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あらすじ
「敵を知り己を知れば百戦危うからず。今回の修学旅行のテーマだ」
期末試験も終わる11月下旬、修学旅行の詳細が発表された。
行先は北海道。特別試験は存在せずスキーや観光など通常の修学旅行と変わらない。だが各クラス男女で2名ずつ合計8名がグループとなり4泊5日の旅行中行動するという特殊なものだった。綾小路は櫛田の他、まさかの龍園など他クラスの面々とグループを組むことになる。だが事はそう簡単に進むわけもなく「おまえ何か勘違いしてんじゃねえだろうな、綾小路」「勘違い?」「既に俺と坂柳の前哨戦は始まってんだよ」波乱を感じさせるもので――!?
一方、生徒同士の関係を大きく変えるイベントも進んでいた。
「俺は―――鈴音に正式に告白する。付き合ってくれって」
(MF文庫Jより)
感想・レビュー
よう実ファンの皆さまお待たせしました。
当方、発売日に少々旅に出ておりまして、出遅れてしまいました。
数日後、家に帰宅し、Amazonで予約しておいた新刊が届いていたので、ほくほく顔で早速開封する……「っておい、帯破けとるやんけぇええぃ!」とらしくもなく取り乱してしまいました。笑
別の品物と一緒に頼むと、必ず一緒に商品を入れてくるので、Amazonって確か包装ないですから、モノによっては簡単に破けるんですよね。
返品しようか迷いましたが、早く読みたい欲に負けて読むことに。
なんか過去にも似たようなことあったような…また次から単品購入しよう(学習しない)。
さて気を取り直しまして、そもそもシリーズとして順当にいけばまず8巻の前に、二年生編7.5巻の短編集になるはずだったんですよね。
これは前巻の感想でも書きましたが、あとがきでも次巻については何も触れられていませんでした。
初めてですよね、短編集なかったの。と思いつつ、今巻のあとがきでその事が書かれていました。
次巻は9巻(2学期末試験)、そしてその後の冬休み?を描く時に短編集の予定、という感じらしいです。
あと9巻の内容によっては、上・下巻構成になり、10巻まで食いこむ可能性も十分にあるかもしれません。
ということで、まず読み終りました。
なるほどぉ、なるほど…そういう感じですか。
一ノ瀬の終わり方からして、概ね皆さんも似たような読後感だろうと思います。
修学旅行というだけあって、何か大きな出来事があるかと思いきや、特別試験もないので『よう実』行例の嵐の前の静けさ、という奴でしょうか。
各地で情報収集戦が繰り広げられていましたが、そもそも冷静に考えて、学校敷地内や無人島試験の時とは違い、一般の人たちがいる場所に、生徒たちが同居するシーンって今までにないですよね。
なので大きなイベントなどは出来ないのが当然かもしれません。
では綾小路の父親たちからの刺客という路線も勘ぐりましたが、どうやらそれも違った変化を作中でみせていました。最後にその件についても書きます。
まぁ次は龍園が度々口に出している学期末試験ですから。何かまた大きな山場が待っていそうな伏線があちこちにあるので、楽しみと恐怖が相まって仕方ないです。
ではさっそく今巻のお話を振り返っていきましょう。
- 神崎隆二の独白
- 天沢一夏のその後、怪しい七瀬
- 修学旅行が開幕!班分け
- ついに須藤が堀北に告白!
- 櫛田桔梗…綾小路に惚れる!?
- 綾小路と堀北の会話(重要)
- 坂柳と神崎隆二の関係性
- 新たなる敵か? 一年『石上京』
- 一ノ瀬帆波、敗北を認める
- 綾小路父親の思惑とは?
個人的に大きく纏めるとこんな感じでしょうか。
ではネタバレ全開で書いていきますので、ご注意下さい!
