【歴代芥川賞】純文学作家の登竜門!芥川龍之介賞の受賞作を最新までまとめてみました!

皆さんこんにちは。こんばんは。

今日は純文学の新人作家にとっての登竜門である芥川龍之介賞(通称:芥川賞)のまとめをしていきます。

私もちょこちょこと読んでみたりしているので一応、読んだ作品などには感想・レビューなんかも載せておこうかと思います。

ではでは参考程度に、読みたい作品でも探してみてくださいな。

芥川賞や直木賞関連に興味のある方はこちら

目次から探す

第169回(2023年・上半期)

「ハンチバック」市川沙央

井沢釈華の背骨は右肺を押しつぶす形で極度に湾曲し、歩道に靴底を引きずって歩くことをしなくなって、もうすぐ30年になる。 

両親が終の棲家として遺したグループホームの、十畳ほどの部屋から釈華は、某有名私大の通信課程に通い、しがないコタツ記事を書いては収入の全額を寄付し、18禁TL小説をサイトに投稿し、零細アカウントで「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」とつぶやく。 

ところがある日、グループホームのヘルパー・田中に、Twitterのアカウントを知られていることが発覚し——。

(文藝春秋より)

第168回(2022年・下半期)

「この世の喜びよ」井戸川射子

思い出すことは、世界に出会い直すこと。

幼い娘たちとよく一緒に過ごしたショッピングセンター。喪服売り場で働く「あなた」は、フードコートの常連の少女と知り合う。言葉にならない感情を呼び覚ましていく表題作「この世の喜びよ」をはじめとした作品集。

ほかに、ハウスメーカーの建売住宅にひとり体験宿泊する主婦を描く「マイホーム」、父子連れのキャンプに叔父と参加した少年が主人公の「キャンプ」を収録。

(講談社より)

第167回(2022年・上半期)

「おいしいごはんが食べられますように 」高瀬隼子

「二谷さん、わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」
心をざわつかせる、仕事+食べもの+恋愛小説。

職場でそこそこうまくやっている二谷と、皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、仕事ができてがんばり屋の押尾。
ままならない微妙な人間関係を「食べること」を通して描く傑作。

(講談社より)

第166回(2021年・下半期)

「ブラックボックス」砂川文次

ずっと遠くに行きたかった。
今も行きたいと思っている。

自分の中の怒りの暴発を、なぜ止められないのだろう。
自衛隊を辞め、いまは自転車便メッセンジャーの仕事に就いているサクマは、都内を今日もひた走る。

昼間走る街並みやそこかしこにあるであろう倉庫やオフィス、夜の生活の営み、どれもこれもが明け透けに見えているようで見えない。張りぼての向こう側に広がっているかもしれない実相に触れることはできない。

気鋭の実力派作家、新境地の傑作。

(講談社より)

第165回(2021年・上半期)

「貝に続く場所にて」石沢麻依

第165回芥川賞受賞!第64回群像新人文学賞受賞のデビュー作。
コロナ禍が影を落とす異国の街に、9年前の光景が重なり合う。ドイツの学術都市に暮らす私の元に、震災で行方不明になったはずの友人が現れる。人と場所の記憶に向かい合い、静謐な祈りを込めて描く鎮魂の物語。

(講談社より)

「彼岸花が咲く島」李琴峰

【第165回 芥川賞受賞作!】

記憶を失くした少女が流れ着いたのは、ノロが統治し、男女が違う言葉を学ぶ島だった――。不思議な世界、読む愉楽に満ちた中編小説。

(文藝春秋より)

第164回(2020年・下半期)

「推し、燃ゆ」宇佐見りん

【第164回芥川賞受賞作】 

「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい」 逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を“解釈“することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し——。デビュー作『かか』は第56回文藝賞及び第33回三島賞を受賞(三島賞は史上最年少受賞)。21歳、圧巻の第二作。

(河出書房新社より)

推し、燃ゆ【あらすじネタバレ感想】

第163回(2020年・上半期)

「破局」遠野遥

私を阻むものは、私自身にほかならない。ラグビー、筋トレ、恋とセックス―ふたりの女を行き来するいびつなキャンパスライフ。28歳の鬼才が放つ、新時代の虚無。第163回芥川賞受賞。

(河出書房新社より)

破局【あらすじネタバレ感想】

「首里の馬」高山羽根子

この島のできる限りの情報が、いつか全世界の真実と接続するように。沖縄の古びた郷土資料館に眠る数多の記録。中学生の頃から資料の整理を手伝っている未名子は、世界の果ての遠く隔たった場所にいるひとたちにオンライン通話でクイズを出題するオペレーターの仕事をしていた。ある台風の夜、幻の宮古馬が庭に迷いこんできて……。世界が変貌し続ける今、しずかな祈りが切実に胸にせまる感動作。

(新潮社より)

第162回(2019年・下半期)

「背高泡立草」古川真人

草は刈らねばならない。そこに埋もれているもは、納屋だけではないから―。長崎の島に暮らし、時に海から来る者を受け入れてきた一族の、歴史と記憶の物語。第162回芥川賞受賞作。

(集英社より)

第161回(2019年・上半期)

「むらさきのスカートの女」今村夏子

第161回芥川賞受賞作

近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性のことが、気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で働きだすように誘導し……。

(朝日新聞出版より)

むらさきのスカートの女【あらすじネタバレ感想】

第160回(2018年・下半期)

「ニムロッド」上田岳弘

それでも君はまだ、人間でい続けることができるのか。あらゆるものが情報化する不穏な社会をどう生きるか。新時代の仮想通貨(ビットコイン)小説!第160回芥川賞受賞!

(講談社より)

「1R1分34秒」町屋良平

デビュー戦を初回KOで飾ってから三敗一分。当たったかもしれないパンチ、これをしておけば勝てたかもしれない練習。考えすぎてばかりいる、21歳プロボクサーのぼくは自分の弱さに、その人生に厭きていた。長年のトレーナーにも見捨てられ、現役ボクサーで駆け出しトレーナーの変わり者、ウメキチとの練習の日々が、ぼくを、その心身を、世界を変えていく―。第160回芥川賞受賞作。

(新潮社より)

第159回(2018年・上半期)

「送り火」高橋弘希

父の何度目かの転勤で、中学3年の歩は津軽の小さな町に越してきた。持ち前の適応力ですぐクラスになじむが、6人しかいない男子の中ではリーダーの晃を柱に、遊戯と称した陰湿な虐めが行われていた。そして迎えたあの夏の日―。緻密な描写で圧倒的存在感を放つ芥川賞受賞作と、単行本未収録2篇。鬼才の魅力が迸る1冊。

(文藝春秋より)

第158回(2017年・下半期)

「百年泥」石井遊佳

私はチェンナイ生活三か月半にして、百年に一度の洪水に遭遇した。橋の下に逆巻く川の流れの泥から百年の記憶が蘇る! かつて綴られなかった手紙、眺められなかった風景、聴かれなかった歌。話されなかったことば、濡れなかった雨、ふれられなかった唇が、百年泥だ。流れゆくのは――あったかもしれない人生、群れみだれる人びと……

(新潮社より)

「おらおらでひとりいぐも」若竹千佐子

74歳、ひとり暮らしの桃子さん。夫に死なれ、子どもとは疎遠。新たな「老いの境地」を描いた感動作!圧倒的自由!賑やかな孤独!63歳・史上最年長受賞、渾身のデビュー作!第54回文藝賞受賞作。

(河出書房新社より)

第157回(2017年・上半期)

「影裏」沼田真佑

第157回芥川賞受賞作。

大きな崩壊を前に、目に映るものは何か。北緯39度。会社の出向で移り住んだ岩手の地で、
ただひとり心を許したのが、同僚の日浅だった。
ともに釣りをした日々に募る追憶と寂しさ。
いつしか疎遠になった男のもう一つの顔に、「あの日」以後、触れることになるのだが……。

樹々と川の彩りの中に、崩壊の予兆と人知れぬ思いを繊細に描き出す。

(文藝春秋より)

影裏【あらすじネタバレ感想】

第156回(2016年・下半期)

「しんせかい」山下澄人

19歳の山下スミトは演劇塾で学ぶため、船に乗って北を目指す。辿り着いた先の“谷”では、俳優や脚本家志望の若者たちが自給自足の共同生活を営んでいた。苛酷な肉体労働、“先生”との軋轢、地元の女性と同期の間で揺れ動く感情―。思い出すことの痛みと向き合い書かれた表題作のほか、入塾試験前夜の不穏な内面を映し出す短篇を収録。

(新潮社より)

第155回(2016年・上半期)

「コンビニ人間」村田沙耶香

36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしいと突きつけられるが…。「普通」とは何か?現代の実存を軽やかに問う衝撃作。第155回芥川賞受賞。

(文藝春秋より)

コンビニ人間【あらすじネタバレ感想】

第154回(2015年・下半期)

「死んでいない者」滝口悠生

ある秋の日、大往生を遂げた男の通夜に親戚たちが集まった。子、孫、ひ孫三十人あまり。縁者同士の一夜の何気ないふるまいが、死と生をめぐる一人一人の思考と記憶を呼び起こし、重なり合う生の断片の中から、永遠の時間が現出する。「傑作」と評された第154回芥川賞受賞作に、単行本未収録作「夜曲」を加える。

(文藝春秋より)

