あらすじ
ひとりでも多くの人がお金というものの本質に気づき、お金に囚われない生き方をすることによって世の中は変わってくるというメッセージが込められた、なにをするにもお金のいらない国の物語。
(ネットワーク『地球村』より)
感想・レビュー
タイトル通りの短編です。お金がいらない世界とは。
語り口は優しめで、読みやすいです。
どこか「星新一」や「時雨沢恵一」「柞刈湯葉」「筒井康隆」などの近しい雰囲気のSFチックな作品で、面白く読めました。
今となってはこういう「働かない世界、未来」みたいなタイプの作品は、もう珍しくないかもしれません。
しかし著者さんは、これを93年に書いたというのですから、先見の明といいいますか、常に何かを考えている人だけが書ける世界だったのかなと。
人は何の為に働き、何の為にお金を稼ぐのか。
お金とは一体何の為の、誰の為のものなのか。
確かに報酬の無い労働は綺麗事かもしれない、もちろん実現には未だ遠い。
博愛主義だろうが何だろうが、お金によって悲しい思いをしている人を一人でもなくしたい。
難しい問題です。
色々と皮肉混じりにメッセージ性が込められていて、風刺的な意味でもしっかりと伝わってきました。
こういう作品がどんどん出てくることで、ひとりひとりの意識が変化して、また未来の世界が少しずつ変わってくるのかもしれません。