あらすじ
2050年、日本は持続可能か?
「日立京大ラボ」のAIが導き出した未来シナリオと選択。
「都市集中型」か、「地方分散型」か、あるいは第3の道はあるのか。
借金の先送り、格差拡大、社会的孤立の進行…転換を図るための10の論点と提言。
(東洋経済新報社より)
感想・レビュー
【AmazonAudible】
人口減少に歯止めがきかない日本国に住む一人として、とりあえず聴いてみました。
そもそもある程度平和が維持されていて、豊かな国は、ある一定の段階で人口増加が止まる、というようなこともどこかで聞いたことがある気もしますが、まぁ1億人なんて軽々と超えていく国もあるので、分かりませんね。
政策とか文化とか領土とか、そういった因果関係が何か別の要因があるのかもしれません。
そして我が日本国では、どれだけ知識人の方が未来を予測しようと、じゃあ何から手をつけますか、と政治家が言ってるうちに色々と後手後手になって、そうならざるを得ない所まで行ってしまうという、如何にも日本的終焉を思えてならない、そう感じてしまいました。
もう崩壊寸前の「年金制度」しかり、多くの社会保障制度は、今の日本の人工減少モデルに適しているとは言えない部分や、少子化からくる「医療崩壊」も時間の問題であったり、本当に何から手をつけますか、という状態でありますね。
高齢者増加現象については、主に団塊の世代からだと思うので、政治家的には、この増加現象が20年程度で止まる、落ちるというのを見越しているでしょうから、ひたすらに引き伸ばし、引き伸ばしという感じで、その何十年間は、お利口な日本人に負担と強い我慢を強いる、そして年金制度を変えるということはしないとも思えますが。
さて本書はまず、AIが導き出す日本の未来ー「都市集中型」か「地方分散型」かという事が最大の分岐点であると述べております。
どちらにもメリットデメリットは存在し、本書では双方の未来モデルを書いてくれていました。
ですが少子高齢化現象から鑑みて、明らかにもう「都市集中型」になっていると思われるのですが、その辺りは今後変化の兆しはあるのでしょうか。
未来的に必ず地方自治体は数を減らしていくでしょうから、人がいない場所に職はなく、希少な若者たちは都市に行くというより、行かざるを得ない状態が今よりもより強くなっていくと思います。
このまま税制度も高騰し続けると、その要因に拍車をかけますしね。
現在それらに対向する一つの手として、IT系や、在宅ワークなどが挙げられますが、その職の在り方は、多くの人民をカバーできる手立てではない。
何故ならば日本のIT業界では、アメリカを超えて覇権を握ることが出来ないから。私たちが日々生活に欠かせないTwitterやYouTube、Google、Apple製品などは多くがアメリカ製のものです。
繁栄しない分野に教育制度は整備されませんし、まず日本では人が足りません。
日本は長年、文系大国として舵を切ってきましたから、文系ジャンルでもそれなりに食えるだけの給料が貰えることなど、原因は色々とあります。
こうして過疎現場に待ち受けているのは、一人辺りにかかる労働量の負荷が大きくなるということ。
まぁこの点を書き始めると「派遣バイト大量化&正社員負担増加案件」など長くなるので、程々にしておきますが、こうなってくると悪循環のスパイラルはとまりません。
まずこれらを日本製として世界に普及し、世界の人々の生活を塗り替える力はもうないし、色々と買収されたりしましたしね。
まぁ戦後の世界的アメリカ支配が大きいという事でもあるのですが。
例え日本がIT教育をより強めたとして、結局少子化が足を引っ張り、インドや中国には敵わないので人海戦術で負けていく。
人が多いということは、稀有で特出した才能が開花する率も飛躍するという事でもありますから、これらを考慮しても結局の所「都市集中型」にならざるを得ない、という感じでしょうか。
対向するもう一つの手段として、本書では「ベーシックインカム」にも触れていましたが、著者さんは全普及というより、部分普及を目指すべきだと述べており、確かにその内容も頷けるものだったと思います。
他にもヨーロッパやアメリカのモデルを参考に、街づくりの特徴や、日本が今後、どういう道のりを歩んで行けばいいかの例もありました。
ですが日本は先進国として人口減少スピードは、他にモデルがありませんからね。
よく言われていますが、似たようなイタリアなど人口減少他国は、日本がどう人口減少して滅んでいくかをモデルとして参考にし、対策を立てていくでしょう。
多くの人はとりあえず今の人生を楽しむという方向性だし、それが選挙や政治にも現れていますし、個人的にも仕方ないと思いますしね。
私はまだ二十代なので、今の社会福祉制度に「おかしいだろ」とか文句を言える(言いませんが)立場ですけど、おそらく未来的に自分たちが年寄り側になった時、少ない若者に即した制度に納得し、行動出来るかは正直わかりませんしね。
未来のことを考えて投票してくれている稀有で素敵なご高齢の方もいらっしゃるとは思いますが。
あとは資本主義についても書かれていましたが、世界的歴史背景を考えると、経済が大きく変わる時は決まって「戦争」か「革命」ですから。
日本の未来はどうなってしまうのやら…。