新宿鮫:新宿鮫1【あらすじネタバレ感想】 大沢在昌の出世作となった警察小説

あらすじ

ただ独りで音もなく犯罪者に食らいつく―。「新宿鮫」と怖れられる新宿署刑事・鮫島。歌舞伎町を中心に、警官が連続して射殺された。犯人逮捕に躍起になる署員たちをよそに、鮫島は銃密造の天才・木津を執拗に追う。突き止めた工房には、巧妙な罠が鮫島を待ち受けていた!絶体絶命の危機を救うのは…。超人気シリーズの輝ける第一作が新装版で登場!!

(光文社より)

感想・レビュー

このミステリーがすごい!《1991》第一位

文庫・新装版になります。そして個人的にも大沢在昌さんの作品は、初じめて読みますね。

「新宿鮫」という言葉は、シリーズ四作目が直木賞を獲ったりと、何度か耳に挟んでいたのでいつかは読めたらと思いようやく読了しました。

まずこの作品は警察小説ではありますが、キャラクター小説とも言える程にキャラクターが強力なのが特徴的でしたね。

主人公の鮫島は、よくある警察組織の派閥争いとは無縁の孤立した刑事でヤクザだろうが法を侵す者には片っ端から捕まえていくタイプ。

だがその鮫島には「ロケットおっぱい」を持つ14歳年下の彼女、ロックシンガーの晶がおり、あとは同じ防犯課に家族を失い無感情の「マンジュウ」こと桃井課長がいる。

他にもヤクザ、ホモなど歌舞伎町という街を映し出すような多彩なキャラクターたちも魅力的でしたね。

これは解説にも書いていましたが、晶は鮫島の私生活を映し出し、桃井は鮫島の仕事を映し出し鏡になっていると。

まさにその通りで、さらに鮫島は世に晒せば警察組織を大きく揺るがしかねない情報を持っている、という設定があるので、上層部は鮫島を異質の目で見ているのも面白い。

事件の連続警官殺しも、横軸が同時進行するのでリーダビリティを加速させている要因だったかと。

そして文章が読みやすい。

実をいうと序盤は文章を簡潔にしすぎる癖というか、区切りが多いかなという印象で文体のリズムに乗り切れない感じもあったのですが、徐々に慣れていったのか、結果読み終わってみたら読み易くスラスラと読めた印象が残っていたので不思議です。

また書き出しの文章も良いなぁと印象が残ったので、この一文を引用させて頂き、今日はおわります。

悲鳴は、鮫島が脱いだジーンズとポロシャツをたたんでいるときに聞こえた。

(新宿鮫: 新宿鮫1 新装版、本文より)

↑これ書き出しなんですが、実はホモばかりが集まるサウナ場でのシーンなのです。笑

ぜひ興味が湧いた方は一度読んでみるのをオススメします。

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