かもめのジョナサン【あらすじネタバレ感想】自由を求め、飛び続けた

あらすじ

そう、重要なのは食べることではなく、飛ぶことだ。風になることだ。

急降下、宙返り、きりもみ、そして全速力――飛ぶことだけのよろこびを味わうために、光りかがやく空の果てまで飛んでいく一羽のかもめ、ジョナサン・リヴィングストン。

群れから追放された異端のかもめは、強い意志と静かな勇気をもって、今日もスピードの限界に挑戦する。夢と幻想のあふれる現代の寓話。

(新潮社より)

感想・レビュー

世界的にベストセラーになっている寓話なので、読んだことはないけれど、タイトルはどこかで聞いたことがある…という方は多いかもしれません。

本作は1970年頃のアメリカで徐々に徐々に口コミで広がり、爆発的に売れていったそうです。

ということでまず読んでみました。

まずいつもの所感としては、絵本のような短い物語だったけれど、寓話として精神世界がしっかりと描かれていて、読後も少し考えさせられる作品でした。

本作はまず【PartOne】【PartTwo】【PartThree】という三部構成になっていました。

【PartOne】では、主人公のかもめのジョナサンが、食べることよりも飛ぶことを優先し、本来のかもめの目的から逸れたとして、群れから追放されます。

両親や群れの長老から何度も心配され、こっち側に戻ってこい言われるも、ジョナサンはただ飛ぶことに魅力と自由を感じ、毎日毎日、ひたむきに練習を続けます。

この結果、ジョナサンは高度な飛行技術を手に入れましたが、群れからは追放されてしまいました。

【PartTwo】【PartThree】以降は、精神世界の色合いが強くなります。

追放されたジョナサンは天国的な?場所に導かれ、師匠から「瞬間移動?」的な技術を学ぶことに。

この時にライバルのような新たな仲間もできたりします。

こうしてジョナサンは瞬間移動も身につけ、同期や師匠にも認められました。師匠は去り、他人を愛することを学びなさいと、説かれるジョナサン。

下界のかもめたちからは「悪魔」だと囁かれますが、仲間たちからは「神格化」されていきます。

ジョナサンの精神は、下界にいた頃とは段違いに成長しました。

その後、下界の凝り固まった伝統に嫌気が差したかもめたちが次々とやってきて、ジョナサンは皆を自由という名の飛行へ、導きます。

こうして彼は弟子の一人に「瞬間移動」の技術を伝授しました。

この時にジョナサンは、「自分は神などではなく、ただ固定観念を捨てて、自由を求めただけで君と同じかもめだ」というような台詞を残し、かつての師匠と同じようにこの世を去ります。

この時、ジョナサンは「かもめとは自由という無限の思想」というようなことも述べており、この世界の真理を悟ったような雰囲気もありました。

こうして新たな弟子は師匠になり、またかもめたちを「無限」へと導くのだった…

まとめ

振り返るようにざっくりと適当に書き出していきましたが、本編ではもっと細かい名台詞などが載っていて、特に終盤はすごく面白いです。

飛行技術の細かいや描写や、作中にかもめの写真が数十枚挿入されていたりもしました。

そもそも著者のリチャード・バックさんは、パイロットらしいのでこの飛行描写にもなるほど、と頷けました。

かもめたちには名前がつけられていたり、人間のように会話を繰り広げていますし、群れでは裁判のような会議も行われています。

普段、海辺や空を飛んでいる鳥たちをこのように見てみると、確かに、そう見えてくる気がしました。笑

当時の70年代頃のアメリカの時代背景には、ヒッピー文化というのがあったらしく、こうした自由思想が若者を中心にすごく受けたそうで、ベストセラーになっていったそうです。

本作の日本語版では、翻訳と解説を五木寛之さんがされていて、独自の解釈を交えて、原文から文章を削ったり、新たに追加して翻訳しなおしたから『創作翻訳=創訳』だと思って欲しいと書かれてもいました。

個人的にですが、おそらく日本人が読みやすいような寓話の形をとってくれたのではないでしょうか。とても親しみやすく読めたと思います。

最後に物語が始まる前に書かれていた、言葉を引用して終わります。

お読み頂き、ありがとうございました。

われらすべての心に棲むかもめのジョナサンに

(かもめのジョナサンより)

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