「異類婚姻譚」本谷有希子

子供もなく定職にもつかず、ただ安楽な結婚生活を送る主婦の私はある日、いつの間にか互いの輪郭が混じりあって、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く…。夫婦という形式への強烈な違和を軽妙洒脱に描いた表題作で第154回芥川賞受賞!自由奔放な想像力で日常を異化する中短編4作を収録。

(講談社より)

第153回(2015年・上半期)

「火花」又吉直樹

売れない芸人の徳永は、天才肌の先輩芸人・神谷と出会い、師と仰ぐ。神谷の伝記を書くことを乞われ、共に過ごす時間が増えるが、やがて二人は別の道を歩むことになる。笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。第153回芥川賞受賞作。芥川賞受賞記念エッセイ「芥川龍之介への手紙」を収録。

(文藝春秋より)

火花【あらすじネタバレ感想】

「スクラップ・アンド・ビルド」羽田圭介

「死にたか」と漏らす八十七歳の祖父の手助けを決意した健斗の意外な行動とは!? 新しい家族小説の誕生を告げた芥川賞受賞作。

(文藝春秋より)

第152回(2014年・下半期)

「九年前の祈り」小野正嗣

三十五になるさなえは、幼い息子の希敏をつれてこの海辺の小さな集落に戻ってきた。希敏の父、カナダ人のフレデリックは希敏が一歳になる頃、美しい顔立ちだけを息子に残し、母子の前から姿を消してしまったのだ。何かのスイッチが入ると大騒ぎする息子を持て余しながら、さなえが懐かしく思い出したのは、九年前の「みっちゃん姉」の言葉だった──。痛みと優しさに満ちた〈母と子〉の物語。 表題作他四作を収録。芥川賞受賞作。

(講談社より)

第151回(2014年・上半期)

「春の庭」柴崎友香

第151回芥川賞受賞作。
行定勲監督によって映画化された『きょうのできごと』をはじめ、なにげない日常生活の中に、同時代の気分をあざやかに切り取ってきた、実力派・柴崎友香がさらにその手法を深化させた最新作。
離婚したばかりの元美容師・太郎は、世田谷にある取り壊し寸前の古いアパートに引っ越してきた。あるとき、同じアパートに住む女が、塀を乗り越え、隣の家の敷地に侵入しようとしているのを目撃する。注意しようと呼び止めたところ、太郎は女から意外な動機を聞かされる……
「街、路地、そして人々の暮らしが匂いをもって立体的に浮かび上がってくる」(宮本輝氏)など、選考委員の絶賛を浴びたみずみずしい感覚をお楽しみください。

(文藝春秋より)

春の庭【あらすじネタバレ感想】

第150回(2013年・下半期)

「穴」小山田浩子

仕事を辞め、夫の田舎に移り住んだ夏。見たことのない黒い獣の後を追ううちに、私は得体の知れない穴に落ちる。夫の家族や隣人たちも、何かがおかしい。平凡な日常の中にときおり顔を覗かせる異界。『工場』で新潮新人賞・織田作之助賞をダブル受賞した著者による待望の第二作品集。芥川賞を受賞した表題作ほか二篇を収録。

(新潮社より)

第149回(2013年・上半期)

「爪と目」藤野可織

あるとき、母が死んだ。そして父は、あなたに再婚を申し出た。あなたはコンタクトレンズで目に傷をつくり訪れた眼科で父と出会ったのだ。わたしはあなたの目をこじあけて――三歳児の「わたし」が、父、喪った母、父の再婚相手をとりまく不穏な関係を語る。母はなぜ死に、継母はどういった運命を辿るのか……。独自の視点へのアプローチで、読み手を戦慄させる恐怖作(ホラー)。芥川賞受賞。

(新潮社より)

第148回(2012年・下半期)

「abさんご」黒田夏子

史上最高齢・75歳で芥川賞を受賞した「新人女性作家」のデビュー作。蓮實重彦・東大元総長の絶賛を浴び、「早稲田文学新人賞」を受賞した表題作「abさんご」。全文横書き、かつ固有名詞を一切使わないという日本語の限界に挑んだ超実験小説ながら、その文章には、「昭和」の知的な家庭に生まれたひとりの幼な子が成長し、両親を見送るまでの美しくしなやかな物語が隠されています。ひらがなのやまと言葉を多用した文体には、著者の重ねてきた年輪と、深い国文学への造詣が詰まっています。
著者は、昭和34年に早稲田大学教育学部を卒業後、教員・校正者などとして働きながら、半世紀以上ひたむきに「文学」と向き合ってきました。昭和38年には丹羽文雄が選考委員を務める「読売短編小説賞」に入選します。本書には丹羽から「この作者には素質があるようだ」との選評を引き出した〝幻のデビュー作〟ほか2編も併録します。
しかもその部分は縦書きなので、前からも後ろからも読める「誰も見たことがない」装丁でお送りします。
はたして、著者の「50年かけた小説修行」とはどのようなものだったのでしょうか。その答えは、本書を読んだ読者にしかわかりません。文学の限りない可能性を示す、若々しく成熟した作品をお楽しみください。

(文藝春秋より)

第147回(2012年・上半期)

「冥土めぐり」鹿島田真希

裕福だった過去に執着する母。奈津子は幼い頃から母の欲望に振り回され……車椅子の夫と辿る失われた過去への旅を描く芥川賞受賞作。

(河出書房新社より)

第146回(2011年・下半期)

「道化師の蝶」円城塔

第146回芥川賞受賞作!
無活用ラテン語で記された小説『猫の下で読むに限る』。
希代の多言語作家「友幸友幸」と、資産家A・A・エイブラムスの、
言語をめぐって連環してゆく物語。
SF、前衛、ユーモア、諧謔…すべての要素を持ちつつ、常に新しい文章の可能性を追いかけ続ける著者の新たな地平。

(講談社より)

道化師の蝶【あらすじネタバレ感想】

「共喰い」田中慎弥

話題の芥川賞受賞作、文庫化!
セックスのときに女を殴る父と右手が義手の母。自分は父とは違うと思えば思うほど、遠馬は血のしがらみに翻弄されて──。映画化が決定した、第146回芥川賞受賞作。瀬戸内寂聴氏との対談を新たに収録。

(集英社より)

共喰い【あらすじネタバレ感想】

第145回(2011年・上半期)

該当作品なし

第144回(2010年・下半期)

「苦役列車」西村賢太

劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は――。現代文学に私小説が逆襲を遂げた、第144回芥川賞受賞作。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録。解説・石原慎太郎。

(新潮社より)

苦役列車【あらすじネタバレ感想】

「きことわ」朝吹真理子

永遠子は夢をみる。貴子は夢をみない。葉山の高台にある別荘で、幼い日をともに過ごした貴子と永遠子。ある夏、突然断ち切られたふたりの親密な時間が、25年後、別荘の解体を前にして、ふたたび流れはじめる―。第144回芥川賞受賞。

(新潮社より)

第143回(2010年・上半期)

「乙女の密告」赤染晶子

ある外国語大学で流れた教授と女学生にまつわる黒い噂。乙女達が騒然とするなか、みか子はスピーチコンテストの課題『アンネの日記』のドイツ語のテキストの暗記に懸命になる。そこには、少女時代に読んだときは気づかなかったアンネの心の叫びが記されていた。やがて噂の真相も明らかとなり…。悲劇の少女アンネ・フランクと現代女性の奇跡の邂逅を描く、感動の芥川賞受賞作。

(新潮社より)

第142回(2009年・下半期)

該当作品なし

第141回(2009年・上半期)

「終の住処」磯崎憲一郎

妻はそれきり11年、口を利かなかった――。

30を過ぎて結婚した男女の遠く隔たったままの歳月。ガルシア=マルケスを思わせる感覚で、日常の細部に宿る不可思議をあくまでリアルに描きだす。過ぎ去った時間の侵しがたい磐石さ。その恵み。人生とは、流れてゆく時間そのものなのだ――。小説にしかできない方法でこの世界をあるがままに肯定する、日本発の世界文学! 第141回芥川賞受賞作。

(新潮社より)

第140回(2008年・下半期)

「ポトスライムの舟」津村記久子

本当に大事なことは、きっと毎日少しずつ育ってる。
第140回 芥川賞受賞作
「つつましやかに生きている女性の、そのときどきのささやかな縁によって揺れ動く心が、清潔な文章で描かれていて、文学として普遍の力を持っている」――選考委員 宮本輝氏

お金がなくても、思いっきり無理をしなくても、夢は毎日育ててゆける。契約社員ナガセ29歳、彼女の目標は、自分の年収と同じ世界一周旅行の費用を貯めること、総額163万円。

野間文芸新人賞(『ミュージック・ブレス・ユー!!』)に続く受賞!なにげないのに新しい、さりげないのに面白い、私たちの文学! 同時収録「十二月の窓辺」

(講談社より)

第139回(2008年・上半期)

「時が滲む朝」楊逸

中国の民主化に傾倒する若者を中心として、激動の時代とその後を描いた芥川賞受賞作。日本と中国を舞台に人の生き様を問う傑作

(文藝春秋より)

第138回(2007年・下半期)

「乳と卵」川上未映子

第138回芥川賞・受賞作品。現代の樋口一葉の誕生! 
初潮を迎える直前で無言を通す娘と、豊胸手術を受けようと上京してきた母親、そしてその妹である「わたし」が三ノ輪のアパートで過ごす三日間の物語。三人の登場人物の身体観と哲学的テーマが鮮やかに交錯し、魅惑を放つ!

