タルト・タタンの夢【あらすじネタバレ感想】街のフレンチ・レストランで起こる軽妙なミステリー

あらすじ

商店街の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マル。シェフ三舟の料理は、気取らない、本当のフランス料理が好きな客の心と舌をつかむものばかり。そんな彼が、客たちの巻き込まれた事件や不可解な出来事の謎をあざやかに解く。常連の西田さんが体調を崩したわけは?フランス人の恋人はなぜ最低のカスレをつくったのか?絶品料理の数々と極上のミステリをどうぞ。

(東京創元社より)

感想・レビュー

近藤史恵さんは初読みですね。

出身が鮎川哲也賞ということで、かなり本格な方なんですね。

著書には「サクリファイス」が有名作と存じ上げていますが、今回は本作を選んでみました。

また機会があればそっちかデビュー作なども読んでみたいです。

その理由も本作の題材が「フランス料理」というのは、私にとって、馴染みのある題材だったからかもしれません。

というのも私事ですが、かつてフレンチ・レストランで働いていたこともあって、というだけのことなんですけどね。

ということでまずいつもの本作を読んだ所感としては、サクッと食べられる手頃なアミューズのような作品、という感じでしょうか。笑

私の比喩が下手で申し訳ございませんが、別にこれは悪い意味ではなく、本作の舞台ともなっている街の小さいフレンチ・レストランの良いところが出たような意味で、肩肘張らずに気軽に楽しめて読める作品だった、ということです。

まず本作は、【タルト・タタンの夢】【ロニョン・ド・ヴォーの決意】【ガレット・デ・ロワの秘密】【オッソ・イラティをめぐる不和】【理不尽な酔っぱらい】【ぬけがらのカスレ】【割り切れないチョコレート】の七編からの連作短編形式。

主人公の三船は、寡黙で長髪を後ろで束ね、無精髭と少し無愛想に見えるが、料理の腕は一流。かつて十年以上もフランスで腕を磨いていたとかで、その時も星付きレストランではなく、街のレストランだったとか。

ホテルやウェディングのような集団調理より、個人でやれるビストロを持つことの方が性にあっている、という意外と料理人に多いタイプではあります。

店名は〈パ・マル〉。フランス語で〈悪くない〉という意味だそうです。なんかキザな感じでかっこいいですね。笑

店には優秀なスーシェフとソムリエ。そしてギャルソンが一人。という典型的なビストロですね。

ちなみにギャルソンというのは、給仕とかウェイターとかの意味です。

そんな街のフレンチ・レストランにやってくるお客様の小さな異変や悩みに、シェフの三船が謎解きをしていくというライトミステリのような感じでした。

なのでミステリ的なレベルの高さは、ありません。

ですが悩みの解決過程に、フランス料理を交えており、街のフレンチ・レストランならではのお客様との距離感を感じられました。

全体的にどれもまぁまぁの面白さだったので、そこまでの優劣もないのですが、個人的には【ぬけがらのカスレ】【割り切れないチョコレート】がより楽しめたかな、と思います。

カスレはよく思いついたなぁと思ったのと、チョコレートの素数のからくりもなんか良かったですね。

そして全編に共通している飲み物があってそれが『ヴァン・ショー』。ホットワインですね。

とりあえずこのヴァン・ショーを飲むと丸く収まるというオチが、なんか笑えてきて良かったです。

どうやら本作は次作もあるらしく「ヴァン・ショーをあなたに」という、三船とヴァン・ショーの秘密が明かされるらしいです。笑

ただ一つ邪魔だなと感じたこともありまして、本作は「ミステリーズ!」で連載されていたものを文庫化しているので、冒頭に何度も似たような説明があるので、その辺りは省けなかったのかな、と。

最近では、よくネット小説からの文庫化とかでもたまに見受けますけど。まぁいいです。笑

私個人としましては、読んでいて懐かしいフランス語や雰囲気を感じられて、昔の楽しかった頃を思い出し、郷愁に駆られるような、ノスタルジックな気持ちにもなりました。

あと私は読み終えてから知ったのですが、本作は「シェフは名探偵」というタイトルでドラマ化もされているようです。主演は西島秀俊さんで、面白そうですね。

では今日はこの辺で終わります。おやすみなさい。

紹介した本

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