神崎隆二の独白
恒例の独白から。今巻は神崎かと思いつつ、彼の直近では綾小路に新たな活力を貰ったばかり。
同じクラスメイトの姫野と共に一ノ瀬クラスの再建を試みています。
少し過去シーンで彼の性格を表す部分がありましたが、そこまで重要性は今の所感じず。
天沢一夏のその後、怪しい七瀬
綾小路に敗北した八神と同じく、退学するのかと思いきや、どうやら天沢一夏は残ることに。
それでも彼女の中で八神の存在は大きかったらしく、しばらく引きこもっていた。
天沢は今後どのような動き方を見せるのか今の所不明です。
そしてもう一つ怪しかったのが七瀬。彼女は二年生編の綾小路にとって一番最初の敵となりましたが、敗北し、その後無人島試験やその他諸々含め、綾小路の味方的立場でした。
ですが、何やら綾小路に対し、隠し事がありそうな雰囲気が出てきました。それは彼女自身についてなのか、彼女の後ろにいる存在なのか、今後明かされることになりそうです。
体育祭以来見てませんが、七瀬の同クラスには確か宝泉もいますし『石上京』なる人物も何か繋がってくるのか、今後の動向が気になります。
修学旅行が開幕!班分け
さて本巻のメインとなる修学旅行。満場一致試験時に集計した行き先の結果は『北海道』
ここからが「よう実」ならではのやり方が始まります。
本来、同クラスのメンバーで行動するのが一般的な修学旅行ですが、各クラス二名毎に選出し、四クラス合同の班を作り、4泊5日過ごすことに。
そして綾小路の班が判明。
Aクラス【鬼頭隼人、山村美紀】Bクラス【綾小路清隆、櫛田桔梗】
Cクラス【龍園翔、西野武子】Dクラス【渡辺紀人、網倉麻子】
まずは何を言っても龍園でしょう。彼が綾小路といるだけでどうなるのか、ワクワクします。
他にも鬼頭、櫛田、西野に関しては知っている面々で、渡辺、網倉、山村はモブ的存在ではありましたが、今回で結構キャラ付けはあったかなと。
相変わらず毎度毎度新キャラが登場しますが、笑)今後彼らが出てくる機会があるのか、そもそも読者が今後覚えていられるのか、分かりませんが。笑
さてその内容ですが、龍園と鬼頭は想定通り揉めましたが、まぁそこまで大きな事故になっていく感じでもなかったです。
他校と初めて絡んで、喧嘩になったりとかはありましたが、彼らがすんなり負ける程生易しいメンツではありませんから。
簡易的な競い合い制度が導入されましたが、あくまでも物語を中弛みさせない程度。基本的には短編集のような、修学旅行を楽しむ感じでしたね。
さらっと龍園の『8億計画』とかが再開していましたが、私はすっかり忘れてました。笑
あぁ確かにそんなこと言ってたかな?と思いつつ、龍園は今後、プライベートポイント重視で行くとのこと。
まずその目標設定が坂柳を倒し、その後堀北クラス(綾小路)を倒し、Aクラスへ、という想定らしいですが、今後どのように進んでいくかは、まだ分かりません。
櫛田のコミュ力や、渡辺のモブ性、山村との会話、鬼頭の趣味など、色々とありましたが、みんなそれなりに仲良く?というか親しい関係の空気感は出来ていました。
ついに須藤が堀北に告白!
さてついにコレですよ。コレなんですよぉ!須藤がようやく告白するらしい。
修学旅行という一大イベントではありますし、告白するならば相応しい舞台なのかもしれません。
須藤はDクラスの中でも入学時から一番と言っていいほど成長した生徒です。作中で綾小路も触れていますが、二年生編になってからの彼のクラス貢献度はかなり高いとのこと。
そんな彼の努力の影にはいつも堀北鈴音がいました。周囲も彼が堀北に好意を示していることは周知していたことですし、さぁ告白。
私も最初はどうせ無理やろ、とか思っていたのですが、なんかそうでもないような雰囲気になってきて、おっ、まさか付き合うのでは?いやいや、ないだろう、とか勝手にドキドキしてきてしまい、笑)よう実だから仕掛けてもおかしくないよな、とか思っていました。
その結果は残念!須藤!お疲れ!という感じで玉砕しました。
ですが想定していたよりも真剣な感じで、堀北鈴音という一人の人間性を知れましたし、須藤の好感度もまた一つ上がったような気もしました。
今後、須藤はますます成長していきそうで、楽しみです。
あと堀北は、本作初期ヒロイン?として返り咲く可能性があるのか、その導線が今回ではっきりと残った気がします。実る実らないとかは考えない方が良いかもしれませんが。笑
櫛田桔梗…綾小路に惚れる!?