(文藝春秋より)

乳と卵【あらすじネタバレ感想】

第137回(2007年・上半期)

「アサッテの人」諏訪哲史

第137回芥川賞 第50回群像新人文学賞 W受賞!
選考委員各氏激賞!
村上龍氏以来、30年ぶりの快挙! 驚異の新人出現!

吃音(きつおん)による疎外感から凡庸な言葉への嫌悪をつのらせ、孤独な風狂の末に行方をくらました若き叔父。彼にとって真に生きるとは「アサッテ」を生きることだった。世の通念から身をかわし続けた叔父の「哲学的奇行」の謎を解き明かすため、「私」は小説の筆を執るが……。

(講談社より)

第136回(2006年・下半期)

「ひとり日和」青山七恵

人っていやね……人は去っていくからね。
20歳の知寿が居候することになったのは、 母の知り合いである71歳・吟子さん
の家。
駅のホームが見える小さな平屋で暮らし始めた私は、キオスクで働き、
恋をし、吟子さんとホースケさんの恋にあてられ、少しずつ成長していく。
選考委員が絶賛した第136回芥川賞受賞作。

(河出書房新社より)

第135回(2006年・上半期)

「八月の路上に捨てる」伊藤たかみ

暑い夏の日。僕は30歳を目前に離婚しようとしていた。現代の若者を覆う社会の歪みに目を向けながら、夫婦の壊れゆくさまを描く

(文藝春秋より)

第134回(2005年・下半期)

「沖で待つ」絲山秋子

同期入社の太っちゃんが死んだ。約束を果たすべく、彼の部屋にしのびこむ私。仕事を通して結ばれた友情と信頼を描く芥川賞受賞作

(文藝春秋より)

第133回(2005年・上半期)

「土の中の子供」中村文則

僕は、土の中から生まれたんですよ。

親から捨てられ、殴る蹴るの暴行を受け続けた少年。彼の脳裏には土に埋められた記憶が焼き付いていた。新世代の芥川賞受賞作! 

27歳のタクシードライバーをいまも脅かすのは、親に捨てられ、孤児として日常的に虐待された日々の記憶。理不尽に引きこまれる被虐体験に、生との健全な距離を見失った「私」は、自身の半生を呪い持てあましながらも、暴力に乱された精神の暗部にかすかな生の核心をさぐる。人間の業と希望を正面から追求し、賞賛を集めた新世代の芥川賞受賞作。著者初の短篇「蜘蛛の声」を併録。

(新潮社より)

第132回(2004年・下半期)

「グランド・フィナーレ」阿部和重

すべてを失ったとき、2人の女児と出会った――
終わりという名のはじまり。

「2001年のクリスマスを境に、我が家の紐帯(ちゅうたい)は解(ほつ)れ」すべてを失った“わたし”は故郷に還る。そして「バスの走行音がジングルベルみたいに聞こえだした日曜日の夕方」2人の女児と出会った。神町(じんまち)――土地の因縁が紡ぐ物語。ここで何が終わり、はじまったのか。
第132回芥川賞受賞作。〈解説・高橋源一郎〉

(講談社より)

第131回(2004年・上半期)

「介護入門」モブ・ノリオ

大麻に耽りながら世間に呪詛を浴びせる「俺」は寝たきりの祖母を懸命に介護する。挑戦的でまったく新しい饒舌体で、芥川賞を受賞した

(文藝春秋より)

第130回(2003年・下半期)

「蛇にピアス」金原ひとみ

ピアスの拡張にハマっていたルイは、「スプリットタン」という二つに分かれた舌を持つ男アマとの出会いをきっかけとして、舌にピアスを入れる。暗い時代を生きる若者の受難と復活の物語。第130回芥川賞受賞作。

(集英社より)

蛇にピアス【あらすじネタバレ感想】

「蹴りたい背中」綿矢りさ

高校に入ったばかりの蜷川とハツはクラスの余り者同士。やがてハツは、あるアイドルに夢中の蜷川の存在が気になってゆく…いびつな友情? それとも臆病な恋!? 不器用さゆえに孤独な二人の関係を描く、待望の文藝賞受賞第一作。第130回芥川賞受賞。

(河出書房新社より)

蹴りたい背中【あらすじネタバレ感想】

第129回(2003年・上半期)

「ハリガネムシ」吉村萬壱

第129回芥川賞受賞作。客として知った風俗嬢と再会した時から高校教師「私」は<異界>に踏み込んで行く……驚愕、衝撃、センセーショナルな中に不思議なユーモアとモラリストの眼差しが光る傑作小説。

(文藝春秋より)

第128回(2002年・下半期)

「しょっぱいドライブ」大道珠貴

港町で生活する34歳のミホが、60代のへなちょこ老人と同棲するまでに至る顛末を、哀しくもユーモラスに描いた第128回芥川賞受賞作

(文藝春秋より)

第127回(2002年・上半期)

「パーク・ライフ」吉田修一

第117回芥川賞受賞作! 
公園にひとりで座っていると、あなたには何が見えますか?
スターバックスのコーヒーを片手に、春風に乱れる髪を押さえていたのは、地下鉄でぼくが話しかけてしまった美女だった。噴水広場でカラフルな弁当を広げるOL、片足立ちの体操をする男、小さな気球を上げる老人・・・。ベンチの隣に座って彼女と言葉を交わし合ううち、それまでなんとなく見えていた景色が、にわかに切ないほどリアルに動きはじめる。
日比谷公園を舞台に、男と女の微妙な距離感を描いて、芥川賞を受賞した傑作小説。
ほかに東京で新生活をはじめた夫婦が、職場の先輩に振り回されてしまう「flowers」を収録。

(文藝春秋より)

第126回(2001年・下半期)

「猛スピードで母は」長嶋有

母は結婚をほのめかし、アクセルを思い切り踏み込んだ。現実に立ち向かうカッコイイ母親を小学生の皮膚感覚で綴った芥川賞受賞作

(文藝春秋より)

第125回(2001年・上半期)

「中陰の花」玄侑宗久

第125回(2001年)芥川龍之介賞

自ら予言した日に幽界へ旅立った「おがみや」ウメさん。僧侶・則道は法事を執り行いながら、妻の切実な問いに向き合おうとする。

(文藝春秋より)

第124回(2000年・下半期)

「聖水」青来有一

死に瀕した父はなぜ「聖水」を信じ続けるのか? 佐我里さんは教祖か、詐欺師か? 芥川賞を受賞した表題作をはじめ、四篇を収録

(文藝春秋より)

「熊の敷石」堀江敏幸

堀江敏幸の文章は、いろっぽいのだ。――川上弘美(「解説」より)
芥川賞受賞作

「なんとなく」という感覚に支えられた違和と理解。そんな人とのつながりはあるのだろうか。 フランス滞在中、旧友ヤンを田舎に訪ねた私が出会ったのは、友につらなるユダヤ人の歴史と経験、そして家主の女性と目の見えない幼い息子だった。 芥川賞受賞の表題作をはじめ、人生の真実を静かに照らしだす作品集。

ヤンはそこでふいに立ち上がってレンジのほうへいき、やかんを火にかけ、そのままなにも言わず2階にあがって、大きな写真立てを持って下りてきた。私にそれを差し出し、もういちどレンジに戻って火を調節しながら、珈琲か紅茶かと訊いてくる。(「熊の敷石」より)

(講談社より)

第123回(2000年・上半期)

「きれぎれ」町田康

時空を超え、乱舞する言語。第123回芥川賞受賞作。
浪費家、酒乱、趣味がランパブ通いの絵描きの俺。高校を中途で廃し、浪費家で夢見がちな性格のうえ、労働が大嫌い。金に困り、自分より劣る絵なのに認められ成功し、自分が好きな女と結婚している幼友達の吉原に借りにいってしまうが……。
無数の吉祥天女が舞い踊っているかのような花吹雪の中、青空に向かって町田ワールドが炸裂する。 現実と想像が交錯し、時空間を超える世界を描いた表題作と、「人生の聖」の計2篇を収録。
解説 「没落者の嘆きの歌」 池澤夏樹

(文藝春秋より)

「花腐し」松浦寿輝

闇は深く、不吉な雨はやまず……芥川賞受賞作!

希望を失い、にわか地上げ屋となった中年男。路地裏の古アパートに居座る奇妙な男と酒を飲めば、喪失感に満ちた過去へと意識は引き戻される。死んでしまった同棲相手や裏切られた友人。陰々滅々とした雨の向こう側に、生の熾火(おきび)は見えるか。第123回芥川賞受賞作。受賞後第1作「ひたひたと」を同時収録。

(講談社より)

第122回(1999年・下半期)

「蔭の棲みか」玄月

ソバン翁の右手首は、戦争で吹き飛ばされた。朝鮮人の元軍人が補償を求めて提訴したことを知り、過去が蘇る。芥川賞受賞作を収録

(文藝春秋より)

「夏の約束」藤野千夜

悩める若者の必読書芥川賞受賞作!

