あらすじ
いなくなる人のこと、好きになっても、仕方ないんですけどね。
どうやら俺の人生には、今後何一つ良いことがないらしい。寿命の“査定価格”が一年につき一万円ぽっちだったのは、そのせいだ。
(メディアワークス文庫より)
未来を悲観して寿命の大半を売り払った俺は、僅かな余生で幸せを掴もうと躍起になるが、何をやっても裏目に出る。空回りし続ける俺を醒めた目で見つめる、「監視員」のミヤギ。彼女の為に生きることこそが一番の幸せなのだと気付く頃には、俺の寿命は二か月を切っていた。
ウェブで大人気のエピソードがついに文庫化。
感想・レビュー
旧題「寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。」
読みながら少し震えました。
これが三秋縋さんか、すごいな。それが素直な感想です。
物事の捉えた方や視点の捉え方など、著者は唯一無二のモノを持っています。
それを言葉に変えて魅せる言語化する力は、現代作家の中でも突き抜けて、というよりもずば抜けていると感じます。
まさにこれが天才か。
一体どうすればこの様な世界の捉え方と描き方が出来るのか。
物語もSFチックに見せつつ本当に伝えたいことがちゃんとそこにあって、それでも偏らず設定を上手く料理してみせた。
趣味と仕事の中間を上手く楽しめているというか、純粋に器用ですね。
是非著者の他の作品も読んでみたいと思える作品でした。