はい、これはお題通りです。笑
やはり前巻の救出シーンといい、満場一致試験から本性をさらけ出した櫛田に変化が生まれました。
今巻は同じ班ですし、そういうこともね、あるよね。
くっころ、みたいな口絵までありましたし、笑)
今後面白い展開になりそうなだけに、佐倉愛里のことを考えると少し胸が痛い…
綾小路と堀北の会話(重要)
このシーンは、前巻で本来話し合う予定だったのですが、綾小路は椿たちに呼ばれ、堀北は教室で眠るという最高の挿絵がありましたよね。
でその続きになります。
堀北は八神退学の件に綾小路が関わっていると睨んでいて、当の本人は全部自分がやったと正直に話します。
昔だったら考えられませんが、もうその段階は色々と超えてきてますから、堀北も然程驚いた様子はありませんでした。
それよりも何が『重要』なのか?読んでいてとても気になったこの一文を引用させて頂きます。
こんなことを堀北に話すことに、今までなら意味を見出すことはなかった。
だが、ここでオレがどんな人間なのかを間接的に示すことでデータを与えられる。
いずれ相対した時、それを活かせる可能性を作っておく。
(ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編8より)
案外さらっと書いているのと、隣ページが星之宮先生と茶柱先生のハイクオリティ挿絵なのでつい流し読みしそうになりますが、やはりこれは体育祭編の時にも見せた綾小路の片鱗ですよね。
いずれ綾小路は堀北クラスと対立関係になることは、いよいよ間違いなさそうです。
さすがにワクワクしますね。笑
坂柳と神崎隆二の関係性
次に坂柳有栖と神崎隆二の組み合わせ。
確かに珍しい組み合わせで、初めて見る光景かもしれません。
何より神崎は一ノ瀬の片腕で幹部的な立ち位置ですし、接点がない訳では無いと思うのですが、二人には全然別のプライベートな接点がありました。
それが坂柳理事長と神崎の父親(神崎エンジニアの代表)が知人であったこと。
そして神崎の父親は綾小路の父親を慕っているということ。←これ結構重要じゃありませんか?
話によるとそこまで深い関係性ではないらしいのですが、こうなってくると綾小路の父親は、神崎の父親を伝い、神崎に指示を出したり、コントロールすることが出来るということにもなってきますよね。
家族と連絡を取れない校則などがありますが、綾小路の父親にその論理が通用するかは言うまでもありません。
将来的には綾小路の前に立ち塞がる敵になり得る可能性もあるかもしれません、分かりませんが。
まぁ神崎だけでは綾小路の足元にも及びませんが、何も一人で立ち向かうことはありませんしね。
新たなる敵か? 一年『石上京』
さてこの事についても触れておきたい。二年生編になってからたまに見かけたような名前の一人である『石上京』の名前が浮上してきました。
体育祭編で坂柳と綾小路が同室にいた時に、玄関ドア越しだったかな?(間違えていたらすみません)で聞こえてきた声の主と、前巻で椿を通しての通話の声の正体がその『石上京』だと判明しました。
彼は綾小路の父親を『綾小路先生』と呼称しており、同じ塾に通っていた神崎は彼の存在を『天才』と表現していました。
ただ石上は綾小路に対し、敵対の意思は今の所ないらしく、出自なども不明で、今後どういう風な展開で繋がっていくのか、気になるところですね。
一ノ瀬帆波、敗北を認める
一年生から見てきているだけに、今の一ノ瀬を見ていると何とも言えない切ない気持ちがこみ上げてきました。
一ノ瀬は無人島試験で「ホワイトルーム」の単語を聞いてしまいましたが、それを綾小路に問いかけるシーンもありました。
綾小路は白を切りましたが。
彼女はついに「自分のやり方じゃ他クラスに敵わない」事を悟り、敗北を認めるのですが、うーん、これを可哀想だと思うのは何か間違っているような気もする。
でも頑張って欲しい…なんて思っていたら、またもやサイコパス綾小路の独白と行動がはじまりましたので、笑)一部引用させて頂きます。
おまえが倒れるのはもう少し後。学年末試験、2年生の命運を分かつであろうその時まで、歩みを止めさせるわけにはいかない。壊れることは許さない。
学生としての生か死か、その時と場所を決めるのはおまえであっておまえじゃない。
(ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編8より)
その後、綾小路は一ノ瀬を抱き寄せます……これぞまさに綾小路キタァァァ!って感じのサイコパスシーンなんですけど、これはヤバいですね。笑
これって早くても3年生編の時に一ノ瀬はもう壊れているって予言なのか。
それとも別の展開を見せるのか分かりませんが、少なくとも綾小路の算段ではそうらしい。
そしてこのシーンは、綾小路からすると想定していたよりも早く動いてしまった、という。過去に似たようなシーンがもう一つありました。
それがあの満場一致試験の時に、堀北が櫛田を残す選択を見せた時です。
さぁこれらの細かいシーンが、綾小路の予測する未来を覆し、綾小路が企む計画にどういう影響を与えていくのか見物です。
綾小路父親の思惑とは?