ゲイのカップルの会社員マルオと編集者ヒカル。ヒカルと幼なじみの売れない小説家菊江。男から女になったトランスセクシャルな美容師たま代……少しハズれた彼らの日常を温かい視線で描き、芥川賞を受賞した表題作に、交番に婦人警官がいない謎を追う「主婦と交番」を収録した、コミカルで心にしみる作品集。

(講談社より)

第121回(1999回・上半期)

該当作品なし

第120回(1998年・下半期)

「日蝕」平野啓一郎

現代が喪失した「聖性」に文学はどこまで肉薄できるのか。舞台は異端信仰の嵐が吹き荒れる十五世紀末フランス。賢者の石の創生を目指す錬金術師との出会いが、神学僧を異界に導く。洞窟に潜む両性具有者、魔女焚刑の只中に生じた秘蹟、めくるめく霊肉一致の瞬間。華麗な文体と壮大な文学的探求で「三島由紀夫の再来」と評され、芥川賞を史上最年少で獲得した記念碑的デビュー作品。

(新潮社より)

日蝕【あらすじネタバレ感想】

第119回(1998年・上半期)

「ブエノスアイレス午前零時」藤沢周

雪深いホテル。古いダンスホール…地方でくすぶる従業員カザマは、梅毒と噂される盲目の老嬢ミツコに出会う。ある夜、孤独な彼がミツコを誘い二人でタンゴを踊る時、ブエノスアイレスにも雪が降る。ベストセラーとなったリリカル・ハードボイルドな芥川賞受賞作。

(河出書房新社より)

「ゲルマニウムの夜」花村萬月

人を殺し、育った修道院兼教護院に舞い戻った青年・朧。修道女を犯し、暴力の衝動に身を任せ、冒涜と倫理のはざまで揺れる日々。目指すは、僕の王国―世紀末の虚無の中、「神の子」は暴走する。第119回芥川賞受賞。

(文藝春秋より)

第118回(1997年・下半期)

該当作品なし

第117回(1997年・上半期)

「水滴」目取真俊

ある日、右足が腫れて水があふれ出た。夜な夜なそれを飲みにくるのは誰か?沖縄を舞台に過去と現在が交錯する、奇想天外な物語!芥川賞受賞作。

(文藝春秋より)

第116回(1996年・下半期)

「家族シネマ」柳美里

失われた家を求め、映画出演を決めた家族を描いた「家族シネマ」、同棲中の部屋を飛び出した登校拒否の過去を持つ女を描いた「真夏」、転校生といじめを題材にした「潮合い」―心に傷を負った人間が強く生きようとする姿を描き、家族が価値あるものかを現代に問う名作。芥川賞に輝く表題作含むベストセラー。

(講談社より)

「海峡の光」辻仁成

廃航せまる青函連絡船の客室係を辞め、函館で刑務所看守の職を得た私の前に、あいつは現れた。少年の日、優等生の仮面の下で、残酷に私を苦しめ続けたあいつが。傷害罪で銀行員の将来を棒にふった受刑者となって。そして今、監視する私と監視されるあいつは、船舶訓練の実習に出るところだ。光を食べて黒々とうねる、生命体のような海へ……。海峡に揺らめく人生の暗流。芥川賞受賞。

(新潮社より)

第115回(1996年・上半期)

「蛇を踏む」川上弘美

藪で、蛇を踏んだ。「踏まれたので仕方ありません」と声がして、蛇は女になった。「あなたのお母さんよ」と、部屋で料理を作って待っていた…。若い女性の自立と孤独を描いた芥川賞受賞作「蛇を踏む」。“消える家族”と“縮む家族”の縁組を通して、現代の家庭を寓意的に描く「消える」。ほか「惜夜記」を収録。

(文藝春秋より)

蛇を踏む【あらすじネタバレ感想】

第114回(1995年・下半期)

「豚の報い」又吉栄喜

突如スナックに闖入してきた豚の厄を払うため正吉と三人の女は島に向かった。芥川賞受賞の表題作と「背中の夾竹桃」を収録する

(文藝春秋より)

第113回(1995年・上半期)

「この人の閾」保坂和志

「汚くしてるけどおいでよ、おいでよ」というので、およそ十年ぶりに会ったこの人は、すっかり「おばさん」の主婦になっていた。でも、家族が構成する「家庭」という空間の、言わば隙間みたいな場所にこの人はいて、そのままで、しっくりとこの人なのだった…。芥川賞を受賞した表題作をはじめ、木漏れ日にも似たタッチで「日常」の「深遠」へと誘う、おとなのための四つの物語―。

(新潮社より)

第112回(1994年・下半期)

該当作品なし

第111回(1994年・上半期)

「タイムスリップ・コンビナート」笙野頼子

電話の主はマグロかスーパージェッターか? 時間と空間がとめどなく歪み崩れていく「海芝浦」への旅が始まった。芥川賞受賞の表題作他、「下落合の向こう」「シビレル夢の水」を収録。

(文藝春秋より)

タイムスリップ・コンビナート【あらすじネタバレ感想】

「おどるでく」室井光広

【第111回】芥川賞受賞
大学ノート7冊分の日記を見つけたのは去年の6月の終り、帰省先の生家の2階の隅でだった。日記は、日本語の内容がロシア文字で表音化されていた。ロシア字日記の“翻訳”から灸りだされる「おどるでく」の正体とは?忘却されたものたちの声なき声を描く表題作ほか、1篇を収録。

(講談社より)

第110回(1993年・下半期)

「石の来歴」奥泉光

現実と非現実の交錯を描く芥川賞受賞作。石に異常な執着を示す男の人生。長男の死、妻の狂気、次男の学生運動、夢と現実の交錯のなかで描かれる奥泉光の芥川賞受賞作。他に「浪漫的な行軍の記録」所収ーー太平洋戦争末期、レイテで、真名瀬は石に魅せられる。戦後も、石に対する執着は、異常にも思えるほど続くが、やがて、子供たちは死に弄ばれ、妻は狂気に向かう。現実と非現実が交錯する、芥川賞受賞作「石の来歴」。兵士たちの、いつ終わるとも知れぬ時空を超えた進軍、極限状況の中でみたものは……。帝国陸軍兵士の夢と現を描く、渾身の力作、「浪漫的な行軍の記録」所収。

(講談社より)

石の来歴【あらすじネタバレ感想】

第109回(1993年・上半期)

「寂寥郊野」吉目木晴彦

朝鮮戦争で来日したリチャードと結婚して幸恵がルイジアナ州バトンルージュに暮らしはじめて三十年。その幸恵の言動崩壊が始まり症状は目に見えて進んでいく。夫は妻の欝病に心あたりがないでもない。国際結婚と老いの孤立を描く現代文学の秀作。芥川賞受賞作。

(講談社より)

第108回(1992年・下半期)

「犬婿入り」多和田葉子

多摩川べりのありふれた町の学習塾は“キタナラ塾”の愛称で子供たちに人気だ。北村みつこ先生が「犬婿入り」の話をしていたら本当に〈犬男〉の太郎さんが押しかけてきて奇妙な2人の生活が始まった。都市の中に隠された民話的世界を新しい視点でとらえた芥川賞受賞の表題作と「ペルソナ」の2編を収録。

(講談社より)

第107回(1992年・上半期)

「運転士」藤原智美

地下世界の妖しい輝き!芥川賞受賞作品。
トンネルの闇と駅の光が都市生活者の貌(かお)を照し出す。現代の深層を官能的に描く。

時刻ヨーシ、方向切替ヨーシ、発車。電車はスピードを急速に上げ、間もなく軌道が緩やかに下り始め、徐々に傾斜がきつくなっていく。傾斜角1000分の35。都市と都市生活者の様々な貌(かお)をトンネルの闇と駅の輝きが怪しく繋ぐ。カミソリのように光る2本のレールの上に現代を官能的に描く。第107回芥川賞受賞。

(講談社より)

第106回(1991年・下半期)

「至高聖所」松村栄子

進学校の女子高で、自らを「僕」と称する文芸部員たち。17歳の魂のゆらぎを鮮烈に描き出した著者のデビュー作「僕はかぐや姫」。無機質な新構想大学の寮で出会った少女たちの孤独な魂の邂逅を掬い上げた芥川賞受賞作「至高聖所」。少女たちの心を撃ちぬいた傑作二編が、待望の復刊!

(ポプラ社より)

第105回(1991年・上半期)

「自動起床装置」辺見庸

「…眠りの世界ではいろんなことが起きる。辛くて、狂おしくて、他愛なくて、突飛
で、情けなくて…もう、すべてなんて言葉でおおえないほどすべてのことが起きる
(中略)」
ぼくと聡は、通信社の仮眠室で仮眠をとる人々を、快く目覚めへと導く「起こし屋」
のアルバイトをしている。ところがある日「自動起床装置」なるものが導入された…
…。
眠りという前人未到の領域から現代文明の衰弱を衝いた芥川賞受賞作。カンボジアの
戦場への旅を描いた「迷い旅」と巻末には日野啓三氏との対談も併録。

(新風舎より)

「背負い水」荻野アンナ

第104回(1990年・下半期)

「妊娠カレンダー」小川洋子

姉が妊娠した。つわりに苦しみ、家族に八つ当たりし、 母となる不安に苦しむ姉と接するうち、妹の心に芽生える不思議な感情。姉を苦しめるモノから姉を妹は守りたいという気持ちと裏腹に、妹はやがて、めまいのするような悪意の中へすべりこんで行く。出産を控えて苦しむ姉の傍らで、妹は鍋でジャムを混ぜる、その中には、ひそかな「毒」が。
家族の妊娠をきっかけとした心理と生理のゆらぎを、きらめく言葉で定着した芥川賞受賞作「妊娠カレンダー」。
謎に包まれた寂しい学生寮の物語「ジミトリイ」、小学校の給食室に魅せられた男の告白「夕暮れの給食室と雨のプール」。透きとおった悪夢のようにあざやかな三編の小説。

(文藝春秋より)

第103回(1990年・上半期)

「村の名前」辻原登

第102回(1989年・下半期)

