あらすじ
史上初の推理小説「モルグ街の殺人」。
パリで起きた残虐な母娘殺人事件を、人並みはずれた分析力で見事に解決したオーギュスト・デュパン。彼こそが後の数々の“名探偵”たちの祖である。
他に、初の暗号解読小説「黄金虫」、人混みを求めて彷徨う老人を描いたアンチ・ミステリ「群衆の人」を新訳で収録。
後世に多大な影響を与えた天才作家によるミステリの原点、全6編。
(新潮社より)
感想・レビュー
ネタバレがありますのでご注意ください!
探偵小説、或いは推理小説と呼ばれる現代ミステリの原型はここから始まった、といわれているエドガー・アラン・ポーの推理小説。
解説を読む感じからだと本人は別にミステリを作ってやろうとか、そういうことを意識した訳ではないらしいのですが。
探偵小説、暗号解読小説など、多くの作家たちが真似ている作品を読んできましたが、そろそろ本家を読んでみようということ読んでみました。
まず読了した所感としては、確かに、これが本当に第一号なられっきとしたミステリの原型だ、そして普通に面白かった、という感じでしょうか。
本文庫は「モルグ街の殺人」「盗まれた手紙」「群衆の人」「おまえが犯人だ」「ホップフロッグ」「黄金虫」からなる6編の短編集です。
そしておそらくミステリの原型といわれているのが【モルグ街の殺人】だと思います。
「私」の一人称語りで、オーギュスト・デュパンなる探偵が登場するのですか、これが未来のホームズ&ワトソンの形にかなり似ています。
デュパンの論理的な思考や、間のとり方といいますか、刑事も出てくるんですけど、扱いも殆どシャーロック・ホームズ作品と似てるんです。
そして物語は、パリで起きた母親と娘が何者かによって殺された残虐な殺人事件を解き明かすことに。
そしてまさかの犯人がオランウータン!?という、目が飛び出そうな展開に。ですが、これも論理的に解き明かしていくと、とても人間には出来ない殺人の仕方で、笑ってしまいましたが、めっちゃ面白かったです。
まぁ本当にオランウータンがあそこまで動けるのか、その真偽はわかりませんが、筋は通ってはいましたね。笑
先に伝えておきますが、個人的に一番面白かったのは、表題作になっている「モルグ街の殺人」です。
原初の作品ではあるんですが、おそらく多くの作家がこのスタイルをとってきているので、読み慣れているというのもあったかもしれません。
あとは個人的に面白かったのは、「ホップフロッグ」と「黄金虫」ですかね。
【ホップフロッグ】はミステリではないんですけど、どこかシェイクスピアのような感じで、悲劇というか復讐劇といいますか、短編でサクッと読める内容でした。
【黄金虫】の方も、暗号解読小説で、こちらも原型になっているんですかね。
キャプテン・キッドの財宝を見つけるという内容で、英語の暗号解読なので、正確なのか判断出来ませんが、論理的な暗号解読だったのかな?と思っています。
宝を掘り当てるまでも楽しく読ませていただきました。
今思えば、江戸川乱歩のデビュー作である〈二銭銅貨〉も暗号解読系だったと思うので、この作品がなかったら存在しなかったのかなぁ、なんて思いましたが、そもそもエドガー・アラン・ポーがいなければ〈江戸川乱歩〉というペンネームでさえなかったんですよね。笑
他にも【盗まれた手紙】はデュパンの第三作目に当たるそうで、シリーズ最高傑作ともいわれているそうです。
ワタシ的には、普通でしたが。笑
あと【群衆の人】はアンチ・ミステリーといわれているそうですが、一度読んだだけではあまりよくわからなかったです。すいません。
エドガー・アラン・ポーは、私生活に関しては、雑誌編集者や他の仕事を転々とし、酒やドラッグ、奇行などで悪名高い作家らしいのですが、このような現代のミステリ界には欠かせない存在らしいのがよくわかりました。
まさに「ミステリの父」なんですね。
ちなみに翻訳は、巽孝之さんです。
それでは今日は、この辺で終わりたいと思います。
なんだか最近、急に寒くなってきましたが、皆様お体に気をつけて。
お読み頂きまして、ありがとうございました。