あらすじ
破滅への衝動を持ちながらも“恋と革命のため”生きようとするかず子、麻薬中毒で破滅してゆく直治、最後の貴婦人である母、戦後に生きる己れ自身を戯画化した流行作家上原。没落貴族の家庭を舞台に、真の革命のためにはもっと美しい滅亡が必要なのだという悲壮な心情を、四人四様の滅びの姿のうちに描く。昭和22年に発表され、“斜陽族”という言葉を生んだ太宰文学の代表作。
(新潮社より)
感想・レビュー
戦後の没落貴族を描いた作品。
様々なテーマが物語を通して人を惹きつけさせる。
かず子が母に抱いた情。 恋、と書いたら、あと、書けなくなった。
そこが始まりのような呪いであり、元麻薬中毒者である弟の自殺、母の死、MCとの恋という名の戦闘開始、革命、殴るわよ……簡単には語りきれない力があります。
まるで人間の絶望と真理がそこにあるように錯覚させられる、やはり太宰はいい、、そう思わされる素晴らしい小説でした。何度も読み返したい。
というのが当時の感想で、太田静子の「斜陽日記」を読んだ今振り返っても何故か分からないが、この太宰治の「斜陽」だけが人生で初めて読みながら震えてきて、笑っていた作品だと思う。
別に自分の中では斜陽よりも面白い作品は幾らでもあると思うが、震え笑うという恐ろしい経験は出来ていない。
これを皆は感銘と言うのだろうか?
自分にはそれが分からないが、私にとって「斜陽」という作品はそういった不思議な作品でした。