「ネコババのいる町で」瀧澤美恵子

「表層生活」大岡玲

第101回(1989年・上半期)

該当作品なし

第100回(1988年・下半期)

「ダイヤモンドダスト」南木佳士

火の山を望む高原の病院。そこで看護士の和夫は、様々な過去を背負う人々の死に立ち会ってゆく。病癒えず逝く者と見送る者、双方がほほえみの陰に最期の思いの丈を交わすとき、時間は結晶し、キラキラと輝き出す…。絶賛された芥川賞受賞作「ダイヤモンドダスト」の他、短篇三本、また巻末に加賀乙彦氏との対談を収録。

(文藝春秋より)

「由熙」李良枝

在日朝鮮人として生れた著者の、37歳で夭逝した魂の記録。差別と偏見の苦しい青春時代を越えて、生国・日本と母国・韓国との狭間に、言葉を通してのアイデンティティを探し求めて、ひたすらに生きた短かい一生の鮮烈な作品群。芥川賞受賞の「由熙」、そして全作品を象徴するかのような処女作「ナビ・タリョン」(嘆きの蝶)、「かずきめ」「あにごぜ」を収録、人生の真実を表現。

(講談社より)

第99回(1988年・上半期)

「尋ね人の時間」新井満

第98回(1987年・下半期)

「スティル・ライフ」池澤夏樹

しなやかな感性と端正な成熟が生み出した唯一無二の世界。
生きることにほんの少し惑うとき、
何度でもひもときたい永遠の青春小説。
芥川賞受賞作品

シングルファーザーと巣立ちゆく娘の物語「ヤー・チャイカ」伴録

(中央公論新社より)

「長男の出家」三浦清宏

1987年下半期芥川賞受賞作品。“親子”が問われる今、再び―。書き下ろし作品「長男の出家・その後」収録。

(芸文社より)

第97回(1987年・上半期)

「鍋の中」村田喜代子

第96回(1986年・下半期)

該当作品なし

第95回(1986年・上半期)

該当作品なし

第94回(1985年・下半期)

「過越しの祭」米谷ふみ子

男尊女卑の日本を離れ,自由に絵を描きたい-大いなる夢を抱き渡米した道子.ユダヤ人作家と結婚したが,文化の違いから何かとぶつかってばかり.そして生まれた子どもは脳に障害を持ち.….施設から帰宅した子どもをめぐる家族のいざこざを描く「遠来の客」,奴隷解放を祝うユダヤの祭で結束固い夫の一族に翻弄され,自らの解放を密かに決行した「過越しの祭」(芥川賞)の2編を収録.自由を求めたはずの道子の予期せぬ戦いとは.

(岩波書店より)

第93回(1985年・上半期)

該当作品なし

第92回(1984年・下半期)

「青桐」木崎さと子

第91回(1984年・上半期)

該当作品なし

第90回(1983年・下半期)

「光抱く友よ」高樹のぶ子

奔放な不良少女との出会いを通して、初めて人生の「闇」に触れた17歳の女子高生の揺れ動く心を清冽な筆で描く芥川賞受賞作ほか2編。

(新潮社より)

「杢二の世界」笠原淳

第89回(1983年・上半期)

該当作品なし

第88回(1982年・下半期)

「佐川君からの手紙」唐十郎

「私は、この六月に、オランダ人の若い女性を殺し」…殺人事件の犯人から届いた手紙に導かれ、作家は巴里へ。滞在期間は七日。妄想と現実が綾なす虚構空間に事の次第が浮び上がるも、主人公は依然迷宮を彷徨う。果して出口は見つかるのか。第88回芥川賞受賞作と、その後日譚「御注意あそばせ」を収録した完全版。

(河出書房新社より)

「夢の壁」加藤幸子

第87回(1982年・上半期)

該当作品なし

第86回(1981年・下半期)

該当作品なし

第85回(1981年・上半期)

「小さな貴婦人」吉行理恵

第84回(1980年・下半期)

「父が消えた」尾辻克彦

父の遺骨を納める墓地を見に出かけた「私」の目に映るもの、頭をよぎることどもの間に、父の思い出が滑り込む……。芥川賞受賞作「父が消えた」など、初期作品5篇を収録した傑作短篇集。解説・夏石鈴子。

(河出書房新社より)

第83回(1980年・上半期)

該当作品なし

第82回(1979年・下半期)

「モッキングバードのいる町」森禮子

第81回(1979年・上半期)

「やまあいの煙」重兼芳子

「愚者の夜」青野聰

第80回(1978年・下半期)

該当作品なし

第79回(1978年・上半期)

「伸予」高橋揆一郎

元女性教師と教え子の恋の結末は――。 

「わたしはね、善ちゃんのお嫁さんになりたかったんだ、これでも」
女学校を出たばかりの教師・伸予は、教え子で中学三年生の善吉に恋心を抱いていた。卒業後は交流が途絶え、伸予は許嫁との結婚と死別を経験し、最近は趣味に没頭する日々を送っていたが、教師仲間からの情報で善吉の消息を知り、再会を果たす。
中年になってなお、少女のような純粋さを保っている伸予と、どこか冷めた雰囲気を漂わせている善吉。二度目の逢瀬でついにふたりは結ばれるが――。
第79回芥川賞を受賞した表題作のほか、第37回文學界新人賞受賞作「ぽぷらと軍神」、「清吉の暦」の全三編を収録。

(小学館より)

「九月の空」高橋三千綱

剣道へのひたむきな想い。性への憧れと反発。家族への理由のない苛立ち。十五歳の少年勇の心は揺れ動きながらも、今、大きくはばたこうとしている…。青春を爽やかに謳いあげ芥川賞受賞!(高野三郎)

(KADOKAWAより)

第78回(1977年・下半期)

「螢川」宮本輝

純真な幼い少年ふたりの引き裂かれた友情に、涙。

土佐堀川に浮かんだ船に母、姉と暮らす不思議な少年喜一と小二の信雄の短い交流を描いて感動を呼んだ太宰治賞受賞の傑作「泥の河」。北陸富山の春から夏への季節の移ろいの中に中三の竜夫の、父の死と淡い初恋を螢の大群の美しい輝きの中に描いた芥川賞受賞の名編「螢川」。

(新潮社より)

螢川【あらすじネタバレ感想】

「榧の木祭り」高城修三

第77回(1977年・上半期)

「エーゲ海に捧ぐ」池田満寿夫

サンフランシスコのアトリエにいる彫刻家を責め立てる、日本の妻からの長い国際電話。彫刻家の前には二人の白人女性が…。卓越したシチュエーションと透明なサスペンスで第七十七回芥川賞に輝いた表題作ほか二篇を含む、衝撃の愛と性の作品集。

(中央公論新社より)

エーゲ海に捧ぐ【あらすじネタバレ感想】

「僕って何」三田誠広

田舎から上京し、学園紛争真っ只中の大学に入学した僕。何も知らない母親っ子の僕が、いつの間にかセクトの争いや内ゲバに巻き込まれ、年上のレイ子と暮らすことになる……。芥川賞受賞の永遠の青春小説。

(河出書房新社より)

第76回(1976年・下半期)

該当作品なし

第75回(1976年・上半期)

「限りなく透明に近いブルー」村上龍

村上龍のすべてはここから始まった!
文学の歴史を変えた衝撃のデビュー作が新装版で登場!解説・綿矢りさ

米軍基地の街・福生のハウスには、音楽に彩られながらドラッグとセックスと嬌声が満ちている。そんな退廃の日々の向こうには、空虚さを超えた希望がきらめく――。著者の原点であり、発表以来ベストセラーとして読み継がれてきた、永遠の文学の金字塔が新装版に! 〈群像新人賞、芥川賞受賞のデビュー作〉

(講談社より)

限りなく透明に近いブルー【あらすじネタバレ感想】

第74回(1975年・下半期)

「岬」中上健次

この作家の郷里である紀州を舞台にのがれがたい血の宿命の中に閉じこめめれた、一青年の渇望と愛憎を、鮮烈な文体で描き出し、広く感動を呼んだ第74回芥川賞受賞作。
この小説は、著者独自の哀切な旋律を始めて文学として定着させた記念碑的作品とされ、広く感動を呼んだ。この作品では多くの登場人物が出てくるが、その多くは血縁関係のある人物であり、複雑に混ざり合った男女の性交の結果である。主人公はその複雑な血縁関係を恨み、父親を恨み、報復してやるのだと向かったのは妹の元であった。その憎たらしい父親の血は確かに自分の中に塊として存在していた・・・。表題作のほか、「火宅」「浄徳寺ツアー」など初期の力作三篇も収めている。

(文藝春秋より)

「志賀島」岡松和夫

第73回(1975年・上半期)

「祭りの場」林京子

如何なれば膝ありてわれを接(うけ)しや──。長崎での原爆被爆の切実な体験を、叫ばず歌わず、強く抑制された内奥の祈りとして語り、痛切な衝撃と深甚な感銘をもたらす、林京子の代表的作品。群像新人賞・芥川賞受賞の「祭りの場」、「空罐」を冒頭に置く連作「ギヤマン ビードロ」を併録。

(講談社より)

第72回(1974年・下半期)

「あの夕陽」日野啓三

家族、都市そして生と死の今を問う代表作集著者初の小説「向う側」、芥川賞受賞作「あの夕陽」等初期作品から、都市幻想小説の代表作、癌体験による生死の往還を主題とした近作まで、八作品を収録。

(講談社より)

