神と王 亡国の書【あらすじネタバレ感想】構想四年、古事記からインスピレーション得たファンタジー小説

あらすじ

この世界に乱立する国々の中、古い歴史を持つ国・弓可留(ゆっかる)。
父の後を継ぎ、歴史学者として日々研究に励んでいた慈空(じくう)は
あの日、すべてを失った。
他国の「神と歴史」を奪って肥大する隣国・沈寧(じんねい)が、弓可留の
宮殿に攻め入って王族を殺し、信仰のよりどころである国の宝珠『羅の文書』
を奪い去ったのだった。

命からがら逃げ出した慈空の前に、謎の二人組が現れ、ある「石」の在り処を問う。
その石こそは、慈空が親友だった王子から託されたもの――弓可留のもう一つの
宝珠「弓の心臓」だった。

「神はなぜ、国を見殺しにした?」

片刃の剣を持つ風天(ふうてん)、不思議な生物を手首に飼いならす
日樹(ひつき)、そして行商集団・不知魚人(いさなびと)出身の瑞雲(ずいうん)ら
と交わり、信じていた世界が根底から覆ってしまいそうな日々の中で
慈空は、『羅の文書』の奪還を決意する。
踏みにじられた故郷のため、亡き親友のため、そして――

(文藝春秋より)

感想・レビュー

読書メーターの企画にて、発売前の本作をデジタルプルーフ版で読ませて下さるということで、読んでみました。

浅葉なつさんは、メディアワークス文庫で活躍している作家さんなのは知っていたのですが、中々読む機会がなく、初読みとなります。

さて、物語の前に本作の情報を一部、引用させて頂きます。

大ヒット『神様の御用人』の著者・浅葉なつの新作は、
『古事記』からインスピレーションを得て生まれた
「神」と「世界の謎」をめぐる壮大な物語。

構想に4年をかけ、緻密に作りこんだ設定、個性的なキャラクターたちが、
誰も知らない魅惑の世界へと誘ってくれます。
彼らの冒険を追ううち、いつしか読者は「命を司る者の正体」に迫ることに――? 

(文藝春秋より)

なるほど、古事記と構想4年とは、期待が高まりますね。

さて、物語は王道ファンタジーというところでしょうか。

勉強不足で申し訳ないのですが、私は「古事記」を読んだことがないので、何と何がリンクしているのか全然わからなかったのですが、素直にファンタジー小説として楽しめましたね。

冒頭からほぼオリジナリティ全開みたいな、架空の世界観と初見ではほぼ覚えられない名前や、小道具などが展開されていき、少々戸惑いましたが、終わってみればすごく面白かったと思います。

ただこれは仕方ないのですが、オリジナルファンタジーの初刊なので、中盤くらいまで舞台説明が微妙に続き、物語が動き出すのに時間がかかるため、退屈になりかけました。

あとはその設定に馴染むまでが少し時間がかかるので、あと一つ何かワンアクションあれば楽しいのになぁと思いました。

けれど、まぁ4年も世界観作ったんだから、著者さん的にはそれでも抑えて抑えて省いている方なのかしら。

中盤以降は、主人公の目的も明確になり、周囲の味方、敵含めてキャラクターたちが動き出すので、最後まで面白かったなぁと思います。

また神とは何なのか、というテーマも国家と政治的策略もファンタジーアクションもそれなりに面白く、最後もジーンとくるようなシーンもありました。

オリジナリティある設定や世界観などの多少の読みにくさは、評価が分かれるところだとは思いますが、私個人的には、こういう挑戦的な作品は物語が成功していれば全然OKなのと、むしろすごいなぁと関心しましたね。

名前や地名についてルビがない所は、カタカナ表記にすることもできたのでしょうけど、ある意味逆にこの世界観を形成していて、中華ファンタジーのような雰囲気も味わえましたね。

表紙やイラスト、キャラクターの感じからして女性向けなのかなとも思いましたが、純粋にファンタジー小説として楽しめる点も良かったと思います。

文藝春秋的には、現在は新潮社で刊行されている「十二国記」を意識しているのかはわかりませんが、雰囲気は似ているので(十二国記は女主人公ですが)シリーズとして上手くやっていけばかなり人気が出そうな気もします。

あと神を扱ったテーマとしては、遠藤周作の「沈黙」がありますが、こちらとはまた違うファンタジー世界ならではの切り口で、これがいわゆる古事記に何か繋がっているのかしら。

まぁ次の続編がどんな感じかが重要ではありますが、そもそも本作をデジタルプルーフとして発売前にまるまる一冊分も読ませて頂いたことに感謝ですね。

浅葉なつさんは「神様の御用人」というヒット作がありますが、そちらにも「神」が入っていて、なるほど、また本作とは違った感じの神を描いていたのかとても気になりましたね。

是非、機会があればそちらも読んでみたいと思います。

それでは今日はおわります。お疲れ様でした。

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