ブルータスの心臓【あらすじネタバレ感想】完全殺人リレー!のはずが…

あらすじ

産業機器メーカーで人工知能ロボットの開発を手がける末永拓也。将来を嘱望される彼は、オーナーの末娘・星子の婿養子候補になるが、恋人・康子の妊娠を知り、困惑する。

そんな矢先、星子の腹違いの兄・直樹から、同僚の橋本とともに、共同で康子を殺害する計画を打ち明けられ…。

大阪・名古屋・東京を結ぶ完全犯罪殺人リレーがスタートした。傑作長編推理。

(光文社より)

感想・レビュー

2023年の冬は、暖冬になるのかと思いきや、すっかり寒くなって季節を感じる頃合いですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

さて、今日は安定の東野圭吾さんです。

本作の刊行が1989年なので、東野圭吾作品においては初期の部類に辺りますね。

まずいつもの読後の所感としては、相変わらず一冊でしっかりと楽しませてくれるなぁと。

内容は特に派手な感じでもないのですが、初手の掴みに驚きがあり、そこから安定の読みやすい文章と東野ホワイダニットで、最後まで捲る頁は止まりませんでした。

あらすじにもある、「完全犯罪殺人リレー」とはどんなものかと思いながら読み始めました。

主人公は、産業機器メーカーで、人工知能開発を手掛ける末永。そんな末永には、同じ社内に肉体関係だけを持つ「康子」という女性がおり、康子のお腹には子がいることがわかる。

さらに康子は、末永に「子を生む」と言い、末永を脅す。

しかし末永にはどうしても堕ろして欲しい理由があった。それは会社のオーナーの「娘・星子」の婿養子になることを目論んでいたからだ。

そんな末永に、星子の腹違いである兄の「直樹」から呼び出され、そこに「橋本」という同会社の人間もおり、なんと3人の共通点「康子と肉体関係を持つ男たち、子が出来たと脅された」ということが判明する。

そして「康子を3人で殺そう」となり、直樹が発案した『大阪・名古屋・東京を結ぶ殺人リレー』が実行されることに。

最初は「なんだ、ただ大阪で殺した遺体を東京まで複数人で輸送するだけのアリバイ工作か…」と肩透かしを食らう思いだったのですが、さすがに東野圭吾さん、やってくれます!笑

遺体を輸送する途中で判明するのですが、毛布に包まれていた遺体は、殺しのターゲット・康子ではなく、首謀者の直樹自身だったのです!

想定していた人物が運ばれていないことに焦る末永と橋本ですが、とにかく予定通り直樹の遺体を東京に捨てることに。

ここから康子の同僚「弓絵」視点、刑事の「佐山」視点も加わり、末永たちに徐々に迫っていきます。

末永視点では「見えぬ敵との攻防」「橋本が殺される」「星子との関係」「末永の暗い過去」「泰子殺し」などが描かれ、末永がどんどん殺人鬼になっていきます。

このように物語は進み、最後は直樹殺しも判明し、末永との直接対決という一面から、タイトルにもある「ブルータス」というロボットに殺される結末になります。

読みながら、頁数が少なくなってきて、これ解決まで書ききれるのか?と思っていました。

やはりというべきか、主人公を殺人鬼にしたので、こういう終わり方なのですね。

刑事パートも面白かったので、最後に末永との直接対決という展開も見たい気もしましたが、まぁいいでしょう。笑

人によっては、唐突に畳まれた感じもするかも?しれませんが、結末の犯人は、主人公で、さらに序盤で明かされているので、終わり方が難しいですからね。

それに回収できる要素は、しっかりと回収されていたので、特に不満もなかったかなと。

でもやっぱり東野圭吾作品の事件の核は、いつも「男女関係」ですね、ほんと、笑

時代背景は、バリバリの昭和ですが、全然楽しめて読めましたね。

序盤の掴みにも成功していましたし、ほんと、絵に書いたような人間の書き方がとことん上手いだろうなぁと思います。

私みたいなライトなミステリ層の方は、純粋にトリックも楽しめる感じなのかなと思います。

もし東野圭吾作品が好きな方で、未読の方は、ぜひ一度読んでみてもいいでしょう。

文庫本360Pくらいです。

それでは今日はここまで。最後までお読みいただきありがとうございました。

寒くなってきましたので、皆さまお体に気を付けて読書ライフをお過ごしください。

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