この件に関しては書こうか迷ったのですが、少し混乱しそうになったので、一応自分の頭の整理をする為に書きます。
そもそも綾小路の父親は、息子である清隆をホワイトルームに戻す為に、わざわざ学校に乗り込んできたり、月城理事長代理やホワイトルームからの刺客たちを送り込んでいました。
ですが今巻の綾小路は、月城理事長代理や父親は、本気で自分をホワイトルームに取り戻すつもりではなかったんじゃないか?と思いはじめているんですよね。
・・・「は?どういう意味?」って一瞬なったんですけど、確かに綾小路の父親が本気で清隆を取り戻すつもりなら、もうとっくに取り戻していてもおかしくない力、権力を持っていそうな感じではあります。
あとは綾小路の入学まで関係性のあった松尾しかり、七瀬と関係のある松尾の息子・英一郎たち親子の死であったり、それは果たして本当に真実だったのか?など、七瀬に嘘を吹き込む様に、偽装した可能性もある、ということですかね。
まぁこれはあくまでも確定した事実ではないので、今後の展開に注目していくしかないですね。
過去の坂柳との会話でも綾小路は、卒業後にはホワイトルームに戻る事が確定していると言っていたと思います。
そもそもホワイトルームに帰って父親は、清隆に何をさせるつもりなんですかね。
それくらいホワイトルームという謎に包まれた施設ではありますが、今後その辺りの正体も明かされ欲しいところですね。
まとめ〜伊吹が微笑ましい〜
とりあえず二年生編8巻はこんな感じでした。
今思えばあの終わり方って、まだ修学旅行編が完全に終わってない感じなんですかね。分かりませんが、ひとまず総括として、全体的には大人なしめの巻になりましたが、考察要素は結構あったかなと。
あとは堀北と伊吹の関係性がもうなんか子供過ぎて、雪合戦で負け犬って、笑)って感じだったりで、個人的には伊吹の出番が多くなって嬉しいですが、やっぱり人気なんですかね。笑
まぁ衣笠先生が楽しんでる説も大いにありそうですが。笑
他にもアルベルトの和食好き判明や、確か龍園クラス?の時任と坂柳の新鮮なシーンというか分かりやすい罠だったり、それしっかりと見ている龍園という構図だったり、細部で楽しめたかな思います。
そして最後にはやはりこの人、トモセ氏のイラストを褒めずして終われません!(はよ終われ)
西野と石崎?の表紙から、口絵には櫛田が三枚分全部に登場し、スキー場の綾小路、龍園、櫛田の組み合わせもめっちゃ良かったです。
個人的には坂柳の挿絵が多めというのも嬉しかったですし、最後の一ノ瀬の切なさがとても強調されてハイクオリティでした。いつもありがとうございます!
なんか思い返せば気のせいか一ノ瀬って1ショットの挿絵多いですよね。そういうキャラクターなのかな。まぁいいや。
次巻は2023年以降になりますが「衣笠くんのあとがき」によれば本編が確定しておりますので、2年生編9巻を楽しみに待ちましょう!
それでは長々と失礼しました。今日はこの辺で。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。ではまた。
追記:中々手がつけられなかったよう実画集・第二弾の特典である「1年生編 ShortStory」文庫本の感想を2022年内にどこかであげたいと思います。
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