ありだと思いますし、おすすめできます。

なので今回は著者であるジェイン・オースティンについて少し触れていきたいと思います。

訳者の大島一彦さんがあとがきを書いて下さってまして、その内容が面白く、個人的にもジェイン・オースティンを少し調べてみました。

1775年にイングランド南部ハンプシャーの牧師の家で生まれたジェインは、41歳で亡くなるまで生涯独身で平凡に創作活動をしていたそうです。

その生活も派手さはなく、至って平凡なものだったらしく、姉と寄宿学校に2、3年だけ通って、残りは家庭で学び過ごしたとか。因みに父と兄二人はオックスフォード大学を出ているそうです。

この辺りも当時の時代背景なのかもしれませんね。

さらに当時は女性が小説家になるというのは、あまり考えられないことだったらしく、匿名で書いおり、父親が出版社に(のちに高慢と偏見)の原型となる作品の打診を行ったりもしたそうなのですが、断られたという。

その後、ようやく【マンスフィールド・パーク】を出版し、【高慢と偏見】なども出版したそうですが、当時も匿名で親しい人にもそれを明かさなかったらしいです。

ですが【エマ】の出版時に王太子がジェインのファンだったとかで、いよいよ作家生活に光が見えそう感じもするのですが、その二年後には病気で亡くなってしまいました。

それでも最後まで家族に見守られ、穏やかな人生を過ごしたそうです。

遺作ものちに何作か出版されました。

ジェインは恋をしたり、プロポーズを受けたりもしたそうなのですが、断って生涯独身で過ごし、訳者の大島さん曰く、ジェインは過去6作登場してくる主要な娘たちは、みな幸せな結婚しているらしいです。

この辺も作品を読んだせいか、何か考えさせられるような、不思議な力を持つ人ですね。

ジェイン・オースティンの小説は、のちに多くの作家を惹きつけました。

サマセット・モームが「世界の十大小説」にこの【高慢と偏見】を選び、我らが文豪でもある夏目漱石先生は、英国留学もしていましし、『文学論』で「ジェイン・オースティンは写実の泰斗なり。平凡にして活躍せる文字を草して技神に入る」と、絶賛の言葉を残したりもしています。

ではジェイン・オースティンが何故ここまで有名になったのかは、大島さん曰く死後100年を越えた辺りから映像化された影響もあり、じわじわと人気を博していったそうです。

死後200年を越えた現在でも、その名が廃る気配はないそうです。

現に生きた時代も国も違う私が読んでいますしね。

これは【源氏物語】を読んだ時にも思いましたが、改めて小説の凄さというか、物語の文化としての尊さ、みたいなものを感じました。

こうして現代に生きる我々が親しみやすく古典や昔の作品を読めることは、愛をこめて翻訳して下さる方がいてくださるお陰なので、心より感謝したいと思います。

英国では、2016年以降の10ポンド紙幣の肖像画にジェインが採用されているらしいです。

自分が生きている時には、考えられないほど名が轟いているジェインは驚くのか、それともジェインにとって創作とはそういう次元で考えていないから驚かいないのか。

それはわかりませんが、小説家含め芸術家はそういった運命を背負う生き物なのかもしれませんね。

今日はこれで終わります。おやすみなさい。

あ、書き忘れましたが、挿絵も素敵でした。

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