「土の器」阪田寛夫

第71回(1974年・上半期)

該当作品なし

第70回(1973年・下半期)

「月山」森敦

月山の麓にある注連寺に居候した「わたし」は、現世と隔離されたような村で冬を越す。此の世ならぬ幽明の世界を描いた芥川賞受賞作。

(文藝春秋より)

「草のつるぎ」野呂邦暢

青春の焦燥を描く野呂文学の代表作を集成。

「言葉の風景画家」と称される著者が、硬質な透明感と静謐さの漂う筆致で描く青春の焦燥。生の実感を求め自衛隊に入隊した青年の、大地と草と照りつける太陽に溶け合う訓練の日々を淡々と綴った芥川賞受賞作「草のつるぎ」、除隊後ふるさとに帰り、友人と過ごすやるせない日常を追う「一滴の夏」――長崎・諫早の地に根を下ろし、42歳で急逝した野呂邦暢の、初期短篇を含む5篇を収録。 

(講談社より)

第69回(1973年・上半期)

「鶸」三木卓

第68回(1972年・下半期)

「ベティさんの庭」山本道子

「れくいえむ」郷静子

第67回(1972年・上半期)

「誰かが触った」宮原昭夫

「いつか汽笛を鳴らして」畑山博

第66回(1971年・下半期)

「砧をうつ女」李恢成

日本の敗戦による、サハリンからの辛うじての帰国。劇変する状況、分断された祖国、一家離散の家族の悲劇。群像新人賞受賞の出世作「またふたたびの道」および、母を描く感動の名作で芥川賞受賞作「砧をうつ女」、父を描く「人面の大岩」。インターナショナルな視座から時代に正面し、たじろがぬ、常に真摯に力走する、在日作家・李恢成の初期秀作群。

(講談社より)

「オキナワの少年」東峰夫

第65回(1971年・上半期)

該当作品なし

第64回(1970年・下半期)

「杳子」古井由吉

“杳子は深い谷底に一人で坐っていた。”
神経を病む女子大生〈杳子〉との、山中での異様な出会いに始まる、孤独で斬新な愛の世界……。

現代の青春を浮彫りにする芥川賞受賞作「杳子」。都会に住まう若い夫婦の日常の周辺にひろがる深淵を巧緻な筆に描く「妻隠」。卓抜な感性と濃密な筆致で生の深い感覚に分け入り、現代文学の新地平を切り拓いた著者の代表作二編を収録する。

(新潮社より)

第63回(1970年・上半期)

「プレオー8の夜明け」古山高麗雄

兵士の日常を描いた芥川賞受賞の戦争文学 

第2次大戦後、戦犯容疑でサイゴン刑務所に抑留された日本兵の鬱屈した日々をユーモア交えて描いた第63回芥川賞受賞作「プレオー8の夜明け」。

他に筆者処女作「墓地で」から、晩年の名品「セミの追憶」(第21回川端康成文学賞作品)まで、戦争の記憶をつむぐ短編16作を収録。

戦後すでに70年を超え、戦下の記憶は風化するにまかされる。30年にわたる筆者の貴重な営みを通じ、名もなき兵士たちは、何を考え死んでゆき、生き残った者たちは何を思うのか――今改めてその意味を問いかける、珠玉の“戦争文学短編集”。

(小学館より)

「無明長夜」吉田知子

第62回(1969年・下半期)

「アカシヤの大連」清岡卓行

美しい港町、アカシヤ香る大連。そこに生れ育った彼は、敗戦とともに、故郷を喪失した。心に巣喰う癒し難い欠落感、平穏の日々の只中で、埋めることのできない空洞。青春、憂鬱、愛、死。果てない郷愁を籠めて、青春の大連を清冽に描く、芥川賞受賞の表題作。ほかに『朝の悲しみ』『初冬の大連』『中山広場』『サハロフ幻想』『大連の海辺で』の、全6編を収録。

(講談社より)

第61回(1969年・上半期)

「赤頭巾ちゃん気をつけて」庄司薫

60年代から2010年代へ――。伝説のミリオンセラーふたたび!芥川賞受賞作。

学生運動の煽りを受け、東大入試が中止になるという災難に見舞われた日比谷高校三年の薫くん。そのうえ愛犬が死に、幼馴染の由美と絶交し、踏んだり蹴ったりの一日がスタートするが――。真の知性とは何か。戦後民主主義はどこまで到達できるのか。
青年の眼で、現代日本に通底する価値観の揺らぎを直視し、今なお斬新な文体による青春小説の最高傑作。「あわや半世紀のあとがき」収録。

(新潮社より)

「深い河」田久保英夫

ストイックで気品溢れる文体で描く人間模様朝鮮戦争中の九州の兵站基地で、徴用される馬の世話をする青年の苦悩を追った芥川賞作品「深い河」、川端賞作品「辻火」等、初期から晩年に至る代表作7編を収録

(講談社より)

第60回(1968年・下半期)

該当作品なし

第59回(1968年・上半期)

「年の残り」丸谷才一

69歳の病院長が、患者の少年との関係から回想する若き日々の情景――。人生、老い、病い、死という年輪が刻み込んだ不可知の世界を、巧緻きわまりない小説作法で、過去と現在との交錯・対比のうちに結実させた芥川賞受賞作「年の残り」。

「笹まくら」の主人公・浜田庄吉は徴兵を忌避し、ラジオ修理工、砂絵師として日本各地を転々として戦時中を生き延び、無事に終戦を迎える。世間から身を隠し孤独な逃亡生活をおくった過去と、大学職員として学内政治の波に浮き沈みする現在を、変化に富む筆致で自在に描き、「戦後文学史における記念すべき作品」と評される中篇。

ほかに「彼方へ」「初旅」など、小説的趣向を存分に凝らした5篇を収録。

(文藝春秋より)

「三匹の蟹」大庭みな子

乾いた筆致で描くある主婦の“孤独と倦怠” 

異国に暮らす由梨は、夫と自分双方の浮気相手が集うホームパーティーに参加する気になれず、ひとりで外出してしまう。

遊園地の民芸館で知り合ったアメリカ男に誘われ、海辺のドライブについて行き、そこで男は、赤いネオンが点滅している宿「三匹の蟹」へ行こうと誘うのだった。

果てしない存在の孤独感、そして愛の倦怠が引き起こす生の崩壊を乾いた筆致で描き出した「三匹の蟹」は第59回芥川賞を受賞。「三匹の蟹」以前に執筆された日本人女性留学者の青春への決別を描いた連作「構図のない絵」、「虹と浮橋」も併録。

(小学館より)

第58回(1967年・下半期)

「徳山道助の帰郷」柏原兵三

陸軍中将にまで昇りつめた華々しい経歴と、その後の不如意な暮らし―時代の転変とともに屈折していく出郷者の想いを追った芥川賞受賞作「徳山道助の帰郷」ほか、フランス人女性と結婚した画家の秘密めいた生活に迫る「殉愛」、祖母の葬儀の顛末を記す「坐棺」の三作品を収録。平明な文体で、人生の様々な局面をおおらかに描いた早世の作家・柏原兵三の世界をあますところなく示す。

(講談社より)

第57回(1967年・上半期)

「カクテル・パーティー」大城立裕

米国統治下の沖縄で日本人、沖縄人、中国人、米国人の四人が繰り広げる親善パーティー。そのとき米兵による高校生レイプ事件が起こり、国際親善の欺瞞が暴露されていく――。沖縄初の芥川賞受賞の表題作のほか、「亀甲墓」「棒兵隊」「ニライカナイの街」そして日本語版初公表の「戯曲 カクテル・パーティー」をふくむ傑作短編全5編を収録。

(岩波書店より)

第56回(1966年・下半期)

「夏の流れ」丸山健二

平凡な家庭を持つ刑務官の平穏な日常と、死を目前にした死刑囚の非日常を対比させ、死刑執行日に到るまでの担当刑務官と死刑囚の心の動きを、緊迫感のある会話と硬質な文体で簡潔に綴る、芥川賞受賞作「夏の流れ」。稲妻に染まるイヌワシを幻想的に描いた「稲妻の鳥」。ほかに、「その日は船で」「雁風呂」「血と水の匂い」「夜は真夜中」「チャボと湖」など、初期の代表作7篇を収録。

(講談社より)

第55回(1966年・上半期)

該当作品なし

第54回(1965年・下半期)

「北の河」高井有一

戦争ですべてを失った母の絶望と孤独 

昭和20年、すでに夫を喪い、家も戦火に焼かれてしまった母子が、遠縁を頼って東北の寒村に身を寄せる。だが、そこは安住の地ではなかった。
頼るべき知己もおらず、終戦後は都会に戻るという希望も断ち切られ、迫りくる厳しい冬を前に、母は自ら死を選ぶ……。ノンフィクション作品のような感情を抑えた筆致が、かえって読む人の想像を掻き立てる。
第54回芥川賞に輝いた表題作のほか、やはり身近な人の死をテーマにした「夏の日の影」「霧の湧く谷」、大学の二部に通う学生たちの葛藤を描いた「浅い眠りの夜」の三篇を収録。

(小学館より)

第53回(1965年・上半期)

「玩具」津村節子

小動物に異常な執着をもつ作家志望の夫、彼から疎外されているような淋しさに耐える妻。破局寸前にありながら、奇妙なバランスを保つ夫婦関係の機微を抉る第53回芥川賞受賞作。(解説・広部英一)

(集英社より)

第52回(1964年・下半期)

