
あらすじ
ヴェニスの若き商人アントーニオーは、恋に悩む友人のために自分の胸の肉一ポンドを担保に悪徳高利貸しシャイロックから借金してしまう。
ところが、彼の商船は嵐でことごとく遭難し、財産の全てを失ってしまった。借金返済の当てのなくなった彼はいよいよ胸の肉を切りとらねばならなくなるのだが――。機知に富んだ胸のすく大逆転劇が時代を越えてさわやかな感動をよぶ名作喜劇。
(新潮社より)
感想・レビュー
この喜劇はシェイクスピア作品の中でもかなり奥深い背景があるように感じました。
悪徳ユダヤ人から友人を救う為に、自分の肉を担保にかけた男の物語が始まる。
これは実際のユダヤ人の歴史を背景にしているらしいですね。
ポーシャの箱の恋人選びや、ユダヤ人娘ジェシカの駆け落ち、人肉裁判とどれも面白い。
結果一つの終着点に向かっていくのはやはり見事。
だが当時の英国の時代背景に、悪役であるユダヤ人に対する差別意識は、しっかりと受け止めなくてはいけない。
確かに彼は多くを語られてないが悪事を働いてきたと想像させられる。
だが視点を変えてみるとやはり同情の余地はあるのかも知れない。