あらすじ
友情と恋の、どちらかを選ばなくてはならなくなったら、どうしますか……。
鎌倉の海岸で、学生だった私は一人の男性と出会った。不思議な魅力を持つその人は、“先生”と呼んで慕う私になかなか心を開いてくれず、謎のような言葉で惑わせる。やがてある日、私のもとに分厚い手紙が届いたとき、先生はもはやこの世の人ではなかった。遺された手紙から明らかになる先生の人生の悲劇――それは親友とともに一人の女性に恋をしたときから始まったのだった。
(新潮社より)
感想・レビュー
夏目漱石作品は初読みになります。
まず読後感としては素晴らしい。
人間の死んでも隠したい虚栄心、嫉妬心、醜いこころが先生自身の叙述を通してしっかりと書かれています。結果、それを妻でもなくたった一人の私に伝え、自殺する
先生は惨めでもあるが、確かに現代人とリンクする部分は多くあると感じました。
普段からこの気持ちで埋め尽くされた人にとって、読みきるのが辛い作品だと思います。
だからこそ読んで欲しい作品でもあります。そこに学びがあると思います。
漱石先生はこれを最後まで逃げずに書ききったのかと思うとやはり、偉大な文豪なんだと改めて認識させられました。