該当作品なし

第51回(1964年・上半期)

「されどわれらが日々――」柴田翔

1955年、共産党第6回全国協議会の決定で山村工作隊は解体されることとなった。私たちはいったい何を信じたらいいのだろうか。
「六全協」のあとの虚無感の漂う時代の中で、出会い、別れ、闘争、裏切り、死を経験しながらも懸命に生きる男女を描き、60~70年代の若者のバイブルとなった青春文学の傑作。第51回芥川賞受賞作品。

(文藝春秋より)

第50回(1963年・下半期)

「感傷旅行」田辺聖子

共産党員のケイを本気で愛するが、みのらない有以子。傷心を抱えたまま親友のヒロシと旅行にでかけようとするが…(「感傷旅行」)。芥川賞を受賞した表題作ほか、様々な思いを抱え旅に出る男と女の物語を集めた短篇集。巻末に著者インタビューを収録。

(ポプラ社より)

第49回(1963年・上半期)

「蟹」河野多惠子

中年女性の屈折した心理を描く「蟹」他6篇 

外房海岸を舞台に、小学一年生の甥と蟹を探し求めて波打ち際で戯れる中年女性の屈折した心理を描き、第49回芥川賞を受賞した「蟹」。

ほかに、知人の子供や道端で遊ぶ子供に異常な関心を示す、子供のない女性の内面を掘り下げた「幼児狩り」。

夫婦交換による男女の愛の生態を捉えた「夜を往く」、「劇場」など、日常に潜む欺瞞を剥ぎ取り、その“歪んだ愛のカタチ”から、よりリアルな人間性の抽出を試みた、筆者初期の短篇6作を収録。

(小学館より)

「少年の橋」後藤紀一

第48回(1962年・下半期)

該当作品なし

第47回(1962年・上半期)

「美談の出発」川村晃

第46回(1961年・下半期)

「鯨神」宇能鴻一郎

第45回(1961年・上半期)

該当作品なし

第44回(1960年・下半期)

「忍ぶ川」三浦哲郎

貧窮の中に結ばれた夫婦の愛を高らかにうたって芥川賞受賞の表題作ほか「初夜」「帰郷」「団欒」「恥の譜」「幻燈画集」「驢馬」を収める。

(新潮社より)

第43回(1960年・上半期)

「夜と霧の隅で」北杜夫

もう一つのアウシュヴィッツ――「安死術」。
ナチスの指令に抵抗する精神科医たちの苦悩と苦闘。芥川賞受賞作を含む、初期傑作5編。

第二次大戦末期、ナチスは不治の精神病者に安死術を施すことを決定した。その指令に抵抗して、不治の宣告から患者を救おうと、あらゆる治療を試み、ついに絶望的な脳手術まで行う精神科医たちの苦悩苦闘を描き、極限状況における人間の不安、矛盾を追究した芥川賞受賞の表題作。他に「岩尾根にて」「羽蟻のいる丘」等、透明な論理と香気を帯びた抒情が美しく融合した初期作品、全5編。

(新潮社より)

第42回(1959年・下半期)

該当作品なし

第41回(1959年・上半期)

「山塔」斯波四郎

第40回(1958年・下半期)

該当作品なし

第39回(1958年・上半期)

「飼育」大江健三郎

屍体処理室の水槽に浮き沈みする死骸群に託した屈折ある抒情「死者の奢り」、療養所の厚い壁に閉じこめられた脊椎カリエスの少年たちの哀歌「他人の足」、黒人兵と寒村の子供たちとの無残な悲劇「飼育」、バスの車中で発生した外国兵の愚行を傍観してしまう屈辱の味を描く「人間の羊」など6編を収める。学生時代に文壇にデビューしたノーベル賞作家の輝かしい芥川賞受賞作品集。

(新潮社より)

飼育【あらすじネタバレ感想】

第38回(1957年・下半期)

「裸の王様」開高健

2019年は開高健、没後30年。
偽善と虚無に満ちた社会を哄笑する、凄まじいまでのパワーに溢れた名作4篇。

とつじょ大繁殖して野に街にあふれでたネズミの大群がまき起す大恐慌を描く「パニック」。打算と偽善と虚栄に満ちた社会でほとんど圧殺されかかっている幼い生命の救出を描く芥川賞受賞作「裸の王様」。ほかに「巨人と玩具」「流亡記」。
工業社会において人間の自律性をすべて咬み砕きつつ進む巨大なメカニズムが内蔵する物理的エネルギーのものすごさを、恐れと驚嘆と感動とで語る。

(新潮社より)

第37回(1957年・上半期)

「硫黄島」菊村到

戦争が人々の心に刻んだ傷跡を描く名短編集 

2万人以上の日本兵が亡くなった硫黄島で辛くも生き残り、終戦後も3年以上穴居生活を続けた片桐正俊。「投降時に岩穴に隠した日記を取りに行けることになったので、そのことを記事にしてほしい」と新聞記者である〈私〉に依頼する。
だが、片桐はせっかく再上陸できた硫黄島で、自死してしまう。その原因を探るべく奔走する〈私〉は、やがて戦争が片桐の心に刻みつけた傷の深さを知ることになる――。
第37回芥川賞を受賞した「硫黄島」のほか、海軍兵学校に通う若者の葛藤を描き、映画化もされた青春群像「あゝ江田島」など、戦争文学の名作短編6篇を収録。

(小学館より)

第36回(1956年・下半期)

該当作品なし

第35回(1956年・上半期)

「海人舟」近藤啓太郎

第34回(1955年・下半期)

「太陽の季節」石原慎太郎

戦後の青春はこの1冊から始まった。ドラマ化で話題の表題作のほか、伝説の名作「乾いた花」全面改稿決定版、あとがき「青春のピュリティ」、「処刑の部屋」、「完全な遊戯」、「ファンキー・ジャンプ」を収録。

(幻冬舎より)

太陽の季節【あらすじネタバレ感想】

第33回(1955年・上半期)

「白い人」遠藤周作

『海と毒薬』『沈黙』へと繋がっていく、遠藤周作の主題。
人間の心に巣食う「悪」と「赦し」を描いた芥川賞受賞作。

フランス人でありながらナチのゲシュタポの手先となった主人公は、ある日、旧友が同僚から拷問を受けているのを目にする。神のため、苦痛に耐える友。その姿を見て主人公は悪魔的、嗜虐的な行動を取り、己の醜態に酔いしれる(「白い人」)。神父を官憲に売り「キリスト」を試す若きクリスチャン(「黄色い人」)。
人間の悪魔性とは何か。神は誰を、何を救いたもうのか。芥川賞受賞。

(新潮社より)

白い人【あらすじネタバレ感想】

第32回(1954年・下半期)

「アメリカン・スクール」小島信夫

文壇を惑乱し、陶酔させた異才。その出発点。
芥川賞受賞の表題作を含む初期短編集。

アメリカン・スクールの見学に訪れた日本人英語教師たちの不条理で滑稽な体験を通して、終戦後の日米関係を鋭利に諷刺する、芥川賞受賞の表題作のほか、若き兵士の揺れ動く心情を鮮烈に抉り取った文壇デビュー作「小銃」や、ユーモアと不安が共存する執拗なドタバタ劇「汽車の中」など全八編を収録。
一見無造作な文体から底知れぬ闇を感じさせる、特異な魅力を放つ鬼才の初期作品集。

(新潮社より)

「プールサイド小景」庄野潤三

突然解雇されて子供とプールで遊ぶ夫とそれを見つめる妻――。
ささやかな幸福の脆さを描く芥川賞受賞作「プールサイド小景」等7編。

大金を使い込み、突然会社をクビになった夫。妻が問いただすと、つらい勤めの苦痛や不安を癒すため毎晩のようにバーに通いつめていたという。平凡な中年サラリーマンの家庭に生じた愛の亀裂――日常生活のスケッチを通し、ささやかな幸福がいかに脆く崩れやすいものかを描いた芥川賞受賞作『プールサイド小景』、家庭の風景を陰影ある描写で綴った日本文学史上屈指の名作『静物』等、全7編を収録。

(新潮社より)

第31回(1954年・上半期)

「驟雨」その他 吉行淳之介

女は自らの欲望に気づき、溺れていく……。憎悪、快感、嫉妬。
芥川賞受賞の名篇「驟雨」を含む初期傑作五編。

見知らぬ女がやすやすと体を開く奇怪な街。空襲で両親を失いこの街に流れついた女学校出の娼婦あけみと汽船会社の社員元木との交わりをとおし、肉体という確かなものと精神という不確かなものとの相関をさぐった「原色の街」。
散文としての処女作「薔薇販売人」、芥川賞受賞の「驟雨」など全5編。性を通じて、人間の生を追究した吉行文学の出発点をつぶさにつたえる初期傑作集。

(新潮社より)

驟雨【あらすじネタバレ感想】

第30回(1953年・下半期)

該当作品なし

第29回(1953年・上半期)

「悪い仲間」「陰気な愉しみ」安岡 章太郎

初期作品世界デビュー作「ガラスの靴」芥川賞受賞「悪い仲間」「陰気な愉しみ」他、安岡文字一つの到達点「海辺の光景」への源流・自己形成の原点をしなやかに示す初期短篇集。幼少からの孤立感、“悪い仲間”との交遊、“やましさ”の自覚、父母との“関係”のまぎらわしさ、そして脊椎カリエス。様々な難問のさなかに居ながら、軽妙に立ち上る存在感。精妙な“文体”によって捉えられた、しなやかな魂の世界。

