あらすじ
ユダは誰だ。人間の心に巣食う「悪」と「赦し」を描いた。【芥川賞受賞作】
フランス人でありながらナチのゲシュタポの手先となった主人公は、ある日、旧友が同僚から拷問を受けているのを目にする。神のため、苦痛に耐える友。その姿を見て主人公は悪魔的、嗜虐的な行動を取り、己の醜態に酔いしれる(「白い人」)。神父を官憲に売り「キリスト」を試す若きクリスチャン(「黄色い人」)。人間の悪魔性とは何か。神は誰を、何を救いたもうのか。芥川賞受賞。
(新潮社より)
感想・レビュー
第33回芥川賞受賞作
遠藤周作さん初読みになります。
素直にのめり込みました。白い人は、第二大戦のドイツ占領下フランスが舞台。
神をもつ者と持たない者。善悪。人間の意識下にある反対作用。サディズムと拷問。
肉欲によって犯す。
濃いくらいの題材が短く凝縮されており、贅沢な作品。
黄色い人は、友人の許婚者を犯し、良心の呵責すら感じない日本人青年と神を失ったキリスト教元司祭を交えて、神の存在意義を問うてくる。
これが中々に興味深い文学になっていて面白いんです。
現代日本人の多くも、きっとこの青年の感性をどこかに持っている。それが個人的な収穫になりました。
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