(講談社より)

第28回(1952年・下半期)

「或る「小倉日記」伝」松本清張

巨匠の代表作にして、芥川賞受賞作

史実に残らない小倉在住時代の森鴎外の足跡を、歳月をかけひたむきに調査する田上とその母の苦難。芥川賞受賞の表題作の他、「父系の指」「菊枕」「笛壺」「石の骨」「断碑」の、代表作計6編を収録。

(KADOKAWAより)

或る「小倉日記」伝【あらすじネタバレ感想】

「喪神」五味康祐

“剣豪小説の名手”の世界に浸る11篇 

豊臣秀次の剣の師で「夢想剣」を名乗る瀬名波幻雲齋とその娘・ゆき、そして幻雲齋が父の仇でありながら、門下生となって修行を積む松前哲郎太重春。奇妙な3人の絆は、やがて哲郎太とゆきが契りを結ぶまでに深まっていく。
そんななか、哲郎太は身重のゆきを残して武者修行の旅に出ようとするが――。
第28回芥川賞に輝いた出世作「喪神」のほか、柳生流新陰流正統を継いだ連也斎とライバルとの決闘を描く「柳生連也齋」、剣豪が巨人軍の強打者として大活躍する異色作「一刀齋は背番號6」など、剣を題材にした珠玉の11篇。

(小学館より)

第27回(1952年・上半期)

該当作品なし

第26回(1951年・下半期)

「広場の孤独」「漢奸」その他 堀田善衛

日本の敗戦、朝鮮戦争の勃発。歴史の大きな転換期に生きた日本と中国の知識人たちが、いやおうなく直面する苦悩と決断を描き出す。芥川賞を受賞した不朽の名作2編収録。第26回芥川賞受賞作。(解説・高 史明)

(集英社より)

第25回(1951年・上半期)

「壁――S・カルマ氏の犯罪」安部公房

自分と他人が、もう一つ別の自分、別の他人に変容する。
カフカ以上にカフカ的なグロテスクな世界――。

ある朝、突然自分の名前を喪失してしまった男。以来彼は慣習に塗り固められた現実での存在権を失った。自らの帰属すべき場所を持たぬ彼の眼には、現実が奇怪な不条理の塊とうつる。他人との接触に支障を来たし、マネキン人形やラクダに奇妙な愛情を抱く。そして……。
独特の寓意とユーモアで、孤独な人間の実存的体験を描き、その底に価値逆転の方向を探った芥川賞受賞の野心作。

(新潮社より)

壁――S・カルマ氏の犯罪【あらすじネタバレ感想】

「春の草」その他 石川 利光

第24回(1950年・下半期)

該当作品なし

第23回(1950年・上半期)

「異邦人」辻亮一

第22回(1949年・下半期)

「闘牛」井上靖

「小説の面白さを忘れようとしている我国で、それを久しぶりに思い出させるに足る」
――大家・佐藤春夫に認められた処女作、および芥川賞受賞作を収録。井上文学の出発点。

ひとりの男の十三年間にわたる不倫の恋を、妻・愛人・愛人の娘の三通の手紙によって浮彫りにした恋愛心理小説『猟銃』。
社運を賭した闘牛大会の実現に奔走する中年の新聞記者の情熱と、その行動の裏側にひそむ孤独な心情を、敗戦直後の混乱した世相のなかに描く芥川賞受賞作の『闘牛』。
無名だった著者の名を一躍高からしめた初期の代表作2編の他『比良のシャクナゲ』を収録。

(新潮社より)

第21回(1949年・上半期)

「本の話」由起 しげ子

「確証」小谷剛

第21回(1945年・上半期)

第二次世界大戦の為、4年間中断

第20回(1944年・下半期)

「雁立」清水基吉

第19回(1944年・上半期)

「劉廣福」八木義徳

著者の青春の軌跡を辿る短編集 

「遠き地平」は、老境を迎えた著者が、ふとした拍子に思い出す若き日の一シーンを、臨場感たっぷりに描いた自伝的連作小説。
樺太で経験した“強制労働”、思想容疑者として満州に逃避行した話、満州での会社員生活、出征中に妻子が戦災で亡くなったことなど、いずれも味わい深い9篇の短編で構成されている。
また、満州で働いた経験から書かれた「劉広福」は、出征先の中国で芥川賞受賞の知らせを受けた秀作で、周囲から馬鹿にされていた一人の満州人が奇跡を起こす痛快な物語。

(小学館より)

「登攀」小尾十三

第18回(1943年・下半期)

「和紙」東野邊薫

第17回(1943年・上半期)

「纏足の頃」石塚喜久美

第16回(1942年・下半期)

「連絡員」倉光俊夫

第15回(1942年・上半期)

該当作品なし

第14回(1941年・下半期)

「青果の市」芝木好子

第13回(1941年・上半期)

「長江デルタ」多田裕計

第12回(1940年・下半期)

「平賀源内」櫻田常久

第11回(1940年・上半期)

高木卓が受賞を辞退

第10回(1939年・下半期)

「密猟者」寒川光太郎

第9回(1939年・上半期)

「あさくさの子供」長谷健

「鶏騒動」半田義之

第8回(1938年・下半期)

「乗合馬車」「日光室」中里恒子

第7回(1938年・上半期)

「厚物咲」中山義秀

第6回(1937年・下半期)

「糞尿譚」火野葦平

人は地を這い、河童は天翔ける 火野文学の「聖」と「俗」

出征前日まで書き継がれ、前線の玉井(火野)伍長に芥川賞の栄誉をもたらすと共に、国家の命による従軍報道、戦後の追放という、苛酷な道を強いた運命の1冊「糞尿譚」。郷里若松の自然と人への郷愁を、愛してやまない河童に託し夢とうつつの境を軽やかに飛翔させる火野版ファンタジー、「河童曼陀羅」。激動の昭和を生き抜く庶民的現実と芸術の至高性への憧憬――聖俗併せもつ火野文学の独自の魅力に迫る。

(講談社より)

第5回(1937年・上半期)

「暢気眼鏡」尾崎一雄

洒脱で晴朗なおしゃべり.出世作となった「暢気眼鏡」以下一連の貧乏ユーモア小説から,身辺な虫の生態を観察した「虫のいろいろ」,そして老年の心境小説まで,尾崎一雄(1899-1983)の作品には一貫して,その生涯の大半を過した西相模の丘陵を思わせる爽やかな明るさがある.代表的な短篇15篇を編年順に収録.

(岩波書店より)

第4回(1936年・下半期)

「普賢」石川淳

中世フランスの女流詩人の伝記を書く主人公〈わたし〉。友人庵文蔵、非合法の運動をする文蔵の妹ユカリ――日常の様々な事件に捲込まれ、その只中に身を置く〈わたし〉の現実を、饒舌自在に描く芥川賞受賞作「普賢」のほか処女作「佳人」、「貧窮問答」など。和漢洋の比類ない学識と絶妙の文体、鋭い批評眼で知られた石川淳の文学原理を鮮明に表出する初期作品群4篇。

(講談社より)

「地中海」富沢有為男

第3回(1936年・上半期)

「コシャマイン記」鶴田知也

アイヌの精神と歴史を描破した名作を再発見 アイヌの若き部族長の和人との戦いとその死を叙事詩的文体で描いた芥川賞受賞作「コシャマイン記」を中心に珠玉の北方文学作品を精選。今甦る鶴田知也とその文学

(講談社より)

「城外」小田嶽夫

第2回(1935年・下半期)

二・二六事件の為、審査中止

第1回(1935年・上半期)

「蒼氓」石川達三

第1回芥川賞受賞作を復刊。秋田県横手市生まれの石川達三(1905~85年)が著した「蒼氓」は、社会派作家として知られた石川の原点ともいえる作品です。昭和初期のブラジル移民として全国から神戸の国立海外移民収容所に集まった民衆が、不安と期待の中で過ごす出港までの8日間を描き、35(昭和10)年創設の芥川賞に太宰治らの作品を抑えて輝きました。その後、移民船内を描いた「南海航路」、辛苦に耐えながらたくましく働きだす「声無き民」を加えた3部作の長編として39年に発表、多くの人に読まれてきました。現在は絶版となっていますが、いま一度多くの人にこの名作に触れてもらおうと復刊。久米正雄らによる選評や菊池寛の賛辞を再録した「芥川賞経緯」のほか、日本ペンクラブ会長も務めた石川の足跡や略年譜を収載しています。

(秋田魁新報社より)

まとめ

最後まで見て頂いた稀有な方、ありがとうございます。

おそらくほとんど方がここまで辿り着かないと思っていますが。

この記事を書きながら思ったのは、私なんかが生まれる遥か昔から、数多くの物書きたちが小説を、自分の突き詰めた文学と向き合っていのだなぁと改めて思いました。

その中で芥川賞を獲り歴史に名を刻んだ人もいるし、その数以上にそうではなかった人たちがいて、その全ての方に恭敬の意を表したいと思います。

こうして芥川賞が現代まで日本文学の最高権威を保ち続けるのも、日夜自分の文章と向き合い、実験的な挑戦と失敗を繰り返した人たちの研鑽が積まれてのことだと思います。

現代では純文学を読む人はおろか、小説を読む人も減少しているのかもしれませんが、少なくとも私は読んでいます。

これが何を意味するのかは分かりませんが、とてもすごいことなのではないかと思ったりもしております。

これ以上長々と書くのもあれなんでおわります。

改めまして、ありがとうございました。